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随筆 『秋桜と一緒に生まれた人』
(約600字)
秋桜の咲く季節に生まれた人は、
慈悲深い。
これは、私の優しい語録の一つ。
まるで見事な思い込みでしかないですが、
私の母、母方の祖母、弟のパートナー、そして
過去に色々な思い出をくれた大切な人は、
みな、コスモスの咲く季節に生まれている。
私の周りには夏生まれ、秋生まれが多い。
肌寒い季節生まれの人は、数人。
何の根拠もなく、先入観なく書くとすれば、
たまたまタイミングが寒い季節に愛を育む人の子供ということ。
一年は365日であるから、
どの人もいつ生まれてきても構わないけれど、これから寒くなる季節の前に生を受けるなんて、強い人だな、と思ってしまう。
だって、赤ちゃんの時期は暑い寒いを自ら発信できないのに、エラい覚悟を持って生まれたものだ。
私は春に生まれた。
ちょうど春休みに入る頃だったから、同級生からは「誕生日おめでとう」のメッセージは
もらえなかった。
私は、これも勝手な思い込みだが、
コスモスと似た人が、この季節に生まれてくるように感じる。
ゆらゆらと風にそよぎ、茎の部分は細くて
痛みやすい。風雨が襲えば、いっせいに倒れてしまう。一本だけでなく、みなで倒れる。
でも、色とりどりで、美しい花。
私が知るこの生まれの人は、
支え合うのを当たり前としていて、
我慢強くて、
あまり多くを語らないが、
悲しいほど優しくて、芯が強い。
コスモスも好きだが、
この時期に咲く花のような
この月に生まれた人が好きだ。