🇮🇳【エンドロールのつづき】映画に魅せられた少年

Chinatsu

2024年7月11日 05:49

毎度お馴染みインド映画だ！！
Amazonプライムであったので観てみた。

グジャラートが舞台

インドといえば多言語国家。多言語であるが故にそれぞれの言語で映画市場があり、制作中心地がある。有名なのはボリウッドだろう。ムンバイで作られるヒンディー語映画だ。

その他にも、特に南インドでは映画産業が盛んで、ハイデラバードのテルグ語映画、タミル・ナードゥ州のタミル語映画などなど、さまざまなところで映画が制作されている。

しかし、グジャラートが舞台の映画はなかなか珍しい。そもそもグジャラート州がどこにあるかご存知だろうか。西に位置する州だ。

ちなみに建国の父ガンジーの出身地でもある。映画の中でも「ここグジャラートはガンジーの出身地です」と学校で先生が生徒たちに教えているシーンがある。

黒板に書かれている言語もヒンディー語ではなくグジャラート語だ。ヒンディー語で使われるデーヴァナーガリーという文字から派生したグジャラート文字は、シローレーカーと呼ばれる単語を繋ぐ横棒がないのが特徴だ。
個人的に、若干アラビア文字に似ているなと感じた。

グジャラートはぜひ行ってみたいところだ。
世界一高い像があるところでも有名らしい。ヴァッラブバーイー・パテールの像だ。牛久大仏の比じゃない高さだ。
テニプリの有名なセリフ、「デカ過ぎんだろ…。」をガチトーンで言えるチャンス。

『RRR』のエンディングにも登場していてる。建国のために闘った英雄の一人であり、副首相を務めたほどの実力者だ。

ストーリー

『エンドロールのつづき』の主人公サマイくんは、グジャラートで父親のチャイ売りの仕事を手伝いながら学校に通う少年だ。
（※チャイとはインド風スパイシーミルクティーのこと。）

父親は「バラモン（階級が一番上の位の人たち）が見るものではない」と、映画を否定しているが信仰している神様を扱った映画をサマイくんとともに観に行った。サマイくんはそこで映画に惚れ込み、学校を抜け出してまで映画を観に行ってしまう。

ストーリーは上記の通りだが、インドのモディ首相はグジャラート出身で幼少期にはチャイ売りの仕事をしていたらしいので、サマイくんと重なるところがある。今では政界で華々しく活躍するモディ首相も、当時はこんな感じだったのだろうかと想像した。

叙情的作品

普段の会話で使わないような言葉をnoteで使わないように意識はしているものの、「叙情的」としか言いようがない。
他のインド映画のような楽しげなダンスやド派手アクション、クスッと笑えるコメディー要素はない。
俳優の表情や、物や自然の情景をゆったりと映す丁寧な描写が目立つ。
まるで邦画？インド映画らしからぬ特徴をもっているヒューマンドラマ映画だった。

後半の描写が特に好きだ。
主人公が大好きなフィルムが捨てられて別の物にリサイクルされていく様子は引き寄せられる。ほとんどセリフなく進んでいくけれど、観てみて集中力が落ちない。素晴らしい。

他の映画を連想させられた

叙情的なインド映画というと『あなたの名前を呼べたなら』を思い出した。あの映画も登場人物の心情を長いカットを使って丁寧に描写していたと思う。

家庭料理が美味しそうなのも共通点だ。『あなたの名前を呼べたなら』はムンバイのお金持ちの台所での料理の様子が見れるが、『エンドロールのつづき』ではグジャラートの田舎の台所が見れる。
高級そうな食器や食材を使った料理も、地面の上で作られる素朴な料理も、どちらも美味しそうで優劣がつかない。二つの映画ともに料理のシーンでは制作陣の腕が光っている。

映画業界も変わっていく中で、フィルムの時代が終わる。一つの時代が終わっていく虚しさみたいなものがハリウッド映画の『バビロン』と似ていた気がする。

『バビロン』はサイレント映画（無音声映画）から音声ありの映画への移行だった。『エンドロールのつづき』でも『バビロン』でも時代の移り変わりとともにお役御免になり、取り残される人が出てくる。ちょっと虚しくなるけれど、避けられないことだ。

今後技術が発展していく中で映画も新しい時代を迎えるのだろうか。

映画『劇場版名探偵コナンベイカー街の亡霊』に出てきたような体験型マシンが発明されて、物語の中に自分が登場人物として参加してしまうような時代でもくるのだろうか。想像するだけならタダでノーリスクだからずっと楽しめるわ。

ジブリ映画のような雰囲気もある。子供が憧れを抱く瞬間とか、ちょっと生きづらい日々を過ごしている様子とかはジブリっぽいかもしれない。『エンドロールのつづき』にもっとファンタジー要素を取り入れればジブリ感が増すと思う。

日本アニメでリメイクしたらいい感じになると思った。