【GPT Builder】治験の規制に関するQAを行うBOTの作成【Japanese Trial Regulation Assistant】
【概要】
最近流行りのGPT Builderを用いて、「日本における治験業界の複雑な規制を踏まえたうえで、ユーザーの質問に正しい回答を行う」BOTを作成しようとしてみましたが、あまり良いものはできなかった。
作成したものはこちら
https://chat.openai.com/g/g-9kQ7sncdJ-japanese-trial-regulation-assistant
【背景】
日本で医薬品を開発するにあたって、治験のプロセスは欠かせないものである。しかしその規制(以下、GCP)はとても複雑かつ膨大で、正直なところよくわからない。だから、治験の現場で働く人たち(CRAさんやCRCさん)の負担は大きい。こんな文章、とても読んでられないのである。
そこで、今はやりのGPT BuilderにGCPを適当に学習させて、ユーザーの質問に回答するBOTを作ったら、少しは現場の人たちの「確認にかかる手間」が削減できるのではないか。そう思った次第である。
【方法】 ①適当にチャットと話しながら作った結果、Instructionsは以下の通りになった。きっともっともっと検討の余地はあるのだろう。
②KnowledgeにGCPをアップする。
もはやおなじみのあれ。もちろん、PMDAのウェブサイトからダウンロードした。
【結果】
質問と回答の例を2点ほどお示しします。
まあ0点とは言わないが、まあ実務の現場で利用できるレベルには無い。
質問①) 初回IRBに必要な文書は何ですか?
回答①) 初回の倫理委員会(IRB)に提出する必要がある文書は以下の通りです:
1. 治験実施計画書:これは、治験の計画、目的、方法、治験薬に関する情報、および被験者の安全に関連する重要な詳細を含む基本文書です。
2. 治験薬概要書:治験薬に関する詳細情報を提供します。これには、薬の品質、有効性、安全性に関するデータが含まれます。
3. 症例報告書の見本:治験中に収集されるデータの形式と内容を示します。症例報告書は、被験者ごとの詳細な医療記録です。
4. 説明文書:被験者に提供される文書で、治験の目的、手順、リスク、利益、代替手段などについての情報を含みます。
5. 治験責任医師および治験分担医師の氏名が記載された文書:治験を担当する医師やその他の関連者の情報が含まれます。
6. 治験の費用の負担について説明した文書:治験に関連する費用とその負担方法についての情報を含みます。
7. 被験者の健康被害に対する補償に関する資料:万が一、被験者に健康被害が発生した場合の補償に関する情報を提供します。
これらの文書は、治験の透明性を保ち、被験者の安全と利益を守るために不可欠です。IRBはこれらの文書をレビューし、治験の倫理的、法的基準への適合性を評価します。
(質問②) 治験分担医師が変更となった場合、どのような手続きを行う必要がありますか?
(回答②) 治験分担医師が変更となった場合の具体的な手続きに関する詳細情報を見つけることができませんでした。しかし、一般的に、治験分担医師の変更に関しては、治験責任医師が関係するすべての関係者(実施医療機関の長、治験審査委員会、治験依頼者など)に対して通知し、必要に応じて書類の更新や承認を得る必要があります。このプロセスは、治験の透明性を保ち、被験者の安全を確保するために重要です。詳細な手続きについては、関連するガイドラインや規制を参照するか、専門家に相談することをお勧めします。
【総評】
実際のところ利用価値は無いだろうけれど、まったくの素人が手探りで作ったにしては、それっぽいものができたのだろうと思う。上記のような質問に対して手続きのフローを出力したりとか、どれくらいの時間がかかりそうかとか、そういった情報を併せて出力できるようになれば使い勝手が良くなるのだろう。
そして、PRTやIBその他手順書なんかを読み込んで「特定の治験に特化した」BOTが作れるようになれば、とても便利になるのだろと思う。まあ、そこは当然製薬会社さんが取り組んでいるところだろう。元CRAの私としては、現場の方々の仕事が便利になってくれるのを祈るばかりでございます。
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