見出し画像

風の音の不思議

我々千葉県民にとって、数年前に発生した台風15号がもたらした経験にない激しい風によって起きた甚大な被害は、まだまだ記憶に残っています。市原市に住む私のごく近い友人も、あまりに大きな被害・損害を受け、家庭だけではなく経営にまで強烈な痛手を受けたと言います。

そんな友人が「あの時の音はすごかったなぁ」「いつもの風の音じゃなかったもんなぁ」と話してくれて、報道される風速等の数値だけではなく、その「音」からどれだけ凄いものであったかをお伝えできればと考えました。

ひとつ質問をしてみます。

「風の音ってどんな音ですか?」

おそらく「ピュー」とか「さわさわ」といったように、例えば漫画の擬声語にあるようなものを想像されると思います。

風そのものの音〜カルマン渦〜

実は「風そのものに音はない」のです。風は空気の流動であるため、本来は無音です。「さわさわ」という音は草木がたなびく音であるし、「ピュー」という音は電線やアンテナなどの細い物体に風が当たることによって、その線の背後に「カルマン渦」という渦(うず)が生じ発生する、「エオルス音」と呼ばれるものです(画像参照)。

また、このエオルス音は、風速が強くなればなるほど音程が上がります。風速と音程の関係は以下の式で求められます。

周波数(Hz)=0.2×(風速m/s÷物体の直径m)

直径1cmの電線に風速20mの風が吹くと、およそ400Hzとなります。

風速50mの場合は2kHzの音となるわけです。ストローハル数って言うんでしたっけ・・・記憶が正しければ・・・これ以上はもう専門外なので…(^_^;)

ちなみに、遮蔽物が全くなにもないような広い海岸でも「ゴー」っと音が聞こえるのは、耳の中でカルマン渦が発生してるからなんです。

先日「貝殻の音は蝸牛の音」という夢をブチ壊す記事を書きましたが、海岸線で風の音にうっとりしてるロマンチストな恋人に教えてあげてください。「それ、カルマン渦だからwww」って。

ヘルムホルツ共鳴

しかし、今回の台風15号は「ピュ〜」というエオルス音の他に「ブォオオオ」「ゴーーーー」というような不気味な低音が鳴り響いていました。これは住んでいる場所によって聞こえたり聞こえなかったりするのですが、上記のカルマン渦とは多少原理が異なります。

ビール瓶など筒状のものに息を吹きかけると「ボー」っという音がなります。小学生の頃にこれを応用した笛なんかを作った記憶がありますし、きっと皆様も幼少期に試されたことがあることと思います。

これは「ヘルムホルツ共鳴」と呼び、和訳すると「空洞による共鳴」です。

建築物の凹凸に対し強く風が送り込まれることから「巨大なビール瓶状態」になっているんですね。

それにしても風の音に恐怖したのは初めてです。あんな思いは二度としたくありません。


いいなと思ったら応援しよう!