ジュリエットへのラブレター
彼女と人生で初めて会った日、なんばの路上でたこ焼きを食べて、美味しい〜!って少し上を向いて笑った横顔を鮮明に覚えている。
これはごく個人的な、ある人への手紙である。彼女が見るか見ないかは問題ではなくて、ただ彼女に会いたすぎるのでここに私の気持ちをラブレターに認めることにする。(会う約束がコロナに潰された)
彼女と初めて知り合ったのは、私が二つ目の高校を退学するかしないか決めかねている頃だった。もう暑さも思い出せない、夏のこと。
出逢い方の詳細は省くが、彼女は最初からとってもうつくしくて、立ち姿がまさに百合のようで、笑った顔がオードリーヘップバーンみたいに優雅でチャーミングだった。勿論それは今も変わらない。
彼女は私の中できらきらのお姫様のような存在で、加えて当時ロミオとジュリエットのような恋をしていたので、自然と私は彼女を「ジュリエット」と呼ぶようになった。
ふざけて(しかし半分以上本気で)「私のジュリエット」と呼ぶと、笑いながら「とおりのジュリエットだよ〜」とふにゃふにゃの声で言ってくれるのが好きだ。
ジュリエットはしかし勿論、童話の中のお姫様ではない。
彼女は、煌びやかなドレスを纏って、優雅に華麗に現実を泳いでいる、筈もなくて。
私が知る限り、彼女は誰よりも現実に、理想に苦しんで足掻いている。
みんなが知る所ではあのオードリーヘップバーン顔負けのチャーミングな笑顔を振り撒いて、でも水面下ではバタ足を続けている。麗しい白鳥のように。
私にすらその半分も見せてはいないのだろう。彼女の強さはどこからくるんだろうといつも不思議に思う。
私が思う彼女の強さは美しさだ。
美しいから強い、強いから美しい、それもあると思う。
でもきっと、彼女が誰よりも美しくあろうと足掻いているからこそ、強く美しく、私を魅了して離さないのだろう。
美しさとは。彼女を見ているといつも考えさせられる。
(余談だが、ここまで囃し立てて、実際はそんな美人でもないんでしょう?と思われるだろう。
しかしびっくり、ジュリエットは見目がほんとうに麗しいのだ。)
私はジュリエットを友達とも親友とも言えなくて、いつも上手く言い表せなくて困ってしまう。
でも結局、運命論者の私が導き出すのは「運命で繋がった人」で、「心の恋人」なんだろうなと思う。
私のジュリエット、
愛しているよ、心から。