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知らない人は知らないまま


   (約600字)


 真夜中の交差点

 昼間の通行量と違うから、
0時過ぎは 交差点の歩道を歩く
青信号の時間が
昼間より長いの


 体調を崩してから、色んなことに気付くようになった


 元気な自分が、
今は懐かしいくらい 羨ましい

 他人の荷物まで運んだ自分の握力が、
恥ずかしいくらい脆弱で
情けなさが 込み上げてきたり


 早朝の散歩道


 体力が続かずに、途中から泣けてきて、

 これから学校であろう10代の男子が
泣いている私を 避けるように
道を迂回してくれた

その優しさに、また泣けてきて

無言で 頭を下げて、
声にならない ありがとうの代わりに

頭を 会釈くらい さげる


 彼は 多分、将来は
優しい女の子と一緒に生きられるだろう

とか、勝手に泣きながら 祝福している


 昼寝の後


 友達からメールが届いていた

 うっかりの三時間の午睡
用事を思い出して

 慌てて 身支度をする夕方

 せっかく待合室で、メールを作文したのに
下書きに入れて 送り忘れたり


  商業施設の休憩


 買った本や 日用品で重くなった荷物を

放り出して帰るわけには行かない


 座りこんだソファで 時間稼ぎに

家族へ電話をする


 ひとしきり 笑うと 元気がでた

身近なお笑い好きは話が面白く、
私の元気の無さを察知していた


 お得な 価格の店を 私に伝えて

 自転車で転ばないように

 お節介を やく


  眠る前の5分


 スタエフのコメントの通知に

 心が  弾む


 そんなに悪い日じゃなかった

 情けないけど、

 数えてみたら

 優しさを くれるひとには


 こと欠かない 人生


 思い直して 眠りについた


 まだ  がんばれる









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