考える散歩道。
かあちゃんは1日中ぼくと一緒にいるのに、なーんもしてないな、と思う時があるらしい。
部屋の掃除も出来てない
洗濯物や料理もたーちゃんに任せっぱなし
会社の事務仕事もやれてない
ともだちにメールの返事ができてない
だってそりゃしょうがない。
何かあればぼくはかあちゃんを呼ぶんだから。
お、おなかがへったよー!
仰向けに飽きたよ、、
さっきからうんちが出ないよー…
ぼくが甲高い声でえんえんと泣くと、かあちゃんは「はいはーい」と言ってぼくを抱き上げる。
それでも気に入らなくてグズグズ言い続けてると散歩に連れて行ってくれる。
ぼくが忙しいとかあちゃんも忙しい。
忙しいけれど、なぜか何もやってない気がしちゃうんだって。
ある日の散歩道でかあちゃんは考えながら歩いていた。
外でお金を稼いでくることは分かりやすい。
家で子育てをしていることは分かりにくい。
働いてお金を稼ぐことは大事。
給料が貰えるわけじゃないけど子育てだって大事。
自分の子を見るのはお金にならないけど、他人の子を見ればお金にかわったりもする。
子どもを育てることはお金の価値に変換するのは難しいけど、とても大事なものに変わっている気がする。
ぼくを背負いながら、来た道をまた歩いて帰った。
だんだん風が暖かくなってきた3月。