黄金虫
(約350字)
月の色は 橡色で、見上げたことを悔やみ、
コンクリートの片隅に
飲み捨てられたカラが見て取れた
それを蹴り上げるほどの 体力もなく、
その色は 秋の味覚だと
思い出したら また
手に入れられない 悔しさと
腐った気持ちを抱えて 歩いて行く
しばらく進むと 小さく光る
欠片をみつけ、
玉虫色の 黄金虫 転がっている
も一度 空を仰いでみたら
鈍色の 雲に隠れた 月が顔を出し
覗かれている 気持ちになって、
黄金虫を 手に取ってみる
微かに動く 鋭い爪は
引っかかる 力もなく
月が見えそうな
苔の生える大きな岩に帰した
ようやく家路に着いて
寝床に投げ出したい身体を
かたい椅子まで 移動すると
小さな 四角いステンレスの囲いから
黄金色の まるい月が 拝めた
あの 黄金虫の 贈り物だろうか
↑ 長いのでスタエフのアカウントがあれば、そちらでの視聴をおすすめします
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