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コテンイモづる読書【その126】・・・「ST 警視庁科学特捜班」から「アナザーフェイス」
いわゆる「刑事モノ」はあまたあって、映画やドラマに映像化されている人気ジャンルです。
その中でも「異色」といわれているもののイモづる読書です。「ST」に続いて「アナザーフェイス」です。
気にはなっていたのですが、なかなか読む機会がつかめなかった、というよりも、この作品の人物設定での展開がややっこしそうで「コテンと眠る」に向いていないような気がして【うん、ほんまやで】
そうこうしているうちに、kindleで「アナザーフェイス読本 完全版」(無料)を入手して、まず、読本から読み始めました。
実際「読本」から読む、こういう流れの読書習慣はなく・・・めったに「あとがき」から先に読んだり、雑誌などにある著者対談を先に読むことは極力さけるタイプです。
もくじ
最も刑事らしくない刑事の活躍はここから始まった!
「アナザーフェイス」試し読み
著者が語る「アナザーフェイス」誕生秘話
「デビュー十周年に向けて新機軸の警察小説」
(初出「本の話」2010年8月号)
「アナザーフェイス」×「警視庁追跡捜査係」
2大シリーズ特別コラボ記念対談
「堂場瞬一×池上冬樹」
(初出「スペシャル ブックレット 堂場瞬一という謎。」)
「親子の肖像 アナザーフェイス」刊行記念
特別対談 「池田克彦(第88代警視総監)×堂場瞬一」
(初出「アナザーフェイス 巻末対談」)
「耐えることを知る男 大友鉄」小橋めぐみ
(初出「闇の叫び アナザーフェイス9」解説)
著者インタビュー
アナザーフェイス・シリーズを書き終えて
(初出「闇の叫び アナザーフェイス9」折込チラシ)
「アナザーフェイス」全巻リスト
今回、「読本」を手にしたのは、巻頭に「試し読み」があったのが、第一の理由です。
「コテンと眠る」読書に向いているかどうか、試し読み・・・
では、「コテンと眠る」読書に向いていない作品とはどんな作品なのか・・・
おもいつくまま、例えばチャンドラー
・・・・・
玄関広間の東側にはタイルを張った階段が鍛鉄の欄干をつけた画廊へ通じ、そこにまたステンドグラスの恋物語があった。すわる部分にまるい赤いビロードを張っただけの固い椅子が壁の周囲に沿ってずらりと並んでいた。誰もすわったためしがないみたいだった。西側の壁の中央に、ちょうつがいを四個つけた 真鍮の火よけをはめた、大きなからっぽの暖炉があり、その上はキューピッドを両端につけた大理石の棚だった。棚の上のほうには大きな油絵の肖像があり、またその上に弾丸で破れたのか虫が食ったのかわからないが、とにかくぼろぼろになった二枚の騎兵隊の旗が、ガラスの額の中にぶっちがいにおさまっていた。肖像はメキシコ戦争時代の盛装をしてしゃちほこばった士官だった。黒い小ぎれいなあごひげと口ひげをつけ、石炭みたいに黒い、熱したきつい目を持っていた。つき合いにくいつら構えだ。私はスタード将軍の祖父だなと思った。将軍自身ではあるまい。彼はちかごろ、まだ悩ましき二十歳代の娘を二人もかかえているにはぼけすぎた、といううわさだ。
・・・・・
・・・・・
(執事の人物描写の後半)
・・・・この目以外、彼の顔は鉛の仮面だった。血の気のない唇、とがった鼻、くぼんだ顳(こめかみ)。外側へ曲がった耳たぶは聴覚を失う前兆だ。ひょろ長くやせた肉体は、この熱さにもかかわらず、旅行用毛布と色あせた赤い湯上りタオルで包まれていた。ひからびて骨ばかりみたいな手はだらしなく毛布の上におかれていた。爪は紫色だった。かさかさの白い髪の毛がすこし頭皮にぶらさがっていた。裸岩の上で生命を保持しようとたたかっている野性の花みたいだった。
ミステリーの場合、羅列した描写の中に重要なヒントを埋め込む(伏線ともいえますが)ことがあるので、引用した例の玄関の描写も注意深く読んでしまう。ひょっとしたら「あごひげと口ひげの肖像画は・・・」とかチェックしてしまう。
次の人物描写も読み込む。特に冒頭で出てくる人物は要注意・・・ミステリーの鉄則だ【うん、ほんまやで】
・・・などなど、おもいながら読んでいくと、コテンと眠るどころか、脳はどんどん覚醒していく・・ ・
ということでこの種の作品では眠れません。
対極の表現・・・コテンと眠れる作品は、なんといっても赤川次郎の「鼠シリーズ」
まず、細かな描写はありません。
登場人物はレギュラー中心、それぞれの事件にでてくるゲストは2名から3名程度、それも大抵は武士。
毎回のようにでてくる「蕎麦や」も細かい描写がないので、近所の蕎麦屋を当てはめているって具合で勝手に想像できるので気楽に読みすすめて・・・すぐにコテンと眠れます。
さて、「アナザーファイス」を試し読みをして、
ペースのゆっくりさに【うん、眠れそう】
人物描写もゆっくり・・チャンドラーのように一気にではなく、ちりばめて【うん、眠れそう】
一人称での心理描写だから【うん、眠れそう】
バイプレイヤーは典型的な人物設定で【うん、眠れそう】
で、読んでみようとおもって、ちょいと立ち止まった【うん、ほんまやで】
この「読本」の次の章は、「著者が語る「アナザーフェイス」誕生秘話 」です。
この章を読む前(正確には「試し読み」をしているが)に読むか、どうか?
「著者が語る・・・誕生秘話 」は、書くなら「あとがき」に収納するもの【シランケド】だとおもっているので、先に読みたくない!
ということで、せっかく入手した「読本」は、試し読みだけ読んで、後は後回しで、本編に突入とあいなりました。