中国黒竜江省亜布力(ヤブリ)に到着
ヤブリへ到着
11月1日(金)に中国黒竜江省ハルビンへ到着しその後入国手続きを無事終え、先週の水曜日にヤブリに到着しました。こちらはよく雪が降るためスキーが盛んだそうです。スキー場もとても大きくたくさんのコースがあります。今はスキー場の山頂から中腹までの間、気温が低いため人口降雪機を稼働しシーズンに向けて備えています。因みに関係者に確認したところ中腹から山麓まではまだ気温が高いため人口降雪機稼働できないとのことでした。
宿泊施設
私が今住んでいるところは黒竜江省の冬季スポーツ選手のみが利用できる寮でお世話になっております。いろいろある棟の中でこちらはノルディック競技(クロカン、ジャンプ、コンバインド)の選手が利用できる建物で、1階から3階まであり、2階には食堂や洗濯機などがあります。
選手層
私がコーチをする黒竜江省のジャンプとコンバインドの選手は10歳から25歳の男女含めて約30人くらいです。そのうち14歳から25歳の男女含めて10人くらいのジャンプ選手をコーチングしております。
中国の環境について
彼らがどのような環境で教育を受けたりスキーをしているのかお話ししたいと思います。
教育について
小・中学校までは義務教育で、高校や大学進学なども受験し入学するシステムはほぼ日本と同じだそうです。
しかし、高校から大学に通うとなると大変お金がかかるそうで大学を卒業しないと会社に勤めること難しく貧困の格差がこうして教育の格差となるそうです。
スポーツについて
特に小学校と中学校は無料で学校に通うことができますが、そこに通わずスポーツに専念することもできるそうです。各家庭の価値観や環境などでそれらを選択できるそうです。スポーツを選択するとそれらに専念できる環境が整っており、寮に住み宿泊や食事など省から提供していただけるため無料で宿泊することができたり、使用する道具なども省から無料で提供してくれたり、専門のコーチがいて体育館やジムなども環境は整っています。
このように中国の選手たちは日本のシステムなど私たちのように学校へ通い少年団や部活に所属し平日は夕方練習、土日を利用し一日練習などをする環境とは全く違いました。
壮絶な環境
彼らはスキーなどスポーツを選択すると親元から離れ省などが用意する寮やホテルなどに長期間滞在し、朝から晩まで練習を行います。もちろんその遠征や合宿の際には自宅に戻ることや親と会うことはほぼできません。中には子供の顔を見るために遠くから親が寮まで来る家庭もありますが、そういったケースは珍しくほぼ家族と会うことができないそうです。
私は今12歳の娘がおりますが彼らとの思いを重ねると、親の愛情が必要な時期など幼い選手にとっては壮絶な環境かと感じました。
価値観の変化
彼らはなぜジャンプやコンバインドなどこの競技を選んだのかはわかりませんが、こうしてスキーはもちろん様々なスポーツを幼い頃から専念するために選ぶ理由として将来その競技への成功のために幼い頃からこの環境を選択した家庭もあれば、その一方で家庭が貧しく義務教育もある程度お金がかかるためその金額を払えない家庭や三食食べることが大変な家庭もあり、こうして親元を離れ良い環境で生活や将来の成功のためにスポーツを選ぶ家庭もあるそうです。
この状況を目の当たりにした私は「中国国内チームでコーチを引き受けるということはただならぬ責任の重さ」を感じたのでした。
もちろん、前職など今までのもそれらを感じておりましたが、今まで知っている選手らの環境とは全く違い、ここで競技する彼らのバッググラウンドを知ることによって今までの経験や価値とは全く違うため、コーチとしての価値観を大きく変える貴重な機会でした。
スキーをする価値とは…
様々な人生の中に偶然出会ったジャンプやコンバインド競技。彼らが感じるスキーやスポーツの価値や、それらに自らの人生を投資する価値などは一体何なのか…
残り約1ヶ月半ほどではありますが、少しでもそれらに触れることによってまた違った価値観や考え方はもちろん、私自身のコーチをすることとは何なのかを更に深めることができるのではないかと感じております。
こうした各国の国情や社会情勢が様々違う環境で、彼らがスポーツを通じて社会に与える影響など黒竜江省らの方々から学ぶことがたくさんあるのではないかと感じました。
このような機会をいただいたことに感謝しコーチの技術の向上は当たり前ですがそれら以上に彼らの貴重な人生のほんの僅かなスキー競技人生も、私なりに支えることができたらと思います。