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37. Repaly Restart Reborn


私は悔やんだ
貴方は嘆いた

自分を責めた
自分を愛した

私は支える
貴方は自立する

私は祈る
貴方は眠る

貴方は戦う
私は俯く

背中を押した
ゆっくり歩いた

私は待ってる
貴方は生まれ変わる

苦しむ貴方はもうどこにもいない
新しい身体でこれから生きてゆく…

Reply。


おおきな銀色の扉の手術室へ自分の足で歩いて
行った。
しっかりとした足取りで怖さを感じない背中。

扉をくぐるとたくさんの先生。
先生たちに"ここまで自分の足で来れてすごい"
と言ってもらい そこから号泣。

私も号泣。
麻酔科の先生が"怖いよね、分かるよ、
だから僕が眠くさせるから不安な気持ち全部
言ってくれるかな?"と。

そしてずっと我慢してた事がそこで爆発。

「寝たくない。」
「手術がこわい」
「元気になって遊びたい」
「でも怖い」
「でも頑張る」
「いつ目が覚めるのか分からないのが嫌だ」

12歳なりの必死の言葉だったんだと思う。
私も怖い。
でも本人はもっと怖かったんだと思うと
親って本当に何もしてあげれないんだって
無力に駆られた。

「泣くな〜!頑張ってこい!待ってるから!」
の私の言葉に
麻酔科の先生は
「僕は泣いていいと思うんです。
素直な気持ち大事にして」と。
ああ、そうなんだ。
そこで私は今まで厳しくしすぎたんだと思った。

話は少し戻って
入院日。26日。
この日は何もないと思いきや
検査検査検査のオンパレード。
そして今午後からは点滴も。
思ってた以上に点滴のルートが入るの早くて
親子でびっくり。

テンションがダダ下がりの彼。
そんな中、サンガの選手2人が来てくれた。
そして目の前に新聞社や、地元テレビのカメラ
合わせて7台…
「好きなスポーツは何?」
『テニス…』
…「バドミントンやろ」笑

「何かスポーツしていますか?」
『はい、スポーツ大好きです』
…「ごめんなさい、今運動制限であまり出来てなくて」

「どちらからこの病院に通われてますか?」
「ほんと取れ高なくてごめんなさい、
京都なんです 笑」
もうこんなの全カットでしょう笑

なんて日だ。、笑
しかし、夕方と夜の放送に
ちょっくら出てるじゃないか。
選手はカッコよかったし、
なんか勇気もらえた。
いいこともあるもんだ。

前日27日
自分も手術の説明聞きたい。と言い
私は説明するつもりはなかった事…
"口から送還すること"も知って、
"ドレーンも繋げること"を知って、
かなり恐怖感じていた。

でも自分のことを知ることはいいことだと思って
私はとめなかった。

主治医曰く、怖がる事を言わないより
言ってあげた方が術後の為にはなると。

28日
9時から始まり予定時間は10時間。

着信があったのはPM5時。
"待て待て、早すぎる。"

早く終わったはずなのに喜べない。
何があったんだ、
どうして。

話を聞く前から怖くなった。

輸血なし、最大の癒着も酷くなく、
心臓を止めて人工心肺に頼る時間も最小限に
抑えられて時間が短縮できたとの事。

あとは本人の体力次第での、回復。

そっか、赤ちゃんの時の手術しか
私たちは知らなかったけど
もう立派な男の子だもんな。

背丈も私とほぼ変わらない、
1年で10cm背が伸びてる成長期真っ只中の
男の子だもんな。

強いぞ、さすが私の子だ。
ほんとによくやってくれた。

そして、集中治療室が今混みあってて
早ければ2泊で集中治療室から出ることになると。

え、いくら体力がついてるとしても術後
なのに。
付き添ってあげれるのは嬉しいけど。

けどそんな不安も吹き飛ばしてくれるかのように

29日
面会ではベッドを縦に起こし、
DVDを見てみるでは無いか…
(もちろん顔は無であった。)

しかし野菜ジュースが飲みたいとのことで
3種類持って行き、
テーブルに並べると、
無言です1つずつ倒していく。

残った1本を見て、
「これ飲みたい?飲めそう?」
と聞くとまだ声は出せないけど
飲みたいと口を動かしてくれた。

ストローを指すと左手がすっと伸びてきて
少しづつ飲む。

もう感動。

手術からまだ半日だよ?

そして、ゼリーとプリンも用意していたのだけど
プリン早く食べたい…
カスカスの声で言った。

看護師さん曰く、
朝からお粥を少しづつ食べていたらしく、
食欲しかない子だったので
「食べたい」が聞けたのがすごく嬉しかった。
(一気に食べ飲みはダメだから
三時のおやつの時間に食べる事に。残念)

そして15分の面会だった為、
写真の許可撮ってスマホを彼に向けると
満面の笑み。
やめてよ、泣いちゃう。
無理に笑わなくていいのに。
何枚か撮ったけど全部しんどい姿せず
しっかり笑ってくれてた。

つよいなぁ…

そして主治医の先生が来て
「順調に進んでますよ!めっちゃ頑張ったもんな!」
と話しかけてくれた。
ここでうちの黒が泣いてた。

私、うちの黒が泣いてるの初めて見た。
分かるよ、その気持ち。

そして時間が来て息子も無言で泣いてた。
看護師さんも
「昨日からずっと1人で頑張ってきたもんね、
お父さんお母さんに会うと離れたくないよね」
と。

でも私は決めてた、絶対彼の前では泣かない。
泣きそうだったけど目を瞑って堪えた。
両親揃って泣いてたらさらに不安になるもん。

だから堪えた。
「本間頑張ったよ、これでいっぱい走ったり
好きなこと沢山できるよ!
だからあと1日ここのお姉さんと一緒に頑張って。
明日絶対に一緒に病棟戻ろう!」
そう約束してきた。

看護師さんに 今大変な時ですけど
よろしくお願いしますと言って振り向かずに
退室した。

うちの黒は中々離れきらんかったけど。笑

大丈夫。新しく心臓直してもらって、
また新しく生まれ変わってきたんやから
ここまで来たら大丈夫。

私は信じて待ってるよ。
一緒に元気になるまでいくらでもサポートするし
わがままだった言ってくれていい。

今迄が厳しくしすぎて来たのかもしれない、
もっと甘やかしあげても良かったのかもしれない
とさえ思った。

今家に帰ってきて荷物パッキングし直して
いろんなこと終えた今、
早く会いたい。それしかないもん。

今どんな条件で、
辛いだろうに傍に入れないこのもどかしさ。

でも彼なら頑張ってくれる。
そうして壁を乗り越えて誰よりも強くなるんだ。
楓葉経霜紅。

11/28はまた新たなお誕生日だ。

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