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マルチリンガルの頭の中:言語中枢を中心に紐解く私の頭の中

「マルチリンガル脳」と聞くと、一体どのような仕組みで複数の言語を操っているのか、不思議に思ったことはありませんか?今回は、脳科学の視点も交えつつ、マルチリンガル脳の謎に迫ります。特に、言語習得・処理の中核を担う「言語中枢」に焦点を当て、メカニズムを解き明かしていきます。
たくさん外国語が喋れるというと凄い人!とかすごく頭が良い人!と思われがちですが、外国語がたくさん喋れるのと頭が良いことはイコールではありません。
その証拠に私は日常生活では結構なポンコツですし、頭が良ければ良かったなと思うことは少なくありません…記憶力は喋れる言語が増えてから多少良くなったかな?くらいで単語を覚えたりするのも得意ではありません。いつも頑張っています。
喋る言語によって少しずつ性格が違ったり、表情やジェスチャーも違ったり、自分でも不思議だなと思うことはとても多いです。
マルチリンガルの頭の中、覗いていきましょう!

言語中枢:マルチリンガル脳の司令塔

大前提として私の中で日本語と英語スペイン語は同じくらいのレベルです。日本語圧倒的に母国語で知識も多いですが、日常使いではこの3カ国語は同じくらいです。続いてフランス語。そこからもうワンランク下がってポルトガル語です。今、ロシア語とアラビア語を勉強しています。
よく「何語で夢を見ますか?」とか考え事をしている時は何語で考えていますか?」という質問をよく受けます。
夢は全ての言語で見ます。夢の中でロシア語やアラビア語を喋っているときもあります。
考え事は何語でしているかわからないことが多いです。言語の前段階の何か観念的な何かがあって言語を解さずに考えていることも多いですし、特定のことがらに関連した言語で考えていることが多いです。柔術のことなら日本語かポルトガル語だったりとか。

脳科学の研究では、マルチリンガルであっても、それぞれの言語ごとに独立した脳領域が存在するわけではないことが明らかになっています。代わりに、「言語中枢」と呼ばれる領域が、複数の言語情報を統合的に処理し、言語習得・処理の司令塔としての役割を果たしています。

この言語中枢は、高度な情報処理能力を駆使して、複数の言語情報を効率的に管理・運用しています。例えば、日本語で思考していた内容を瞬時に英語で表現したり、ポルトガル語の歌を口ずさみながらフランス語のメールを作成したりするのも、言語中枢の優れた情報処理能力があってこそと言えるでしょう。

そして、この言語中枢のおかげで特定に言語を使用しなくても思考が成立する、というのもあるのかなと思っています。

言語スイッチ:脳内の選択的注意メカニズム

マルチリンガルは、状況に応じて使用する言語を適切に切り替えることができます。これは、「言語スイッチ」と呼ばれる選択的注意メカニズムが働いているためだと考えられています。言語中枢は、特定の言語に焦点を当て、他の言語からの干渉を抑制することで、円滑なコミュニケーションを可能にしています。
本当にスイッチが切り替わるみたいに喋る言葉を変えることができます。

しかし、この言語スイッチは常に完璧に機能するわけではありません。時には、異なる言語の単語が混在したり、文法が混同したりする現象(言語干渉)が生じることもあります。これは、言語中枢が複数の言語情報を同時に処理しようとする際に、類似した情報同士が干渉し合うことで起こると考えられています。

最も干渉するのは苦手な言語同士。ロシア語とアラビア語の混線激しいですし、ポルトガル語安定するまでは、ポルトガル語を喋っているつもりなのにフランス語に切り替わってしまっていたりしました。あとは知識が少なくて、スペイン語とポルトガル語を混同していることもありました。
ぼーっとしている時に日本語で喋りかけられて、うっかりスペイン語で返してしまうなどもあります。
スペイン語の「え?」は「ア?」ですし、「何?」は「ケ?」ですし、なかなかアグレッシブに聞こえてしまって人を怖がらせてしまうこともよくあります…

あとは言語中枢に関わった事は非常に忘れにくいというメリットがあります。他人との会話に関しては結構忘れにくいので、言った言わないの喧嘩になった時や取り調べの通訳の時なんかはどこら辺にメモしたかまで覚えているので、その前の話の流れから説明できたりするので結構嫌がられます。笑

あと、1日で多言語を激しく使うとめちゃくちゃ疲れますし甘いものが欲しくなります。そして、なんなら痩せます。脳が凄い量のエネルギーを消費しているのだなと思います。

マルチリンガル脳のメリットと課題

マルチリンガルであることは、脳にとって絶え間ないトレーニングのようなものです。複数の言語を扱うために、脳は常に活性化され、情報処理能力を高めようとします。特に、言語中枢は、複数の言語情報を効率的に処理するために、高度な情報処理能力を発揮しています。

この継続的な脳の活性化は、問題解決能力創造性の向上にも繋がるとされています。また、言語中枢が言語情報だけでなく、それに関連する文化的背景なども同時に保持していることから、マルチリンガルは多角的な視点柔軟な思考力を育むことができると考えられています。

やはりモノリンガルの方こそ「こうあるべき」というのが強いですが、やはり多くの文化や人と関わるので、「そういう風に考えるんだ」と行動や意見の違いにとても寛容です。
ただ、受け入れ耐性がありすぎて、最終自分が合わせざる得なくなりしんどくなってしまったりすることもよくあります。移民問題も結局、こういうところから色々摩擦が発生してくるんだろうなと思います。

一方、マルチリンガルであるが故の課題も存在します。前述の言語干渉に加え、複数の言語を維持するために多くの認知資源を必要とするため、一時的な言語能力の低下が生じることもあります。これは、言語中枢が特定の言語に焦点を当てる際に、他の言語へのアクセスが一時的に制限されるためだと考えられています。
一番怖いのが言語中枢のマスター言語であろう日本語を長いこと使わない時です。バルセロナに住んでいた時に本当に日本語を使わなさすぎて、帰国した時に日本語が出てきにくいという症状が出ました。その時は思考力が全体に落ちた感じもして、しんどかったのを覚えています。今は子どもと日常的に日本語で話すので、どこにいても日本語を使わないという事はないですが、あの時は英語も喋れなくなり、結構困ったのを覚えています。マスター言語をスペイン語に書き換えていたのを、もう一度日本語に戻して再起動をかけていた感じなのだと思います。あれは怖かったです。

まとめ:マルチリンガル脳の神秘

マルチリンガル脳は、まさに「多言語ワンダーランド」と呼ぶにふさわしい、複雑かつ精緻なメカニズムによって支えられています。言語中枢を中心に、複数の言語情報がダイナミックに処理される様子が私の頭の中で起こっているようには感じられないのがまた凄いところだと思います。

この記事を通して、マルチリンガル脳に触れ、その魅力を感じていただければ幸いです。

追伸: もしあなたがマルチリンガルを目指しているなら、ぜひ挑戦を続けてください。それは、あなたの脳を活性化させ、人生を豊かにする素晴らしい経験となるでしょう。ボケないらしいよ!

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