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チバユウシ独占インタビュー③

(聞き手・チバユウシ)


~一番ってのはないな、結局全部が自分になっとんじゃない?~


(日を改め、場所を変えてインタビューは続く)


先日はありがとうございました!

「何喋ったか覚えてないな笑」

さっそく続きから

「さっそく過ぎるな!」

前回の話で、まさか少女漫画も読むようになるってジャンプっ子の時は思ってないですもんね?

「全く!!たまに姉ちゃんのとか読んどる友達おったけど馬鹿にしとったもん!」

子供ってそうなりますよね

「今ならね、あーそれはそれで面白いのかもなぁって思えるけど当時はね。」

そんなもんですよね
じゃあここで聞きたいのが、成人するまでのチバユウシを形成する上で一番影響受けた作品ってどれですかね?

「えーなんだろ、むずいな、、、。」

(しばらく黙るチバユウシ。んー、、、と考えながら10秒程沈黙した後)

「一番ってのはないな、結局全部が自分になっとんじゃない?ずるい答えになるけど笑」

ずるいです笑

「だってわからんもん!ていうかたぶん二十歳なんてまだ全然人間できてないと思うよ?固まってないんちゃうかな?」

そうですか?
ある程度好みとかハッキリしてくる年齢かなと

「いや俺ね、好みはずっとハッキリしてて、というか軸がブレてない、っていうとかっこよく聞こえるけど、簡単に言うとそれ以外は何も考えてなかったと思う」

考えてない?

「あ、ちゃうわ!考えてはいたけど、つもりなだけというか、それによって何か理解したりとか、導き出したりなんてできてなかったと思う。もっと言うとそれは今も。わかったふりだけしてる、わかったつもりになってるけど、なーんも理解できてないんじゃないかな?」

なんか難しいですね

「だって結局世の中に漫画って星の数ほどあって、なんなら映画もドラマも音楽も演劇も、漫画以外にインプットする素材がありまくるわけやん?で、もちろんそれら全部を網羅する事は不可能だし、物理的にもね、だからなんにもわからんまま死んでいくんじゃない?」

だからこそ、色んな価値観とか考え方が出てくるじゃないですか?
チバユウシになったあなたと、そうじゃない世の中の色んな人達と、っていう

「あ、そうか笑」

なので、今のチバさんに考え方が近い作品とかそういう

「なるほどね、今勝手に規模をでかくし過ぎたね笑」

神の話でもするのかと思いましたよ笑

「そんな崇高な事はわからん笑
考え方が近いっていうと古谷実先生の作品はあるかも。近いっていうか、読んでくうちにそうなっていったかな?」

まさに影響じゃないですか!

「そうね笑 確かにそうだわ笑」

稲中が有名ですよね?

「デビュー作ね。あ!それこそそうだ!俺の青年誌デビュー稲中だもん!ヤンマガ!」

え!?
世代ですか!?

「えっとね、ちょい上かな?本来は。でも面白いっていう評判が回ってくるやん?で友達が持ってて、読んだらめちゃくちゃ笑って」

ちょっと異常に面白いですよね

「なんなら馬鹿中学生たちの漫画だから思春期エロもあって、おっぱいも出てきたからちょっとエロ本代わりにしてたとこもあるし」

何年生ですか?

「初めて見たのが小4とか!で、稲中の最後の方、本当にあと数回で終わるくらいの時のをヤンマガで立ち読みして違和感あったのよ」




違和感とは?

「なんか、面白いけど、面白いんだけど、今までの馬鹿馬鹿しさだけじゃなくてちょっと寂しさというか、哀愁というか、そっち方向の哲学的な要素がギャグのふりして入ってて」

あー、その後の作風見てるとなんかわかる気がします。

「たぶん稲中ってただの馬鹿ギャグマンガで始まって、6巻くらいから油乗りまくって、11巻くらいから“人間とは?”“人生とは?”みたいな要素入ってるのよ。で、そっからが画力の向上もあってめっちゃくちゃ面白くて、笑い的に、で13巻で終わるんだけど、たぶん各キャラクターに説得力も出てきてって事なんかな?今思えば」

あー、なるほど
キャラ設定が認知されて

「そう、前野はこう、これは田中が言うから面白い、井沢が言うから面白い、みたいな」

あるかもですね

「ちなみにその後、中1で次の作品の僕と一緒が始まるのよ」

家出少年の

「もうその設定からちょっと哲学入ってきとるな笑 でも当時はそんなのわかってないし、ただただ面白いギャグが読めると思って読むでしょ?ほんなら、もちろん面白いんだけど、なんか稲中の感じではない!ってなるのよ」

確かに

「で、4巻でバッドエンドで終わって、すぐグリーンヒル始まって、これも似た感じ、あれ?ギャグメインではない、、のか?って感情ね。面白いんだけど!」

で、次が

「ここでヒミズやん、後々実写映画にもなったけど」

衝撃的作品ですよね

「うん、とにかく暗いなーー!!って思ったけど読んでたね。お笑い的な面白さとは違う面白さだけど好きだった」

あの辺からギャグを期待してた読者は離れたかもしれないですよね

「そうだね、なんか古谷は終わったとか、ギャグやってくれん、とか言っとるやつおったわ」

ドタバタのバカコントやってた芸人さんがシリアスな芝居しかしない役者になっちゃうみたいな寂しさですかね?

「あーそうかもね、近いかも。片岡鶴太郎だなこうなると笑」

合ってますかね?

「流れだけ言うとね?笑
でも思い返せば稲中後期からその気配はあって、徐々に徐々にメインテーマは移行してる感じが今だとわかるな。作者の意図は置いといて」

ですね

「で、結局全部好きなのよ。その後のコミックスも家にほとんどあるし、読んでない作品無いし、たぶんリピートで読んでるのは一番多いんじゃないかな?古谷実が。長期連載が無いから読み返しやすいってのもあるけど」

じゃその影響が強いんですかね?

「かなー?実際知り合いとかに“古谷実感あるね”とは言われたことないし皆も思ってないと思うけどな笑」

それは取材しないとわからないですね笑

「でもさっき言ったみたいに、感覚近いから好きになったのか、好きだから感覚が近くなったのか、それはわからん!卵が先か鶏が先かみたいになる」

けど、ちょっと外れちゃうんですけど、漫画以外に目を向けるとチバさん音楽も好きじゃないですか?
なかでもロックンロールとかパンクとか

「能動的に入った音楽がブルーハーツからだからね笑
ベタだけどね笑」

世代的にはベタではない気もしますが笑
で、皆と違う自分に苦悩したり、そんなオリジナリティーを肯定したり、世の中との違和感を表現するモノが多いのがロックだと思うんですよ

「あ!」

どうしました?

「そうか、それで行くと古谷作品て漫画におけるロックなのか!」

そうですそうです、だと思います!
J-POPではないと思うんですね

「それはジャンプだもんね」

だからそういう方向のモノがチバユウシを作っていったのかなー?と
ちなみにブルーハーツはどうやって知ったんですか?

「いとこ!6個上の兄ちゃんで、関東におるからたまにしか会えんのだけど、いとこにろくでなしブルース教えてもらって、そこに出てくるブルーハーツも教えてもらって」

あ、それ大きそうですね!

「で、めっちゃいとこ好きだったから、理由は単純にめちゃくちゃ優しくて面白いからなんだけど、そんないとこに教えられたものは学びたいやん?そこやね」

なるほどー、そういうお手本みたいな人がいたんですね

「そうそう、大人になってからはじっくり話したことないけど、たぶん似とるとこめっちゃあるんじゃない?って勝手に思っとるし、似とると嬉しいなあ」

意外なとこが見えましたね
とにかく、結局のところ音楽に限らずロックな香りのするモノをどんどんインプットしたんですね

「だけじゃないけど、多いかもね。デビュー当時の浅野いにお先生とか、花沢健吾先生とか」

そういうロックな香りが、、、

「その表現めちゃくちゃださいからやめてよ笑」

あ、すいません笑
ちょうどいいのが見つからなくて
つまり、それがさっき言ってたブレてない軸のとこですか?

「あ、違う!それはもう明確に違うかも」

えーーーーー!?!?
違うんですか!?

「軸はもうシンプルだよ!面白いかどうか!お笑い的な面白さね!」

あ、なるほど!そうか、もうまずスタートは全部そこなんだ!

「そう!だから王様はロバだし、モンモンモンだし、稲中だし、それこそマサルさんもジャガーも、クレヨンしんちゃんも、ちびまる子ちゃんも、っていう」

なんか一気に全部が辻褄合いました!

「でしょ?ごめんねなんか遠回りしたね笑」

いえいえ、大丈夫ですけど
つまり幼い頃に意味もわからず無条件に好きになってしまうものとは別に、ある程度性格ができてきて興味を持つものってのが基準としてまず“面白い”事なんですね

「そうだね、それはたぶん今もそう。実際ドラゴンボールもけっこうギャグ要素あって実はちゃんと面白いし、スラムダンクもそうだね、あ!あと魔法陣グルグルな」

グルグル!またアツイ単語出してくれましたね笑
なんか途中はこの人わけわかんねえって思ったんですけど笑
かなりシンプルでしたね笑

「そんな事思われとったんや。まぁ慣れとるけど笑」

理解されない事に笑

「しょっちゅうなんで笑
いや、笑っとるけど本当は悲しいからね?笑」

あ、そうなんですね笑

「あー、でもだからそうか、そういう作品が好きというか、見ちゃうのもこういう性格が起因してるかもな」

自分で自分を再発見しましたね笑

「なんかありがと笑
でも今はあれよ?お笑い的な面白さしか求めない!って事はなくなって色々読むようにはなったよ?」

今は連載をリアルタイムで追ってるものとは別にコミックスで読む作品はメモに残してあるんですよね?

「そう、どこまで読んだっけ?ってなるから笑」

教えて貰っていいですか?

「えーっとね、、、DEAR BOYSact4、親愛なる僕へ殺意を込めて、ロウヒーロー、チェンソーマン、波よ聞いてくれ、化物語、よふかしのうた、王様ランキング、ヒストリエ、Dr.stone、ゴールデンゴールド、ブルージャイアントe、ヒロアカ、ドラゴンボール超、グルグル2、かな?
あ!殺意をは完結したわ」

あの、幅広いです笑

「もはやギャグマンガないしね笑」

あってラブコメですね笑

「ていうか今って純粋にギャグだけの漫画ある

?俺が知らんだけ?」

ない気がしますね。僕もわからないですけど。

「なんかもう疲れた!笑
漫画の話だけでこんなにかかるか笑」

じゃ一旦休んで、次は今読んでる漫画について聞かせて下さい

「まだまだかかるなぁこれ笑」





~おすすめされて読んだら面白くて、そのまま最後まで一気に読んじゃってその日めっちゃ高くなっちゃってさ~
に続く










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