チバに会いに、猪苗代湖へ
2024年9月28日、人生初のオハラブレイクへ行ってきた。
チバユウスケの献花の会には、さんざん悩んだ挙句、行かないことにした。
理由はひとことでは言えないけど、やはり行けなかった。行きたくなかった。
その後、ライジングサンやフジロックでの追悼の模様を見たり聞いたりしては、とても嬉しい気持ちになっていたけど、自分も行こうとは思わなかった。
そんな中、オハラブレイクの開催メッセージを目にした。
タイトルが「愛でぬりつぶせ」。
フェス全体でチバを追悼。なんて愛にあふれたイベントなんだろう。
衝撃を受けながら、出演アーティストを見ると
『甲本ヒロト』
俺の愛するミュージシャンが、愛するミュージシャンの歌を歌いに猪苗代湖へ行く。
うわーとなった。
やべーやべーとなった。
ドキドキして興奮して、気付いたらチケットや会場への行き方やなんやかんやを調べてた。
献花式にも追悼イベントにも行けなかったけど、これだけは行きたいと心から思った。
どう調べても当日自宅まで帰ってくることが出来ないことが分かり、まだギリギリ残っていたキャンプサイト券を購入。
ワンタッチテントしか持ってないけど、大丈夫かな・・・
ドキドキしたけど、もう止まらない。
ということで、行ってきました猪苗代湖。
数日前まで雨予報が出ていたけど、当日は一滴も降らず。
ほとんどの時間が曇りで、時々薄日が差した一日だった。
最高のコンディション。
一発目はサニーデイ・サービス。
しかも一曲目が「青春狂走曲」
グッときた。
曾我部さんがこの歌詞を歌い出して始まったライブ。
やはり、チバのことを思い出してしまうよね。
一曲目から感動してしまった。
その後、世界一好きな曲(のひとつ)「春の風」も演ってくれた。
前回、生で見たのがいつだったか覚えてないくらい久しぶりのサニーデイ。
こんなに激しい、フィジカルなライブだったっけ!?
というくらいに熱い激しいステージ。
歌で盛り上げるというより、その演奏の熱量、凄まじさで圧倒してくる感じ。
レコードで聴くサニーデイとは全くの別物。
さすがライブバンド。
そんな中、重心の重い、ヘヴィーなイントロから始まったのが、ミディアムテンポの「世界の終わり」。
原曲のカッティングのイメージとは全く異なる、グルーヴ感がえげつないアレンジ。
うわー、こうきたか!という感じで、死ぬほどカッコよかった。
正直、サニーデイが終わった時点で
「あー、今日は来てよかった。満足」ってなっちゃった。
次はGLIM SPANKY。
食事の列が混んでて半分くらいしか聴けなかったが、「シャロン」のカバーは聴くことができた。
こちらは原曲に忠実な感じで、これはこれでとても良かった。
女性ボーカルのシャロンは、透き通るようで心に沁みる。
その次はホリエアツシ。
これもトイレに並んでたので半分くらいしか聴けなかったが、なんとミッシェルの「Girl Friend」をカバー。
この曲がとにかく好きで、でもほとんどチバのソロ作品のような様相の曲なので、まさかここで聴けるなんて…
ホリエのボーカルで丁寧に歌われるガールフレンドは、原曲とは違う軽やかさを感じて、これはこれでとても良かった。
で次はとまとくらぶ。
今度は飲み物の列が混んでて半分くらいしか聴けなかった。
とにかくすべて混んでた。オハラブレイク。
聞くところによると、例年の3倍近い人数が集まったらしい。
お店もトイレも手洗い場も混んでて、過酷。
まあ、しょうがないとは思うけど、せめてドリンクくらいは簡単に買えないと辛い。
とまとくらぶはバックホーン山田とナッシングス村松のユニットとのこと。
バックホーンは昔大好きで、デビューから10年くらいは全力で追いかけてた。
インディーズ時代のアルバムも全部購入し、ライブも行きまくってたけど、邦楽自体をあまり聴かなくなってきたので、ここ最近は全然聞いていなかった。
なので勿論とまとくらぶも知らなかった。
二人がギターで弾き語るスタイル。個性的なボーカルの二人なので、混ざり合わない感じが面白い。
そしてカバー曲が最高。ミッシェルの「キラービーチ」。
これもミッシェルの中でも一、二を争うくらい好きな曲。
弾き語りでさわやかに歌うスタイルは、決して曲に合ってるとは言えないけど、まあとにかく好きな曲なので聴けただけでも嬉しかった。
お次はトシロウ。同じくギター弾き語り。
ブルーハーツのラブレターから始まるあたり、ヒロトへのリスペクトが溢れてた。
チバのカバーは演奏しなかったけど、チバについて語るMCは、何かグッときちゃったな。
単独出演の最後は民生。
一人股旅スタイル。
民生とチバ、というか、民生と「世界の終わり」は、広島球場での弾き語りとか、チバ逝去の時のギター演奏とか、または先日のフェスでの演奏とか、たくさん見てきた。聴いてきた。
民生がシリアスに歌い上げる世界の終わりは、胸の真ん中にズドンとくるような、まっすぐな感動をもたらしてくれた。
今回の単独出演ではカバー無しだったのは残念。
弾き語りで何か一曲、カバー聴きたかったな。
でも今回はスタッフ?が選曲したらしく、代表曲や懐かしい曲が多くて楽しかった。
なかでも「愛する人よ」、これが聴けるなんて…
20年ぶりくらいに聴いたけど、今でもちゃんと歌詞覚えてた。たくさん聴き込んだもんなー。
ここで前半戦が終了。
いよいよセッションが始まる。
セッションは、バンマスである古市コータローとドラムのキュウちゃんが出ずっぱりで、ベースが曲によってウエノとハルキが交代で出る、というスタイル。
キュウちゃんとウエノが並んでミッシェルの曲を演奏している姿、もうそれだけで感動してしまった。
一曲目、待ってましたの「CISCO」スタート!
20年ぶりの生シスコ。ぶっ飛んだ。楽しい。
続いて印象的なギターリフが鳴り響き、北村匠海が登場。
黒いスーツでミッシェルの「ドロップ」を歌い上げた。
彼は後半にバースディの「カレンダーガール」もカバーしてたけど、この2曲を選ぶあたり、本当にチバのことが好きなのがよく分かるね。
最高の選曲。
神野美伽という人が「ゲットアップルーシー」と「デッドスターエンド」を歌唱。デッドスターエンドの選曲は意外だった。黒スーツ姿でリスペクトを感じた。
そしてのん。能年玲奈。
一番好きな女優。
オーバーサイズの黒スーツに赤ネクタイ、白シャツでギターを抱えて登場。
まじでカッコよかった。
「バードメン」と「なぜか今日は」を演奏。
原曲キーのまま低い声で歌う姿は、ロックを感じた。
本当にカッコよかった。
バードメンのラスト、ちょっと間違えちゃって慌ててたけど、そんな所も素敵だった。
民生の選曲もやばかった。
「誰かが」
チバがPUFFYに提供した曲を、民生が歌う。
いやグッときた。
そして何回聴いても素晴らしい歌詞。
名曲。
トシロウはソロ曲「星の少年」を選曲。
ブルーハーツのような雰囲気を持つこの曲、トシロウにとても合ってた。
そして吉井和哉。この人がこのセッションの為だけに来るなんて。
ステージに登場した時は、やはり華があるなーと感じたなあ。
まずは「爪痕」。
壮大なバラードを歌い上げる吉井の声は、イエモンともちょっと違う、もっと生々しい感じを受けた。すごく丁寧に歌い上げていた。
そして「声」。
この選曲は意外だった。大好きな曲だけど、ここで選ばれるとは想像していなかった。
なんとなく勝手な想像だけど、吉井が俺らにコール&レスポンスをさせてくれるために選んだのかな、なんてことを考えていた。
吉井のあと、民生が「GT400」という似合いすぎる曲、もはや自分の曲なんじゃないかと思うほどしっくりくるGT400を歌い、いよいよ観客もざわざわし始めた。
ここまで全員出てきて2曲歌ったのに、まだヒロトだけ出てきてないから、いよいよか?という雰囲気。
そんな中、民生がステージ袖に向かって呼びかけ、いよいよヒロトが登場。
すごい歓声。客もステージ前へ詰めかけて、熱気は最高潮に。
いつものようにニコニコとステージにやってきたヒロト。
オーライ!と叫んで始まった曲は「ブラックタンバリン」!
そうきたか!
何がそうきたかなのか分からないけど、とにかくそうきたか!と思ったことだけは覚えてる。
そうきたかヒロト!最高じゃないか!と。
正直、感動というより、楽しすぎて興奮しすぎて、その後の事はあまり覚えていない。
とにかくブラックタンバリンを全力で歌うヒロト。
全力で踊りまくる観客。
ウエノの隣でヒロトがミッシェルを歌ってる。なんだこれ夢の中みたいだな。
そんなことを考えていた気がする。
凄い熱狂の中、ベースがハルキに代わり、始まった「ローリン」。
客席の盛り上がりが更に高まり、ずっと大合唱。
ヒロトは、他人の曲だからと言って丁寧に音程をなぞる様に歌うのではなく、自分の曲のように激しく熱く全力で歌い上げる。
それが感動を呼ぶんだよね。
音程を気にせず叫ぶように歌う。そこに愛を感じて、客も興奮していく。
まさに一体感。
凄かった。
ウエノの時も感じたけど、ハルキとキュウちゃんの前でヒロトがバースディを歌ってる姿。この記憶は宝物だなとあらためて感じる。
最後、トシロウがフェスのテーマでもある「愛でぬりつぶせ」を歌う。
曲の終盤で、出演者全員をステージへ呼び込む。
ここの記憶が定かではないんだけど、他の人の投稿を見ると、ヒロトがウエノを抱き抱えるようにしてステージに戻ってきたみたい。
憶えているのは、ステージ向かって右端で、ヒロトと民生が楽しそうにワチャワチャ踊っている姿と、ステージ左端のすみっこで吉井がニコニコして大人しく立っている姿。
どっちも素敵。
そんなこんなでセッション終了。
キュウちゃんとハルキがバースディの曲を演奏する姿を見られただけでも嬉しいのに、この豪華すぎるメンバー、俺の大好きな人ばかりが集まってチバの曲を歌ったこの祭り。
本当に来てよかった。
来る前は、悲しくなるかなとか、泣いたりするのかなとか、そんなことを思っていたけど、実際は楽しすぎてとても満たされた気持ちになった。
まさに愛で塗りつぶされた感じ。
このフェスを企画してくれた主催者にも感謝。
オハラブレイクに参加したことで、チバについて考える時に、なんか前向きな気持ちを持てるようになった。