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アナログ時代だったからこそ体験できたコルシカ島行き

こんにちは。
お立ち寄りありがとうございます。

今回はいつもの趣旨とは異なるテーマでの投稿です。
コンテストのお題「私だけかもしれないレア体験」を見て、そう言えば遥か昔にそんな体験有るわ~と思い出しまして。

これを読んでくださっている皆様の大半は、もしかしたらまだ生まれていないかもしれない1995年のお話です。前年の1994年から私はフランスに語学留学していました。
通年の外国人向けフランス語学校に通い半年が過ぎた頃、イースターの連休がやってきました。2週間学校がお休みです。

この2週間のうち前半が空いていたので、仲の良かった日本人の友人と共にギリシャに旅行を計画してたものの帰りの飛行機が予定日に取れず、以前から気になっていたコルシカ島へと予定を変更。
この時点で連休の1週間くらい前。
すぐに旅行代理店へ行って、フェリーだけ予約。

コルシカ島の大まかな地図 フェリーはAjaccio着、Bastia発の便でした

当時はインターネットがまだ存在していないので、すべて足で探すか電話で問い合わせるというアナログです。
日本語のコルシカ島の情報も全く無いため、現地の観光案内所に電話をかけホテルの情報や観光の資料を送ってもらうようにお願いしました。

しかしこの年、まさにこの時期、フランスでは大統領選挙が行われていました。連休後半にちょうど投票日というタイミング。
色んな意味で盛り上がるのがフランスの大統領選挙で、恐らく今もやっているかと思うのですが、自分たちの訴えを選挙公約に含めてもらおうと公共の分野でもストが決行中でした。それも長期間にわたります。

特に影響を受けたのが郵便局です。確か2か月間くらい。
日本とのやり取りは1か月遅れ。フランス国内便も1週間経っても届かない。
そんなわけでせっかく依頼をかけた資料は、結局出発までに手元に届きませんでした。
パンフレットを見れば色々計画立てられるとの考えが見事に崩れ去りました。

旅行当日、出航は夜の8時だったので中華のファストフード店で軽く夕食をとり、目の前にフェリーが見えるも結構遠かった乗り場に出航の20分前くらいに到着しました。
しかしあるべきタラップがない・・・。
びっくりして本来なら最初にフェリー事務所に行って受付するところ、車用の乗船口にいた制服の方に「これに乗るのですが」と声を掛けました。
チケットを見せると、傍らの電話でフェリー内の職員さんを呼んでくださいました。

その乗車口から職員さんに案内いただき、船内フロントで無事チェックイン。まもなく出航時間。
船からニースの風景を写真に納めたかったので、部屋にカバンを投げ出して甲板へ。ちなみにこの時期の夜8時は夏時間でまだ明るいのです。
ひとしきり写真を撮った後、いろんな方向から海を眺めていると一つ下の階の操舵室の外側から、船員さんが「コンニチハ」と日本語で声をかけてくれました。
こちらが返事をすると「操舵室見たかったら案内するよ」と言ってくださったので二つ返事で訪問。

操舵室の中を一通りご案内いただき、さて部屋に戻ろうかと思っていたら「アペリティフでもどう?」と声かけてくださったので、こりゃラッキーと思いついていきました。
船員エリア(関係者以外立入禁止エリア)をどんどん進んでいくので近道でもあるのかと思いきや、あちこちのお部屋ご案内付きで、しかも会う人に「彼女たちは日本人の友達だよ」と紹介してくれます。
いったいこの人は何者なんだと思いだしたころ、「ここ僕の部屋ね」と教えてくれた扉には”CAPTAIN”の金色の文字。船長さんでした・・・

その後、船内レストランのバーに行くもんだと思っていた私たちが案内されたのは、端に十数人ほどが座れる応接セット付で、十数人分のディナーセットが用意された広いダイニングルーム。
既に数人の制服組の方がいて、またもや船長の「僕の日本人の友達」紹介され、ここも案内だけで素通りなんだろうと思っていたら、「なに飲む?」と。「え?ここ??」

友人はフランス語上級者コースだったので結構会話が弾むけど、私は中級者の上人見知りなので借りてきた猫状態。そして酔ったら確実に話せないのでオレンジジュースでしのぎました。
続々と他の制服組が合流し(後で思うと管理職チームのディナー席だった模様)、全員揃ったころ「じゃ、ごはん食べていきなさい」と。
先ほど食べて来たんですけど・・・勿論参加しましたよ。せっかくのお誘いなんで。
さすがに苦しくて1品お断りしましたが。

このディナーご招待もラッキーなことだったのですが、2時間近くの間に意外と広いコルシカ島の情報をたらふく仕入れることができまして、白紙状態の出発だったので本当に助かりました。
3泊4日しかない滞在で、最低限行くべきところと食べるべきものを教えてくれて、しかも覚えられないのでちゃんと書いてくださって。
コルシカ島はイタリアだったりスペインだったり支配が点々としているので、聞きなれない単語が多いのです。

この後の旅で一つ一つ潰してしていきましたが、食べ物はすべて格段に美味しかったです。
レストランのメニューだったり、バスのトイレ休憩で利用したカフェで偶然見つけたお菓子だったり、書いてもらわないと絶対に頼んでいませんでした。
でも残念ながら名称はほとんど覚えていません。

旅程も島の南側は電車が無いのでスルーするつもりでいましたが、「絶対に行きなさい!」と全員から強く勧められ、フェリーを降りた後3時間近くバスに揺られ車酔いしながら着いた場所はまさに絶景でした。車酔いも吹き飛ぶくらいの。
とはいえ、さすがに観光船に乗って海から見るツアーに参加できるほど回復できませんでしたが。
翌日の5時起きと長時間のバスがつらかったけど、彼らの勧めに従って本当に良かったです。

最南端のボニファシオ(ネットでDL)

船長さんをはじめとしたクルーの皆さんには大変親切にしていただきました。日本人が足を延ばすことが少ないルートだったので、船員さんたちも珍しく思って声をかけてくださったのでしょうが、ちょうどオフシーズンだったというのも幸いしたと思います。

そう言えば、最初に乗船時に声をかけチケットを提示した制服の方は船長さんだったということが帰りのフェリーの乗船時に気づきました。
その際に私たちが日本人だとわかっていて、甲板から声をかけてくれていたのかと。

それにしても船長さんから船内ディナーに招待されるというのは、二度とできない体験でしょう。
旅の内容自体は特にレアではないので、また機会がありましたら書いてみたいと思います。

その後30年近く経っていますが、また行きたいと思うもののコルシカへは未だ再訪できていません。
行くのならぜひ次回もフェリーを利用してみたいと思っています。

当時の写真 食後の記念撮影と乗る前に撮ったフェリー

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