エンターテイメント
7月15日、札幌ドーム。
あの日、色々なことを、彼らに伝えたかったし、彼らから聞きたかった。とにかく姿を見たかった。きっとそういうファンが、あの会場を埋め尽くすために、必死でやってきたはずだ。
天井席なことも気にならないくらいの緊張感。ちょっと恐怖を感じたオープニングムービー。
こじんまりと、前後均等に置かれた楽器たち。やっぱり彼はいない。分かっていたことだけど。
青いスーツを身にまとって彼らは出てきた。そして楽器を手に取る。流れてきたイントロは、前の年発売された最新のシングル。「見失いそうな時 いつも瞬いて僕を導いたよ 追いついて見せろよ」全ての歌詞が彼らに重なる。いつだって、いちばん聞こえてきたはずの彼の声はない。その代わり、一人一人の歌声が、今まで以上に聞こえてくる。気づいたら、泣いていた。(必死すぎて、キーが下がっていたことに気づいたのは、後から見たTwitterでの他のファンのつぶやきと、発売されたDVDを観てからだった。
結局、見てる側は勝手に彼らの考えていることを想像するしか出来ないし、受け取ってどう解釈するかなんて人それぞれだ。それでも私は、彼らが一つ一つの音に込めた何かしらの思いが伝わってきたし、それを全身で受信した結果、その後しばらく涙腺が崩壊しっぱなしだった。
そんな、あのときの感情の80パーセントくらいが蘇ってきたGR8ESTの映像。そのメイキングは、これまたすごかった。
バンド、ダンスのリハーサル映像と共に日付が映像に表示される。7人最後の日を迎えたあの日付と、その前に出演した音楽番組の日付も、そこには含まれていた。ツアーに向けた6人での新しいバンド編成をやりながら、収録では最後の7人編成が日々続いていく。安田くんの体調面も、良くはない。当時だって、きっとそういう状況なんだ、と頭では理解をしていたはずだけど、いざ映像になってみたときの、頭をガツンとぶたれたような衝撃ったらなかった。そりゃ、前しか向いてない、としか言えないわな。
歌割、演出、照明の一つ一つに至るまで、彼らは何一つ妥協していない。決して良いとは言えない状況だったけど、最後の最後まで、そのときのベストを尽くし切ったのだと、心の底から思わされた。
ちなみに、そんなメイキングを見ながら飲むお酒は、死ぬほど美味しかった。
7月15日、札幌ドーム。
私は、色々なことを、彼らに伝えたかったし、彼らから聞きたかった。きっと彼らも、私たちに、色々なことを伝えたくて、聞きたくて、あのステージを踏んだのだと思う。まあ、勝手な解釈だけど。聞き手っていうのはそんなもんだ。多分。
これからも、彼らから発信されるものを純粋に、素直に受け止めたいし、私なりに解釈して、それを愛でたいと思える、そんな作品だと思う。これぞエンターテイメント。エンターテイメントがなんぞやなんて、知らないけれど。