父の事 その①

私の心の最大の病みで闇。最大のコンプレックス。
誰とも比べられない。
そんな事で?なんて誰にも言わさせない。
私が私として形成された原因・理由は、ほとんど父の影響だから。
過去の自分と向き合わないと、私はもう前に進めないってわかってるから、ここに書く。
人生の半分が終わろうとしている記念。
だって、生まれ変わりたいもん。
負の連鎖は、もうそろそろ終わらせたい。

私の父は、茨城の農家の次男。
7人兄姉の下から2番目。
言うまでもなく、親からも兄姉からも可愛がられて育てられた。
これは、私の推測だけど、周りが父の機嫌を取っていたことは間違いない。
じゃなきゃ、あんな自己肯定感の塊でエゴイストになるわけないもん。

父の兄は、子供ができない身体だった。
だから、父自身も自分がそうだと思っていたし、その当時は少し珍しかったであろう、2人の子持ちのシングルマザーの私の母と交際していた。
母曰く、「子供達のことをすごく可愛がってくれていた」との事。

でも、子供ができないはずの父の子種で、母のお腹に私ができてしまった。
私、生まれてきたくなんてなかったのね、きっと。
だから、お腹の中で必死に死のうとして、母は切迫流産でひと月寝たきりだったんだって。

父は私が生まれて来る事を、心から望んでいてくれていたし、父にとっても自分の子供が生まれる事は奇跡だったんだと思う。
私の名付け親は、父の母、つまり私の祖母。
3人の天女の1人の名前から選んで付けられたんだって。千に恵まれるように。

でもね、良い話はここまで。
私の1番古い暴力の記憶は、幼稚園に入るずっと前からスタートしている。
血が怖いのも、痛いのが大嫌いなのも、ここが原点。
そして、男の人の怒鳴り声、女の人の叫び声が聞こえると心臓がギュッと萎縮して緊張するのも、きっとそういう事が原因。

内容なんて当然覚えていない。
でも、父と母は軽い言い争いをしていて、まだ乳児って言えるくらいの私は、ぼんやりそれを見ていた。
そしたら、父は持っていた図鑑ってくらい大きい本の角で母の頭を殴ったの。
母の「痛いっ!」って叫び声は、耳に残ってる。
母が頭から流血していた。止血に使った白いタオルが黒っぽい赤に染まっていく…。
ただ、ただ、私は怖かったんだ。

これは、別の記憶。
これもとっても古い記憶。
兄と姉が勉強机に並んで、勉強をしていた。というか、無理矢理勉強させられていたのかも。
父が何か怒鳴って、兄の頭を掴んで机に叩きつけた。
私は、「お兄ちゃん何にもしてないのになんで?」って、不思議で可哀想で辛い気持ちになったの。

母は弱い人だったから、兄姉を守ろうとしなかった。
できなかった。
だって経済的に不安があったから。
私は今その当時の父母よりも歳上だけど、そんな母親になんかにはなれないし、父親のように誰かに暴力をふるうことなんてできない。

これも良く覚えてる。
小学校1年になった歳の真夜中。
父母の怒鳴り合う声で目が覚めた。
私は自室の部屋のドアを開けて寝ていたから、そのドアの前に向かい合って座って言い争ってる両親が見えた。
父が母に平手打ちして、その後母の首を絞め始めた。
「母が殺される」って直感的に理解して、父の背中を泣きながら、両手でドンドン叩きまくった。
「お父さんやめて!お父さんやめて!」って叫びながら。
私、人間がが本気で誰かの首を絞めている瞬間、これ以外で見た事ない。

子供の頃、自分の家庭環境が一般的に言われるドメスティックバイオレンスだってわからなかった。
けれども、暴力が普通の事だとも思わなかった。

ただ、両親の仲が悪いのはわかっていた。
どこにいても2人は喧嘩していたし、父が家にいると空気が悪くなった。母は母で、どんどんヒステリックな性格に変わっていったように思う。

父は海上自衛官だったから、長期出航中だけは家の中で心の平穏を感じた。
兄も姉も中学を卒業してすぐに独立して、父がいない時は家に遊びに来たから、兄姉に会えるのが私はとっても嬉しかった。

ずっと父親の悪口を母親から聞いて育って、私は洗脳されいった。悪いのは、全部父なんだって思った。
でも、それはちょっと違う。
思い返せば、母は父に殴られるように仕向けていたし、そういうのが好きなんだって。今ならそうわかる。
曲がりまくった性癖、娘に見せんなよ。
だから、私は両親が大嫌い。

でも、両親がケンカするのも、母が兄姉と一緒に住めなくなったのも、全部私が生まれてきたせいだと思って生きてきた。
誰もそんな事思っていないのは、わかってる。
でも、生きる事に罪悪感を生ませるには、十分過ぎる理由だった。
私は今でも、私が生まれてこなければって心のどこかでずっと思っていて、それを消す事が今もまだできない。
もし、消す事ができるなら、今よりもっと幸せになれると思う。

幼少期編、お終い。
こんな胸クソな話を、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。







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