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善光寺界隈リノベーション事例巡り7軒

2018年末、長野市善光寺界隈のリノベーション事例を巡ってきたまとめです。

<目次>
「続 古き良き未来地図」
1. 1166Backpackers
2. ナノグラフィカ
3. 藤田九衛門商店
4. MAZEKOZE
5. 大福屋
6. ぱてぃお大門
7. 平野珈琲
まち全体について感じたこと

まずは参考にした冊子をご紹介しますね。

続 古き良き未来地図

善光寺界隈で、古き良き建物をリノベーションした
沢山の事例とマップが載っています。掲載事例数は80軒も!
掲載スポットで購入・閲覧が可能です。

こちらの記事でも詳しく紹介されています。

この冊子の掲載スポットをいろいろ巡った中から、7軒を以下にまとめます。

1. 1166Backpackers →HP

ゲストハウス好きな旅人たちの間でも名高いゲストハウスの一つで、
以前からずっと行ってみたかったのです。
ここが未来地図に載っていたことが、善光寺行きたい欲を後押ししました。

チェックインした日は、すき焼きイベントが開催されました!

イベントには、宿泊客やスタッフさんのほか、お隣さんや地元の方々の姿も。
地域に開かれた宿なのです。
様々な立場の人たちが交流できる素敵な時間でした。

話していると、銭湯がお好きな方がいらして、近くの銭湯へ一緒に向かうことに。
宿で貸してくれる銭湯セットがとても味わい深い!

銭湯もレトロで趣きがありました。
誰かと一緒に浸かる銭湯というのも、また良きものです。

こんな風に、はじめて会った人たちとも関係を築くことができて、
その土地の情報を教えてもらえるのは、地域密着のゲストハウスだからこそ。
3泊4日の間、とても豊かな時間を過ごすことができました。

リノベ事例巡りにあたっても、スタッフさんたちに情報をいただけました。
もちろん、観光情報や飲食店情報も教えてもらえます。

2. ナノグラフィカ →HP

築100年の古民家が、編集室・住居・喫茶室に改装されています。ほっこり〜

1166Backpackersのスタッフさんが
曜日限定でこちらで喫茶を営んでいるということで、
ちょうどそのタイミングに訪れることができました。
モーニングプレートはパンorピザが選べて、ピザを頼みました。うま!

前の晩にすき焼きをご一緒した面々が、入れ替わり立ち替わり登場(笑)
旅先なのに知ってる人とバッタリ会うって、なんだかちょっと嬉しいし、
温かい繋がりの中で暮らし働いている地元の人たちも羨ましいです。

そして店内には、いい感じの冊子がたくさん!

ナノグラフィカさんの編集室で制作されたものが中心で、
地域のことを、センス良く、かつ自然体で、紹介しているものが多いです。
この界隈ではこうした「エリアブックレット」が盛んなようで、
下の記事ではリノベーションとの関係性に言及していて興味深いです。

3. 藤田九衛門商店 →HP

こちらのお店の名物商品は、「鯉焼き」!

海なし県だから、「鯛焼き」ならぬ「鯉焼き」とのこと。納得。
そんな視点で道行けば、信州名物として鯉の看板がチラホラ。
全国一律商品でなく、地域の特性を読むということを考えさせられます。

材料にもこだわった一品で上品な味わいでした。
日本各地のお抹茶とともにイートインできます。

そんな店内で存在感を放つのが…

おくどさーん!!!

聞けば、中身はロケットストーブだそうです。
煙まで燃焼させて煤が出ない。
おくどさんの欠点をまかなった新しいスタイルに目からウロコです。(鯉だけに)

奥のベンチの下に熱気が流れる仕組みになっていて、お尻ぽかぽか。
優しい温かさにほっこりしました。
(そしておくどさんについて店主さんに絡みまくってしまった)
おくどさんの仕上げは黒漆喰というこだわりよう。

リノベーションにあたって、京都の建物も参考にされたそうで、
外観を見れば簾がかかって確かに京都風。

商品も建物も素材からこだわった落ち着く空間で、
「古き良き」とはどういうことかと考えを深めてきたのでした。

4. MAZEKOZE →ブログ

鯉焼き屋さんに絡みまくって情報をいただき、MAZEKOZEさんへ。
こちらは図書館ギャラリーやアトリエなどの複合的な場所。

店内に足を踏み入れるとそこには…

ロケットストーブおくどさん!有機的フォルムがめっちゃ可愛い!!
3口もあって、お料理にも使えるとか。
こちらのご主人はロケットストーブ作りを教えたりもされてるそうです。

漆喰なり土なり、仕上げ方によって幅広いデザインが可能なのだな、と。
左官の可能性を改めて実感するのでした。

2階を経由して外に煙突が伸びていました。

MAZEKOZEさんでは、ちょうど陶器の作家さんの展示もされていて、
素朴で味わいのある素敵な作品が見られました。
販売されている商品も素敵なものが多くて感性が刺激されました。

そして、リノベ関係ないけど、ここで買ったりんごが超おいしかった!
(そもそも長野のりんごポテンシャルが高い!)

5. 大福屋 →Twitter

時間帯によって喫茶だったりトンカツ屋さんだったり、
さらに無人の古本屋さんも併設された複合的なお店。

同じ宿に泊まっていた方がモーニングに行かれたと聞き、
さらにスタッフさんから、昼はトンカツが食べられると聞き、
散策の途中で立ち寄ってみました。

建物に入ると、まずは古本屋さん。

部屋の中のエリアごとに、複数の出店者さんが販売されているようです。
出店者さんごとに様々なジャンルがあって、品揃えも面白い!
(中原淳一装丁の本を見つけたのに買わなかったこと、若干後悔してる)

スリッパを履いて階段を上がると飲食店スペース。
お腹が空いていて店内写真を撮る余裕なし。チキンカツ定食のみです!

トンカツ屋さんは成満堂というそうです。

食べ終わって、お店の方々とお話し始めたらエンドレスにw
長野の昔から続く裏文化や、近隣の面白スポットなど教えてもらいました。
ガイドブックでは知ることのない、貴重な地元の口コミ情報です。

6. ぱてぃお大門 →HP

庭を囲む蔵造りの建物郡による飲食店街。
漆喰の白さと木々の緑が爽やかな中庭空間です。
(なんと、この空間の写真撮ってなかったw)

他の事例が個人レベルの店舗やアトリエなどが多い印象なのに対し、
こちらはまちづくりとして計画・実現された事例のようです。

動機は、空店舗の一つが売却されるという情報でした。
ビルを建てられたら取り返しがつかない。悩んだ挙句、住民有志の組織である(有)長野大門会館がこの土地を取得しました。
続き→http://patio-daimon.com/history/index.php

角地のまとまった敷地で、ここにどんな建物が建つかによって
まちの景色は大きく違っただろうと思います。

そして裏路地からのアプローチも見つけてしまいました。

正直、ここが一番の私のツボw(ツボすぎて昼も夜も通った)
さらりとした路地の演出、良い風情です。

7. 平野珈琲 →Instagram

あんまり時間ないし、疲れちゃったし、行くの諦めようかな…と思っていたら
宿のスタッフさんと常連さんに猛烈にオススメしていただいて
結局行くことにした路地奥の珈琲屋さん。行ってみて良かった!感謝!

閉店ギリギリの時間帯で、路地奥にやさしい明かりが灯っていました。

物静かな店内で珈琲をいただきました。なんて豊かなひととき。

珈琲豆の販売もされていて、1166Backpackersでは朝スタッフさんが
こちらの豆でコーヒーを淹れてくれます。

また、この日はちょうど店内で展示も開催されていて、
ドイツのアンティークな珈琲道具を見ることができました。
まだしばらく開催中だそうですので、機会がある方はぜひ。

まち全体について感じたこと

これまで「点」としての各店を見てきた中で、
「面」として感じることがありましたので、記しておきます。
※ほとんど憶測です。

①複合用途による活用が多い

編集室と喫茶、カフェと古本屋…など、今回紹介した以外にも、
一つの建物で複数の用途に活用されている例がとても多くありました。
中でも複数の事業者で一つの建物をシェアする形が多そうです。

家賃の負担を分散できたり、収入源が複数あればリスク回避になったり、
小規模な事業から始めやすい、良い仕組みだと思います。
組み合わせによって個性、差別化になるし、
コラボして新しい可能性が広がることもあるかもしれません。

②クリエイティブ層が多い

未来地図によると、編集やデザイナー、アーティストなど
クリエイティブ層による活用が多く目につきます。

思い返せば、滞在中に「ダサいもの」をほとんど見かけませんでした。
きっと、センスの良い情報発信をしているうちに、感度の高い人が集まり始め、
さらに感度の高いまちになっていく…そんな好循環が生まれている、かも。

だからこそ、まちの情報発信も上手です。
未来地図をはじめ、数々のエリアブックレットがどれも良い出来で、
「読みたい!」「買いたい!」と思わせてくれます。

③あちこちで連携が見られたり、一体感が感じられる

あのお店のフライヤーが置かれてる、とか
あのお店の商品が使われている、とか
お店同士で自然な連携がされているのを垣間見ることがよくありました。

さらに、未来地図というツールで全体を見渡すことができ、
なんとなく「まち全体」が感じられ、一体感があるような気がしました。
実際には、掲載80軒すべてが互いに連携しているとは限らないそうで
深い関係性があるのは一部かもしれませんが…

でも、紙でしかないはずの未来地図の向こう側に、
確かな「まち」の形を感じられるって、すごいことだと思います。
未来地図のあり方が、まちの実態がうまくマッチしたのかな。(洒落ではない)
見れば見るほど、本当によくできた冊子です。

また、ゲストハウスに情報がきちんと集まり、外から来た人へのハブ的な機能もしっかり働いていました。


かなりの長文になりましたが、大変勉強になる旅でした。
私のうざい絡みにも付き合ってくださった皆様に感謝です。


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