ぼくのじいちゃん。
ぼくは知っている。
ぼくのじいちゃんのうーちゃんは、雪印の6Pチーズを冷蔵庫から出して自分の部屋でこっそり食べてる。
------------------------
うーちゃんは御年73歳!腰が痛い痛いと言いながらも泊まりがけの仕事をしてせっせと働いている。
そんなうーちゃんは嫁のかあちゃんに気を遣ってるらしい。
これはぼくが生まれる前の話。
みんなで一緒に住み始めた頃のうーちゃんは
ーお昼にパン食べていいですか?
ーネットフリックスでドラマ見ていいですか?
となんでかいちいちかあちゃんに確認していた。
そして、リビングに入るときには扉をコンコンとノックして「失礼します」と言い
かあちゃんがお風呂から上がったら「お疲れ様です」と言っていたそうな。
かあちゃんは「まるで私の奴隷みたいじゃん!」と心の中でツッコミを入れ、「お父さんやめてよ!自分の家なんだから気を遣わないでよー」と繰り返し言っていたが、変わる気配がないのでそのうちに言うのをやめた。
ぼくが生まれるまではそんな調子で、それがうーちゃんなりのコミュニケーションなんだなとかあちゃんは思った。
そして、ぼくが生まれると
うーちゃんはこんな風にぼくをあやす。
「ちーさん!おはようございます!」
「そんなに笑って頂いて申し訳ないっ」
「そんなに泣かないで下さい。この抱き方しか出来ないもんで、ごめんなさい。」
ぼくにも敬語で話すのだった。
うーちゃんの楽しみと言えばスーパーでお買い得品を買うこと。
3個で〇〇円! 5個で〇〇割引!と買いてあるとついつい買ってしまう。
いい買い物をした!と思っても
「またこんなに買ってー!まだあるじゃん」「誰が料理するのよー」
とたーちゃんに小言を言われてもうーちゃんはめげない。数日後にはまたまとめて買ってくる。
それがうーちゃん。
ぼくのじいちゃん。