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逆算

夜のジャンプ台やクロスカントリー会場も大変素敵きな光景です。
金曜日の夜でも練習に励む選手はもちろん一般の方々もおり、本当にスキーが好きなんだと感じました。

また、こちらの歴史を知れば知るほどここで行うノルディック競技(ジャンプ、クロスカントリー、コンバインド)がもの凄いのだと日を追うごとにその深みを感じます。


逆算するコーチング

ところで、私は幼い選手をコーチングをする際、彼らが将来どのようになるのか逆算するように意識してます。以前はそれが「ふっ」と感じた時に行っていたのですが、今は意識的に行うようにしてます。

時期や量、質など強弱はありますが、ノルディックスキーを始めて幼い選手のレベルが上がり始めた際は特に逆算するコーチングを行っています。

なぜかというと、幼い頃の技術や癖、取り組んだ内容や環境、それらの知識などが将来に大きな影響を及ぼすと考えているからです。
また、逆算した方が練習の意味や計画など作成も明確になる感覚もあるからです。

こちらノルウェーでは育成から強化がスムーズなため、その逆算の量は少し緩やかな印象ですが、幼い頃からスキーに乗っている経験やそれらができる時間や環境、施設やコーチなどの量や知識が豊富でまた充実しているからだと思います。

特に小学生くらいの選手のコーチングは技術指導も行いますが、伸び伸びと楽しく行なっている印象の方が強く感じます。
クロカンスキーを履きジャンプを飛ぶ彼らを見ると、それらは一種の遊びのようにも感じました。

ノルウェーに比べて日本はどちらかというと遊びというよりかは練習という雰囲気に感じます。

特にこれらは強制的になりやすい印象があるため、そのバランスが大変難しいと感じました。幼い頃の技術指導が疎かになると将来クリアしなければいけないハードルが高くなりますし、かといってそれが主となると幼い頃に必要な楽しみ遊びでなくなってしまいます。

スポーツとは…それらの環境の中で遊び楽しむこと、と私はと考えているため、特に幼い頃のコーチングはとても重要ではないかと考えています。私たちコーチはそれらの環境を整えながらその子や運動能力や心身の成長など鑑みることがとても重要と考えています。

また、選手が目指す目標に対し、少ない練習回数でもその条件を逆算し将来の壁が少しでも低くなるようなコーチングが、日本で求められるスキルではないかと感じました。

幼い頃は知らないうちに強くなってたというのが理想ですね!

もしかすると日本だけではなく去年に伺った中国など、アジア圏が幼い頃の逆算がコーチとして必要不可欠なのかもしれません。

Sognsvannという湖があるところ。
月曜日の午前中の様子。
先生が火をおこし小学生がマシュマロを焼いて食べていた。
平日なのにこの自由さにはいつも驚かされる彼らの生活。
桟橋の白く見えるのは湖の氷の上に積もった雪。
地熱が低いためか、連日暖かい日が続いていたが、湖はしっかり凍っていた。
夏に来た際、ここでよく泳いだ。
湖の周りを夏はランニングや自転車を楽しみ、熱った体を冷やした。
サウナと水風呂の交換浴のような感覚が心身ともにリフレッシュされた。
しかし、冬もこうして氷を破り冷たい水に浸かる彼ら。
免疫力を高めるのか。
冷たい湖に使った後、サウナなど温まるところは無い🤣
その後の彼らはどうしているのだろう??
厚い氷に覆われる。
寒さで雪の結晶が面白い形に!
ここ以外にも歩道なども凍っているところがほとんどのためスパイクピンがついている靴を持参して良かった。
氷の上を走る人もいる。
スパイクタイヤを履いた車が除雪する。
ランナーが走る氷のところだけは思っていた以上に滑らなかった。
いくつかレーンがあるが、こちらはスケート専用コース。
スケートも皆上手!犬の散歩も楽しむ様子。
一見、クロカンの道具ではあるが、スキーとなる部分のみスケートのような特殊な道具になっている。
スムーズな滑りでとても速い移動はアッという間に目の前を通過し遠くへ進んで行った。
勢いをつけながら軽快な滑り。
空腹などハンガーノックになった時にお世話になったラズベリーたち!
夏の時は奥のラズベリーが見えないほど豊作であったが、冬は少し小さく見える。
T-baneのMidtstutuen駅周辺。
ノルウェーを調べてみるとソリ滑りを楽しむ映像も。
なぜこんなに流行るのか疑問だったが、その意味がわかった気がした。
これもノルウェー伝統の遊びのようだ。
合成した木を曲げて作る手間暇かかる工程。
雪面に触れるところは分厚い鉄板が施されている。
ソリに座り体を傾けると若干それらも撓みコーナーを曲がる仕組み。
重量はあるもののしっかりした作りと、細かな細工も精密に作られているのに感動した!
遊びも本格的なここノルウェー笑

Norges Cup Kombinert Holmenkollen

14日(金)から16日(日)までHolmenkollenで開催されたコンバインド競技大会。
もちろんHolmenkollenのジャンプ台であるため、こちらはK点が120mのラージヒル。
日本国内で開催するコンバインド競技はK点が90mのノーマルヒル。
ノルウェーの選手はもちろん、数名のポーランドの選手も出場する幅広いレース。
クラスとしては中学生から高校生の少年組、そして一般の成年組と2クラス設けられ、日本のレースとの格の違いを感じました。
大会結果

前半ジャンプ競技

その中でも驚いたのが、コンバインドの中学生の選手がラージヒルに参戦するという!
日本でもここ最近では札幌ジャンプスポーツ少年団の中学3年生でコンバインドとして活躍する姫野選手と森選手もおりますが、こうした若手の選手が大きなジャンプ台に挑戦し、また実力も発揮するということは将来本当に楽しみです!

また、コンバインドの選手はジャンプの選手に比べてジャンプ練習に費やす本数など時間がほぼ半分です。
なぜなら、クロスカントリースキー競技(クロカン)も行わなければいけないからです。

もし仮に、コンバインド選手がジャンプ練習を多く行った場合、ジャンプの能力は向上しますが、クロカン能力は低下します。
もちろん、逆も然り…

個人の能力や年齢によりますが、ジャンプとクロカンのバランスがとても難しいところがこのコンバインドという競技の面白いところです。

その週末の試合にkollenhoppの中学生、Jørgen(ヨルゲン)選手が優勝し素晴らしいジャンプと力強いクロカンレースを披露してくれました。

助走路姿勢や空中のスキー操作などまだまだ荒削りな部分はあるものの、クロカンも同様、勢いのある姿は将来の活躍が期待できるほどの高いパフォーマンスに感じられた。

週末行うこの大会は悪天候が予想されたため、金曜日の公式練習の後に週末行う二日間の前半ジャンプを全て行うこととなりました。
午後8時から公式練習が開催され、その後土曜日の試合の前半ジャンプ1本、日曜日の試合の前半ジャンプ1本、合計3本の前半ジャンプ競技が金曜日に全て行われました。

当日、私の仕事でもあるライン引き。
左右の画像2つとも見本。
この通りに引かなければならなかったが、赤い線の上から3本目を短く引くのを長く引いてしまったという失態…
これで2度と間違えることはないでしょう笑
着地するランディングバーン60m付近の様子。
ここからジャンプ台へエントリーしジャンプ台整備を行った。
左のスキー板は運営側が用意した板。
右のスキー板は私が用意した板。
どちらもノルウェー製。
まさか、自分が買ったノルウェー製のスキー板で伝統あるこのジャンプ競技場を滑るとは思わなかった、ちょっとした驚き。
風の条件を見たり、今日の大会の流れを互いに話し合う様子。
大会は全てネットでライブ配信される。
それらを確認する様子。

後半クロスカントリー競技

15日(土)は12時にジャンプ台のワックスルームに集合し、参加する選手のスキー手入れを行いました。
今回も前回同様、同じワックスを施し、皆同じ条件で後半クロスカントリー競技が行われました。

スキー手入れは各段階があるため大会に参加する各コーチが集まり、皆で協力して流れ作業で行われた。
手入れ終了後、アメリカで開催されているジュニア世界選手権のライブ動画を皆で観戦。
ノルウェーの方のスポーツに対する熱量が半端ない笑

この日は午後2時から後半クロスカントリーが行われました。
少年組(中学生から高校生)も、成年組もkollenhoppの選手が優勝しました。

スキーを持つのが優勝したJørgen選手
シーズンに数試合行われるため、総合トップの選手には皆と違う色のゼッケンを着用する。
これは選手にとってとても嬉しいことでもある。
kollenhoppのシニアジャンプ選手を指導するMariusコーチが急遽DJを行う。
とても上手で会場も大いに盛り上がった。
本来、彼が選手をサポートする予定であったがDJを務めるため、急遽私が代わりに選手のコーチングを行った。
先頭や後続の選手のタイム差を読み上げたり、フォームチェックやそのビデオ撮影、またストックなど破損の対応のための予備ストックを持ち歩くなど対応をした。
ゴール付近。
僅差になった時にカメラ撮影など高い建物から見下ろして判定をする。
それらの施設も十分に備わっている素晴らしい環境。
役員の打ち合わせの様子。
私はコーチも行ったがそれと同時に役員も行った。
パイロンを置いたり逆走する一般の方など交通整理などを行った。
私はクロカンスキーを履いていたため移動はもちろん作業も大変スムーズに行え、レースも作業も楽しんだ。

16日(日)は午前10時に競技が行われるため9時前に到着し、パイロンの設置を行いました。

この日もkollenhoppの選手が活躍し大変嬉しいのと同時に、少ない役員人数でこうしたレースを行う効率的な方法なども前回含めて大変勉強になりました。

このような規模の大会も、ここノルウェーで行う運営など競技に携わる多くは父兄や父母の協力が主であったため、私のようなボランティアは珍しいようでした。
その為、いろいろな方に何度もお礼をいただいたのが大変嬉しかったでした。

来週はVikersundというところでスキージャンプノーマルヒル競技が行われるそうですが、もし機会があれば伺い、様々な地域で行う育成や強化に励むコーチたちはどのように逆算しながらコーチングしているかを観察し自らの学びを深めたいと思います。

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