手づくり市の記憶
小学生の低学年の頃の記憶だから、90年代前半かな。
15日が土曜か日曜になる日、母に連れられて私と妹は、電車に乗ってお寺によく連れて行かれた。たまに父も一緒だったかな?
京都 百万遍さんの手づくり市
私も地元を離れて長いので、大学時代の十数年前に行ったのが最後。
今では毎月大盛況のようで出店するにも抽選とのことで人気であると、母から聞き及んでいます。
私が子どもの頃は出店数もまばらで、月によってアタリハズレがあったような。
手作りのお菓子を売っているおじさん
手作りのお洋服を売っているおかあさん
手作りの指輪を売っているおねえさん
隅の方でギターを弾いているおにいさん
いろんな人がいたな。
ある時、お店のお兄さんに声をかけられた。
差し出されたのは、私と妹を描いたスケッチの紙切れ。
その人は、確か絵描きで出ているわけではなかったと思うけど、境内をうろうろしている私たちをささっと描き留めたものをくれたんだった。
子ども心に、勝手に描かれていたことが照れ臭くも、「オトナ」なタッチで描かれた絵に憧れを覚えたな。
また別の時、
お店に私の好きなキャラクターが描かれた巾着が売られていた。生成りのなんでもない袋に、ペンで描いたものだった。(今ではこういうの売れないですよね笑)
母に買ってもらって、学校の給食袋に使っていたら、クラスメートから
「それどうしたん?」
「どこで買ったん?」
「自分で描いたん?」
って聞かれたっけ。
「手づくり市で買うてもろてん」と言って、クラスメートに伝わるわけもなく…
母は母で自分の気に入ったものを買ったり、お菓子やパンを買ったりして楽しんでいた。お寺の境内から出なければOKというルールを定めて、子どもは放置しておける。母にとっての自分の時間だったのかもしれない。
母は今でも父と一緒に京都市内に出かけては各地の手づくり市に行っているらしい。
実家には「これ、どこで買うたんやろう…?」と思うような謎の置物がたまに増えたりしている。
これもまた小学生の時、
うちの家は同級生の溜まり場になっていたのだけど、
「ちーちゃん家は変なもんいっぱいあるなあ」
とよく言われたものだった。
そりゃそうだ。
うちにはそのへんの量販店で売っているようなものはあまりない。
母のセンスで揃えられた手作り品やらが並んでいるのだから。
母の嗜好が影響したのか、私も手作り品や作家作品が好きで、東京の手づくり市やハンドメイドのセレクトショップをのぞいたりしている。
私は作家になったりモノを売ったりする側にはならなかったけど、別な方面でクリエイティブで食っている。
子どもの頃におもしろいものを作るクリエーターたちが身近にいたことが、自分で絵を描いたりモノを作ったりする土台になっている気がする。
手づくり市の記憶って私の中に大きく影響している気がする。
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