ロックとポップスの狭間で
バンドからソロになるということは、ものすごい乱暴な言い方をしてしまえば、ジャンルの分類がロックからポップスに変わるということだ。
ソロでも俺はロックだ、という気持ちの問題はあるにせよ、世の中的にはほぼほぼそういう認識になる。
俺はバンドマンだ!という気持ちからキャリアスタートした自分には、当時、弾き語りのソロアーティストになることにものすごい抵抗があった。アルバム「新しい世界」も全曲フルアレンジで、弾き語りの曲は一曲も無い。自分の本来の音楽性はアコースティックではなく、ミクスチャーなんだと思っていた。
再びロック心に火が着いていた僕は、「新しい世界」の次の一手は、前作でやれなかった沖縄ミクスチャー路線を形にしたいと思った。ちょうど世の中的にも自分の状況的にも「ぶっ壊してやりたいな」ってモードになってたので、アー写も緑の帽子をかぶってにっこり笑っている弾き語りの良い人イメージのものから、工工四バックの不穏なモノクロのイメージに変えた。ちなみにそのアー写はODDLANDフェスにDUTY名義で出演する為にフェス主催のタマナハユウに撮ってもらったものだ。
海鳴りの島とサンの2曲は元々バンドサウンドを想定してアレンジしていた。その時点ではDUTY FREE SHOPP.名義でのリリースの可能性もあった。ODDLANDのコンピを聞いた人は分かるかもしれないが、最初はもっとエレキギターギンギンのロックアレンジだった。
だが、バンドへの退路が断たれた以上は、覚悟を決めて、ソロとして、知花竜海としてこれをやっていくしかない。アコギメインで作った1stアルバムとの整合性もある。総合的に判断して僕はこの二曲のサウンドをポップスに寄せることにした。具体的にはブラスを入れ、ミックスバランスもロック感を押さえ、ラテン感の方を前に出した。
かくして「海鳴りの島」と「サン」は完成した。
バンド願望を押さえてソロをやっていた頃と違って、自らの選択で覚悟を決めて「ソロ」を選んだのだ。
続く