『消えた伝説』#毎週ショートショートnote
(410字)
「彦星誘拐」のニュースに下界は湧いた
彦星は織姫と一緒にいた
「どうする?あなたは誘拐されたことになってるけど」
「いや、今さら留守にしていただけです、なんて言えないよ」
ちょうど天の川に銀の橋がかけられ、彦星は織姫に会えたのだった
彦星が誘拐されたと噂されてから
ひと月が経つ
彦星を見つけた人物には一億円の懸賞金が支払われる
「もし私(織姫)が見つけました、って世間に公表したら、一億円は私のモノになるけれど、また離れ離れになっちゃうわ」
「じゃあ、ずっと公表しなけりゃいいじゃないか」
彦星は織姫の着物の裾を握って、拗ねたような面持ちだ
「でも‥‥両親が来月には月面宙返り体験旅行から帰ってくるのよ」
彦星は考えた
「そうだ、いい事を思いついたよ。彦星と織姫を卒業しよう。銀の橋をかけてくれた魔法使いに頼んで、僕らを普通の人間として下界に降ろしてもらうんだ」
「そうと決まったら、今までに織っていた反物をまとめるわよ」
二人は夜逃げを決意した
◇たらはかにさんの企画に参加します。
お題は【彦星誘拐】という事件を追ったショートショートです。
7/13(土)深夜が〆切りです。