HEY! WONDER／ザ・クロマニヨンズ
クロマニヨンズの17枚目のオリジナルアルバム
『HEY! WONDER』
ちょっと、あまりにも名盤だったので、全曲感想・レビューを。
先行シングル「あいのロックンロール」を聴いた時は、正直なところ、次のアルバムは期待できないなと思った。
ところが実際にアルバムを聴いてみると、ほぼ全曲、良かった。
最近と言うか、クロマニヨンズになってからの傾向でいうと、
ヒロトは毎回だいたい全曲良い。
マーシーはたまに良い。
割合でいうとそんな感じ。
ところが今回はマーシーも（先行シングルは別として）全曲良かった。
マーシーが頑張ると名盤になる説は今回も立証された。
エースロッカー、レインボーサンダー、SIX KICKS ROCK&ROLLに次ぐ名盤だと思う。
シングル向きの曲はあまりないけど（あえて言えば「メロディー」か）、大好きなアルバム。
①あいのロックンロール
カツジのドラムが爆発している。
ドラムを聴く曲。
そういえばこのアルバムは、他の曲もドラムが頑張っている印象。
迫力のある曲ではあるものの、単調ゆえに数回聴くと飽きてしまう。
②大山椒魚
タイトルとコーラスのせいでコミカルさがあるが、シングルでもいいくらいの名曲。
聴けば聴くほど好きになる。
③ゆでたまご
タイトルとAメロを聴いたあたりで、これはハズレかな？と思った自分が恥ずかしい。
佳曲。この曲もドラムがカッコいい。
「クレーンゲーム」以来、マーシーはこういう歌詞が多い。
今作だと「不器用」とか。
ほぼ同じようなテーマ。
別に悪くはないけど、どちらかというと個人的には「よつであみ」のような情景が浮かぶ歌詞が好き。
④ハイウェイ６１
ユニークな作品。
可愛らしい曲かと思いきや、クロスロードが出てきたりして、ヒロトのブルース愛が溢れ出ているのが面白い。
”伝説語るのさ”
”マニアはめんどくさい”
”まるでおとぎ話”
と言っておきながら、
”クロスロードでは 闇の向こう側 今もそこで 僕を待つ”
と歌うヒロト。
最高です。
⑤よつであみ
個人的な趣味として、毎回、アルバム収録曲のタイトルが判明した時点で、どっちの作品か予想しています。
今回「よつであみ」に関しては、100%ヒロト作だと思ってた。
まさかマーシー作だとは。
ちなみに今回の12曲の勝敗でいうと、7曲正解、5曲不正解。
何十年もファンなのに、この正解率の低さ・・・。
それはさておき、この曲も素晴らしい。
歌詞もマーシー節全開で素敵。
”ファズのかかった午後 輝く用水路”
マーシー以外の誰が書けるだろう。こんな歌詞。
サビの最後の”ああ”の部分も好き。
⑥恋のＯＫサイン
Ａ面最後は、ドゥーワップというのか、コーラスメインの変化球。
ずっとこのままいくのかと思いきや、2度の間奏でグッと演奏が盛り上がるのがたまらない。
ここでＡ面終了。
最初に聴いた時は、レコードをひっくり返しながら
「あれ？今回すげー良いじゃん」
と思った記憶がある。
Ｂ面もこのままいったら名盤だぞ？と。
⑦メロディー
普通に言えば、やはりこの曲がシングルだと思う。
優しいメロディと、胸が熱くなる歌詞。
これぞヒロト。
⑧くだらねえ
最初に歌詞カードを見た時は「さぼりたい」と同じか・・・と思って、残念な気持ちになった。
「さぼりたい」、好きじゃないし。
「恋に落ちたら」は好きだったけど、もうこのパターンは要らないな、と。
でも違った。
まさかのテンポアップ。
アルバム中、一二を争うグッドメロディ。
こんなこと言ったらマーシーにはそれこそ「くだらねえ」って言われそうだけど、この曲、まともな歌詞がついてたら代表作になったのに。
もったいない！
⑨ダーウィン（恋こそがすべて）
この世界観もまさにヒロトならでは。
単純なような深いような。
カッコいいのにくすっと笑える。
⑩SEX AND VIOLENCE
パンクロックなベースラインがいい。
ギターソロからのハープソロもたまらん。
演奏を楽しむ曲。
⑪不器用
好き。
穏やかなハーモニカがとにかく好き。
裏打ちのリズム感も好き。
愛する『DUG OUT』に入っていそうな曲。
⑫男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~
120%マーシー作とわかるタイトル。笑
『ACE ROCKER』における「メキシコの星」と同じで、何か映画のエンドロールのような気分になる曲。
『HEY! WONDER』という映画の最後に流れるエンドロール。
「メキシコの星」もそんな印象だった。
何気に珍しい曲調も悪くない。
気がつけばアルバム終了。
個人的に1曲目はイマイチだけど、その後は最後まで全部良かった。
名盤誕生。
何度も何度も聴きたくなる作品だと思います。
雑誌か何かで、「ヘイ！ワンダー」は「平和だ」と掛けているのかも、という記事を見た。
まったく気づかなかったし、全然違うかもしれないけど、その説を勝手に信じたいと思う。
今作は、ハイロウズやブルーハーツを思い出させる曲がいくつかあった。
同じ人が作ってるんだから当たり前の話なんだけど。
ライブが楽しみ。