コテンと眠るための読書・・・『アクロイド殺人事件』から『ザ・ビッグ4』・・そして・・・
POVつづきで・・・・・
『アクロイド殺人事件』が隣の家の医者なら、『ザ・ビック4』は、ヘイスティングス君の語りです。
ポワロシリーズの異色なストーリーといえます。このちょっと遠慮がちな・・ためらいがちな言い方は【うん、ほんまやで】
・・ポワロシリーズは異色、すなわちカラフル・・いってしまえば、統一性のないシリーズです【シランケド】
シャーロック・ホームズや鬼平犯科帳、かわせみ、水滸伝、磐音、万能鑑定士Qにしても、「文体」は一定しているもので、第一編集者がウルサいでしょう?
多々のシリーズを多々お書きの赤川次郎先生の作品を読めばよくわかります。
ポワロシリーズは自由奔放で・・おもしろい【ほんまやで】
アガサ・クリスティ本人はポワロを書きたくなかったって伝説になっています。
しかし、出版社の要請でかきつづけたようです。
そうなると、作家はヤケクソで「これでどうじゃ」打ち切りか!
開き直って気ままにイナイケドンドンのなれの果てが、この『ザ・ビック4』です。
アガサ・クリスティほどの天才の作家生活は、ほんとのことは知りませんが、
『アガサと殺人の真相』という映画で垣間見ることができます。
『アガサと殺人の真相』がプライムビデオで観れます
「結婚生活も仕事もスランプに陥り・・・」が描かれています。
天才・アガサ・クリスティも京大型カード?を使ってプロットを組み直しているカットや大きな机一面に広げたストーリーボード・・・2、3秒の短いカットではっきりはわかりませんが、どうもスゴロクのようなストーリーボードだ!
その上には果物やいろいろなモノが雑然と置かれていて、全体像は分かりませんが、道のような線の上に、フィギア(男女)が並んで置いてあります。
そこへ娘がヒョコヒョコやってきて、無造作にそのフィギア(男女)を動かし去っていきます。
娘のイタズラを咎めることなく苦笑して見送り、そのフィギアを直しにいき・・・うん!これだ!とヒラメくアガサ。これくらい苦しんでいるアガサです。
ストーリーボードはリニアで直線的に書くものだと決めつけていました。
スゴロクのような曲線のあるいは迷路のようなストーリーボードもアリか・・・いやいやむしろスゴロクが正解かも【シランケド】
『ザ・ビック4』もこんなストーリーボードにおとしこんで、負け続けるポワロを活き活きと描いているアガサのフテキな笑みが浮かんできます【うん、ほんまやで】
実は、「ビック4」のトップに君臨する中国人はアガサの化身では・・・と疑いたくなるほどです。
だって、謎の中国人の最後がアッケない・・・駄作か・・・が作者の化身だと思えば・・これは秀作です【シランケド】
アガサがポワロを嫌って、ほんとに書きたかったヒーローは若者だといわれています。
初期の作品の『秘密組織』や『なぜエヴァンズに頼まなかったんだ?』の若者二人組のような気がします。
両者ともイニシアチブをとるのが女性ってとこがいかにもアガサぽい作品です。
映画『アガサと殺人の真相』でスランプをぬけるために「ゴルフ場」を作っていますが、ただし箱庭・・・アガサがスランプ脱出のヒントを求めて大先輩の御所の作家をゴルフ場に訪ねるシーンでは、アガサが素晴らしいショットをして、ヒントを教えてもらいます。
素晴らしいショットの秘密は当時の夫がゴルフ好きによるものです。「ゴルフ場殺人事件」はいうまでもなく、『なぜエヴァンズに頼まなかったんだ?』の冒頭にもゴルフ場がでてきます。
イギリスのゴルフ場は日本のゴルフ場と大違いで、ゴルフ発祥の地といわれているセント・アンドリュースを思い浮かべれば、荒野の用心棒(カケ言葉)が海風の強風とブッシュのなかで格闘するゲームです。
後の夫は考古学者で、「メツポタミア・・・」へつながっていくのですが、アガサは夫の現地調査に同行していたとのことです。
どうりで「名探偵ポワロ」でも発掘現場が舞台になっています。
まとめ
天才作家でもやはり実生活に根付いた題材を遺憾なく活かしていることが読み取れます。
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