見出し画像

二世達のアイデンティティ

私には子供が二人いる。日本生まれ、日本育ちで、日本語しか喋れない。ここバンコクでも一人は日本人学校に通ってる。

"なぜ、日本語しか喋れないの?

普通、中国人や韓国語の子供はだいたい母国語が話せるか聞き取れるぐらいの母国語レベルはある。ではなぜ、お家で言語環境作れるのに、日本語しか喋れない子供に育ってたのか。もったいない。と思う人も多い。

今思うと、"私たちのように中途半端な人間になって欲しくなかった"というのが理由かもしれない。多言語を操れるメリットを誰よりも知っている私たち。しかし、言語よりもアイデンティティの方がより重要だと思った。とにかく、子供達には100%日本人の感覚を持って欲しかった。
二人とも1歳から認可保育園を通わせたので、自然と日本語に触れる機会が多い。また、今もそうだけど、お家での公共語は日本語だった。
計画通り(?!)子供達は"何人ですか"と尋ねられると"日本人だよ"と言ってる。
誤解して欲しくないのは、日本人が中国人より上とか、韓国人より上とかではなく、単純に原住民レベルの人になって欲しかった。たまたま、この子達は日本生まれなので、日本人になって欲しかっただけだ。
結論から言うと、今、子供達はよくも悪くも日本人の感覚が体に染み付いている。それは、バンコクに来た時も色々実感できた。例えば、横断歩道を渡る時、タイ人を含めて大勢の人は信号無視して、道を渡る。中国で生活したことがある私にとっては、ごく普通の光景だが、はじめて海外に出た子供達にとってはとても衝撃的なことだったよう。信号が変わるのをずっと待っている娘に"私たちもみんなと一緒に渡ろうよ"と言ったら、"ここは我々日本人を捨ててはいけない。ちゃんと交通ルールを守りましょう"と日本人としての意地を見せてくれた。
ただ、だからと言って、子供達に影響がないわけではない。例えば、学校に迎えに行くと、知らない子供から"〇〇くんは中国人なの?"と聞かれたり、授業中、中国の話題が出るとクラスメイトからの熱い目線を感じられるなど、色々ある。普通に友達と遊んでるのに、見知らぬ子供から"ニーハウ"と揶揄われることもあったそうだ。それでも、子供達は深く傷つくこともないし、むしろ笑い話にして他の日本人友達と話している。ここは、私たちより何倍もタフに育ったなぁと思う。
更に、子供達が成長するに連れて考え方や判断力が成熟していくため、私たちの基準になってくれたり、指摘されることもよくある。例えば、"ママ、そればチャイナの考え方だよ"と否定されることもあれば、反面、建前と本音がある日本人文化と違って、"ママ、韓国人や中国人は好き嫌いがはっきりしているが、一度友達になったらめっちゃ深い付き合い方をするから、とってもいいね"など、肯定的な意見をする時も増えた。(チャイナ→悪いと思った時の表現 中国→普通、いい時など)
要するに、日本人として育ってたつもりだが、生活の中ではどっちの文化も見て成長するので、子供達なりのWho am I?に対してのアイデンティティは形成されたと思う。
ただ、私たちがいちいち自分たちの生い立ちを説明しないのと同じように、子供達も自分たちの先祖代々の国籍なんて説明しない。恐らく、そのうち、深掘りしたくなる時は来ると思うが、それまでは日本人の心で生きて行ってほしい。
人生に正解はない。選んだ道を堂々と歩むだけ。

↪️続く

いいなと思ったら応援しよう!