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「逃げ道を残しなさい」

              (約900字)

母方の祖母は、俳句を詠む人でした。
生前はひと月に一度、祖母のところに遊びに行きました。

おばあちゃんは、ずっと働いていました。
おばあちゃんの旦那さん(私の祖父)は、交通事故から病院生活が続き、家計はおばあちゃんにかかっていました。

私の母は算盤の全国大会に出るほど計算が出来て、高校時代は才女でした。
経済的に高校卒業後は、働く選択肢しか無く、大学に行かなかったのが唯一、心残りのようです。母はそんなことは一言も言っていませんが、学生時代の友人は大学進学を諦めた母の話をしていたようです。

母は高校時代から珠算教室でアルバイトをして、子供たちに算盤を教えていました。
それで生活費の足しにしていたようです。

母は、私が祖母に似ているといいます。
もしかしたら、祖母に似た気質を持つ私の性格に、母なりの言いしれぬ葛藤があったかもしれません。

あるとき、祖母に言われたことがあります。

「もし、誰かを許せないことがあったとしても、それに向き合わないといけないときは、
相手に逃げ道を作ってあげなさい」

多分、私が学校の友達のことで愚痴を吐いたときだったと思います。

「おじいちゃんに対しても、そうしてたの」
と聞くと、頷く祖母がいました。

立場が悪くなって、責められたときに誰かに
逃げ道を作ってもらわないと、その人は追い込まれてしまう。人間は、そんなに強くないから、居場所がなくなってしまうの。

祖母が許してきたことを具体的には言いませんでしたが、苦悩があったのが分かりました。

私は、どこに居ても誰に対しても気持ちをくだく必要はないし、分かり合える人と交友があればいいと考えています。

私はnoteを始めてブロックしなければいけない事があるなんて、想像していませんでした。

人を許せない人が世の中に多いことを書物から学んではいましたが、過去を責め続けて
ひとを公衆の面前で堂々と批判して、仲間に感謝する人がこんなにも多いことに絶望しました。

ブロックをした人は、恐らく私を許すことはないであろう人です。

私はお金を出してもらっても、ブロックしている人には悩んで書いた作品を読んでもらいたくありません。

「五分の魂」の私にもプライドはあります。
理解されなくても、理解してくれる人と共に
生きられればいい。

そんなことを優しい季節に考えました。


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