松くい虫被害
松くい虫被害の正式な名称は「マツ材線虫病」でのその犯人はマツノザイセンチュウという線虫です。マツノザイセンチュウがマツの体内に入り水分の通導を阻害し、枯らしてしまうそうです。
マツ材線虫病は明治以降に外国から輸入された木材によって運ばれてきたと言われています。
媒介者はマツノマダラカミキリ(下写真)。
マツノザイセンチュウをもったカミキリがマツの樹皮を食べるとき、マツに線虫が侵入し、マツを弱らせます。さらにマツにカミキリが産卵すると蛹から羽化したときに線虫が成虫に移動して他のマツへと運ばれていきます。
もう少し詳しく説明すると、マツノマダラカミキリの成虫は気門(体表にある空気穴)にマツノザイセンチュウを保持していて、カミキリが後食(成熟するための摂食)するときに傷口から線虫をマツの樹木内に入ります。
マツノマダラカミキリにとって枯れたマツは産卵場所としてうってつけ。幼虫は樹皮下で成長して越冬前に材内に潜入し、蛹になって、翌年春から夏の間に成虫となって飛びだし、マツの若い枝を後食します。
したがって当年枯れのマツには後食痕と産卵痕が、過年度枯れのマツには
成虫が脱出した脱出孔が見つかるということです。
昨年、房総のむらのアカマツが枯れあがりましたが、やはり、このマツ材線虫病でしょう。
ちば里山センターのある理事の方は、昆虫が樹木の病原体を媒介することで発生するという点、(詳細メカニズムは違うものの)水の吸い上げが阻害されて一気に枯れてしまう点でナラ枯れと共通する特徴があると話していますが、なるほどです。
松くい虫の被害を食い止めるには、マツの木に殺虫剤を注入して線虫やカミキリの幼虫を殺虫したり、薬剤を空中散布してカミキリの成虫を駆除する方法もありますが、枯れたマツは伐採処理が基本となります。
伐採したマツは焼却処分するか、チッパーなどで粉砕してマツノマダラカミキリの幼虫を駆除します。チップ内のマツノザイセンチュウはいずれ死滅し、他へ感染することはないとのことです。
いずれにせよ、大変な手間がかかりますね。