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対欧米豪戦略・施策について(2024.2.5 北海道議会 食と観光調査特別委員会 質問)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和7年2月5日の総務委員会において、質問を行いました。

 なお、質問の中に出てくる、「観光レップ」とは、インバウンド誘致のため、自治体などの代理として、現地メディアや現地旅行事業者に対し、情報提供やプロモーションを行ったり、現地の情報を収集したりする事業者のことです。


一 対欧米豪戦略・施策について

 日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年の訪日外国人数(推計値)は、3,686万9,900人と、コロナ禍前2019年を約500万人上回り、過去最多を更新しました。
 また、昨年12月に本委員会で報告があった2024年度第1四半期観光入込客調査では、コロナ禍前2019年度同期比で、アメリカやオーストラリアがアジア圏に比して高い伸びを示しています。
 昨日からさっぽろ雪まつりが開催されていますが、実感としても、欧米豪の方と思われる観光客が増えたように思います。
 そこで、対欧米豪戦略・施策について伺います。

(一) 欧米豪に対する戦略等について

 まず、道として、欧米豪に対してどのような戦略を有し、どういった施策展開を行っているか、また、各施策のKPIをどのように設定しているのか伺います。

【答弁:茶谷 経済部観光局誘客推進担当課長】
 欧米豪に対する戦略等についてでございますが、道では、東アジアからの観光客数増加に加え、東南アジアや欧米豪からの観光客数の増加を目指すこととしております。なかでも欧米豪は滞在日数が長い傾向があり、令和5年度の調査で、中国の道内宿泊数の平均が5.8泊に対して、欧州が9.1泊、米国・カナダが9.3泊、豪州が9泊となっているほか、アドベンチャートラベルが好まれる市場であることから、アドベンチャートラベルワールドサミット開催を契機として本道の認知度向上を図るとともに、ATガイドの育成を行うなど、欧米豪の市場開拓に向けて取り組んでいるところでございます。
 欧米豪の市場開拓に向けては、観光機構と連携して、観光レップとも呼ばれる、自治体の代理として民間企業がセールスやプロモーションを行う現地パートナーを活用して、誘客に向けた情報収集やネットワークづくり、旅行博出展、旅行会社向けセミナー等のプロモーションを実施しており、事業開始から、欧州が3年目、米国が2年目、豪州が1年目となっております。
 現地パートナー事業では、現地旅行会社への営業活動件数やニュースリリースの発信件数、観光セミナーへの参加数、実際に造成・販売された旅行商品数などをKPIに設定しております。


(二)レップの活用について

 次に、現地パートナー、いわゆる観光レップについてですが、欧米豪各地の観光レップが収集した情報や人的ネットワークが、道における観光諸政策に、具体的にどのように反映されているのか伺います。

【答弁:茶谷 経済部観光局誘客推進担当課長】
 現地パートナーの活用についてでございますが、現地パートナーが収集した情報は、最新の市場の傾向を知ることができるほか、営業活動でしか知りえない情報などがあり、構築したネットワークを通じて、現地の旅行会社に詳細な本道の観光情報を伝えるなど、相互に情報交換を行うことができております。
 主な例としては、「東京から道内各地への交通に関する情報を知りたい」との現地旅行会社からの声を受けて、交通事業者と連携した情報発信や旅程の提案を行ったり、セミナーや商談会を通じて本道観光の情報提供をしたことにより、北海道旅行商品の造成や販売を行った旅行会社に対して、その後の販売状況等の聞き取りや、聞き取りで得た顧客ニーズに対応した情報提供など、市場動向に適合した効果的なプロモーションを実施しているところでございます。


(三)欧米豪市場に向けた体制整備について

 現地パートナー事業については、「観光のプロ」である事業者に情報収集等を任せることによるメリットがある反面、事業年度が1年であることから、事業者の交代等により、道に情報及び人的ストックが蓄積されないのではないかとの危惧もあるところです。
 これからの北海道観光推進の観点からは、道職員を欧米豪に駐在させるなど、積極的な体制整備が必要と考えますが、道の認識・所見を伺います。

【答弁:金盛 経済部観光局誘客担当局長】
 欧米豪市場に向けた体制整備についてでありますが、現地パートナーには、本事業において、専用のメールアカウントを使用するよう定めておりまして、収集した情報や旅行会社等の名簿、作成した資料や成果物などは観光機構に帰属し、現地パートナーが構築したネットワークを通じまして、本道と現地旅行会社等との人的な繋がりも形成されているところであります。
 道といたしましては、引き続き、民間の知見を活用した現地パートナー事業を活用し、欧米豪の市場開拓に向けて取り組んでまいります。
 また、取組みには継続的な視点が必要なことから、委託事業者の交代等があった場合にあっても、影響がでないよう努めてまいります。

 (指摘:千葉 真裕)
 ただいま、「道としては、引き続き、現地パートナー事業を活用し、欧米豪の市場開拓に向けて取り組んでまいる。」との答弁がありました。
 私は、観光のみならず、国際経済等の観点からも、欧米豪における拠点設置や道職員派遣の必要性は高まっていると考えますので、一般質問等で知事の考えを改めて質すことといたします。


(四)地域別、市場別の戦略について

 これまで対欧米豪戦略・施策について伺ってまいりましたが、来年4月からスタートする次期「北海道観光のくにづくり行動計画」の検討が始まったところと承知しているところです。
 次期計画においては、東アジア、東南アジア、欧米豪といった地域別、市場別の戦略を規定する必要があると考えますが、観光振興監の考えを伺います。

【答弁:小田桐 経済部観光振興監】
 地域別、市場別の戦略についてでありますが、コロナ禍が明け、観光需要は本格的な回復基調にあり、観光庁調査によりますと、昨年の訪日外客数は過去最高を記録したところでございますが、首都圏など都市部に集中し、本道をはじめとする地方部においては引き続き回復途上にあると認識しておりまして、インバウンド需要を確実に取り込み、本道観光を力強く成長させていく取組みが重要と考えております。
 道といたしましては、昨年12月、北海道観光審議会に次期行動計画の策定を諮問したところでございますが、審議会委員からは、インバウンド誘客にあたって、為替や国際問題発生などを考慮し、「ターゲット市場は特定市場に偏らずバランスよく定めていくべき」、「リピーター層が増えている地域では、モノ消費からコト消費への転換が必要である」などの、ご意見をいただいたところでございます。
 道といたしましては、インバウンドの市場特性を的確に捉えたうえで施策を戦略的に展開していくことが重要と認識しておりまして、次期計画の策定にあたりましては、審議会委員の皆様のご意見を伺いながら、各種統計などをもとに地域別、市場別の戦略について検討してまいりたいと考えております。
 以前、ご答弁をさせていただきましたが、私、国土交通省におりました際に、北海道総合開発計画ですとか国土形成計画の計画分野を担当しておりまして、長期展望ですとかビジョン取りまとめの執筆なども担当していたこともございます。
 そういった経験からも、いま答弁させていただきましたとおり、各種統計ですとかデータに基づいてビジョンを策定していくということが基本、根本だと思っておりますので、私といたしましても、審議会の委員と、引き続き議論を丁寧に重ねてまいりたいと考えているところでございます。(了)

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