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[本編]ド田舎に引っ越して見た、あの日の夜空は忘れない。

引っ越してから半年後、初めての夏。

島では大阪よりもよく星が見えるので、天気が良い日は時折風呂上りに湯冷ましを兼ねて軒先にふらりと出るような生活をしていた頃のこと。

ある日、夜風に当たろうと家を出て上を見上げるといつもより澄んだ、月のない空が広がっていた。


月がないだけでこんなにも星が綺麗に見えるのか…ならばもっと灯りがないところに行ってみたい。


そう思った私はその旨を家族に伝え、心配だからとついて来てくれた祖母と一緒に、家の懐中電灯片手に夜の闇に進むことにした。

家の周辺は毎日犬の散歩で飽きるほど散策していたが、夜になると全然雰囲気が違う。

昼は気にも留めない木々やサトウキビが風に揺れるだけで襲いかかってくるような錯覚がして、今回のような目的なしでは泣いて帰りたくなるほど暗い道になっていた。

…祖母が一緒で良かった。

外灯のない道を選んで、選んで、と進むとものの3分で周囲には持参した懐中電灯以外の光がない場所にたどり着いた。

そっと懐中電灯の明かりを消して空を見上げる。


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そこにあった星空は想像以上のものだった。


私はあの日初めて夏の大三角形を見失った、初めて本物の天の川を見た、初めて星が降る夜という表現を体で理解した…

あの日以来、私は新月の夜が好きだ。特に直近で雨が降った後の晴れた夜空は空気中の塵が落ちてより一層澄んだ空になる。

皆さんもこんな日に田舎にいる機会があれば、ぜひ灯りのない場所に足を運んで見てほしい。

きっと今までで1番素敵な夜空に出会えるから。