見出し画像

観光業における人材確保について(2023.11.8 北海道議会 食と観光調査特別委員会 質問)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和5年11月8日の食と観光調査特別委員会において、質問を行いました。

 なお、今回登場する、沖縄県の「修学旅行貸切バス等受入体制緊急支援事業」の概要は以下のとおりです。

一 観光業における人材確保について
 今回は、観光業における人材確保について、伺います。
 
 1 観光サービス提供者の現状について
 まず、観光サービス提供者の現状認識について伺います。
 本年5月の新型コロナウィルス感染症の感染症法上の位置づけ変更以降、北海道にも多くの観光客が訪れていただいている一方で、観光関連事業者からは、人手不足により、急激な需要の戻りに対応できないとの声が私のもとにも寄せられています。
 この点については、6月21日の質疑の中でも伺いましたが、夏場のオンシーズンが落ち着き、冬場のオンシーズンを間近に控える現段階での、観光サービス提供者の状況をどのように認識しているか、伺います。

【答弁:新田 経済部観光局観光地づくり担当課長】
 人手不足の状況についてでありますが、この夏に実施いたしました人材の過不足感や、不足の著しい職種等について、宿泊事業者に対して行ったアンケート調査では、8割強の宿泊事業者から人材の不足感があるとの回答がありまして、調理やフロント業務をはじめ幅広い職種で人材が不足している状況が伺えたところでございます。
 また、直近の関連団体へのヒアリングでは、需要の回復に人の確保が追いついていないといった声や、パートタイムや短期の外国人材の雇用、業務の省力化などで何とか需要を受け止めているといった声をお聞きしており、観光関連産業における人手不足は深刻と認識をしております。
 
 2 現状把握の方法について
 6月21日の質疑においては、総務省の「労働力調査」が引用されたほか、「今後、事業者の皆様から、人手不足の詳細な実態をお聞きしながら、外国人材を含めた人材確保に向けて、より効果的な取組みにつなげてまいる。」との答弁がありましたが、先ほどの答弁に至る現状把握は具体的にどのように行ったのか、伺います。

【答弁:新田 経済部観光局観光地づくり担当課長】
 人手不足の現状把握についてでありますが、道では、今年6月下旬から8月にかけて、宿泊業団体を通じ、道内の宿泊事業者に対し、インターネットによるアンケート調査を行うとともに、直近の状況などにつきましては、宿泊、旅行、交通などの関連団体のほか、個別の事業者へのヒアリングなどを通じ、状況の把握に努めてきているところでございます。

(指摘:千葉 真裕)
 ただいま答弁がございましたが、観光サービス提供者、換言すれば観光サービスの供給力の現状がどうなっているかについては、受入体制の中核をなすものでありますので、常にその把握に努めていただくよう、指摘をいたします。

3 観光業における人材確保について
 次に、観光業における人材確保について、現在、道がどのような取組みを行っているか、伺います。

【答弁:後藤 経済部アドベンチャートラベル担当局長】
 観光業における人材確保についてでありますが、今年度、道では、道内外の宿泊業をはじめとする観光関連産業を対象とした人材確保の事例調査を行い、優良事例を事業者の皆様に紹介するとともに、求人活動のノウハウを提供する事業者向けのセミナーや、個別相談会の実施、観光産業への関心が高い移住希望者向けのマッチング支援を行うほか、職場定着に向けた専門家派遣などを行っております。
 また、こうした取組に加えまして、宿泊施設における無人チェックインシステムや配膳ロボットの導入など、業務の省力化に資する設備投資に対する緊急支援を行い、人材不足への対応を図っているところでございます。

4 今後の取組みについて
 最後に、今後の取組みについてであります。
 沖縄県では、本年9月、補正予算措置として、修学旅行のピークシーズンである10月から12月の、県外からの修学旅行受け入れに対応するために必要な乗務員等を県外から確保した貸切バス事業者に対し、県外からの乗務員等の受入に必要な渡航費、滞在費、研修に要する費用の一部を補助するという、「修学旅行貸切バス等受入体制緊急支援事業」を行っています。
 北海道と沖縄は、オンシーズン(繁忙期)とオフシーズン(閑散期)が、一時期を除き表裏(おもてうら)の関係にあるといえます。
 沖縄県の取組みのような支援の枠組みを通じて、各地域の事業者が連携できれば、観光人材が北海道のオフシーズンにオンシーズンの沖縄で働き、その反対に、沖縄のオフシーズンにオンシーズンである北海道で働くといった可能性が広がるかもしれません。
 また、すでに観光業界にいる経験者が従事することで、サービスの「質」の確保も期待できるところであり、観光業全体の人手不足対策として、こうした支援策を求める声が私のもとにも実際に届いております。
 こうしたアプローチについて、道としてどのように考えているか、また、観光業における人材確保について今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

【答弁:槇 経済部観光振興監】
 今後の取組などについてでありますが、宿泊や交通など観光関連産業におけます人手不足の状況が続く中、地域間の連携により、繁忙期の需要に対応していくことは、有効な取組みになり得るものと認識をしております。
 こうした中、本道におきましても、今年の冬期間、ニセコ地域におきまして、東京や札幌地区からタクシーの車両と運転手を調達いたしまして、外国人観光客や地域住民の円滑な移動手段を確保する実証事業が行われる予定となっております。
 人手不足の解消は、北海道の主要な産業であります観光関連産業の持続的な発展に欠かせないものでございまして、道としては、こうした取組みも参考にしながら、観光人材の効果的な確保策について引き続き検討してまいります。

(指摘:千葉 真裕)
 ただ今の答弁にありましたとおり、「観光」は北海道を支える大きな柱のひとつであり、その持続的発展は極めて重要です。
 観光サービスの供給力に絶えず気を配ること、また、国や他都府県、民間事業者の取組み等も参考にしながら、広い視野、柔軟な発想で観光業の人手不足対策にあたっていただくよう、強く指摘して、今回の私の質問を終わります。(了)

いいなと思ったら応援しよう!