見出し画像

ラブホの正社員3日目

大きな大学がある街に住んでいる。街にはZOZOTOWNで見たことのある服に身を包む若者がたくさんいて、僕はそんな若者たちが往来する街の猫カフェに向かっていた。休みは大抵猫カフェにいる、そして今日は休みだ。

話は大きく変わるが、ラブホの大口顧客をご存知だろうか。まずサラリーマン、そして酒を飲んで気持ちが大きくなった大学生である。彼らは酒の勢いとセフレという都合のいい関係を表す単語を巧みに使いこなし、セックスに持ち込むらしい。最高のお客様である。そんな最高のお客様だが、部屋を散らかして帰ることが多い。飲みきれないロング缶のストロングゼロを大量に買い込み、全て開けて少しずつ飲んで放置していく。白々しい演技のAVを鑑賞しながら缶酎ハイで利き酒でもしているのだろう。そして我慢できなくなってベッドに移動しセックスをする。こんなところだろう。備品のティッシュを床に撒き散らしながら事後の現場を処理し、朝は死んだ目で虚しさをおぼえながら風呂に向かうのかもしれない。

彼らはその後のキャンパスライフでどのような接点を保ち、どう変化していくのだろうかと考えると微笑ましかったり苦々しかったりと様々な感情が頭をよぎる。大学生のしなやかな時期にしかできない体験だろうから大いに悩み、突き進んでほしい。そのためにラブホを使ってくれることをとても嬉しく思う。

前述は建前である。大学生諸君には言いたいことがたくさんある。まず開けたストロングゼロを全部飲み干すのだ。昆虫ゼリーを啜るカブトムシぐらいしか飲んでいないじゃないか、君たちは虫なのか?それとも実はお酒が飲めないのか?牛黄でも飲んで出直してきなさい。そしてもう一つ、ティッシュを撒き散らして帰るんじゃない。猫でもこんなにティッシュを散らかさない。君らは紅白歌合戦の小林幸子ぐらい盛大に散らかして帰るが、君らは幸子ではない。幸子になってから出直してきなさい。幸子を目指せば、未来は明るいはずだ。

そんなこんなを考えていたらもう猫カフェの前じゃないか。きた道を振り返り、大学生を眺めていると段々と腹が立ってきて大学を燃やしてしまいたくなったが、その気持ちを心の奥底に押し込んで、僕は猫を触った。

あーあ、目が覚めたら猫になっていないだろうか。できればお金持ちの家のさ。

甘いもの食べさせてもらってます!