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コテンと眠るためのイモづる読書【その128】・・「シャイロックの子供たち」を閉じて・・・定番の「御宿かわせみ」でつなぐ

わけのわからない題目で恐縮至極。
要するに『シャイロックの子供たち』が、コテンと眠るための読書に合わなかったということです。

一晩、結構ガマンして読み続けましたが・・・「やーめた!」

これではコテンと眠れないので、『シャイロック・・・』と同じときにkindleに取り込んでいた『神保町奇譚 花咲舞シリーズ』に乗り換えて、コテンと眠る予定が、「神保町奇譚」は短編で眠りに落ちる前に読み終わってしまった【うん、ほんまやで】

こうなると・・・こんな時のために・・・とっておきの・・・・・

口直し、なのか、眼直しなのか・・『御宿(おんやど)かわせみ』ヘ

『御宿(おんやど)かわせみ』はもう何年もkindleの中にすみついて、まるでヌシのような存在・・・ときどき思い出したように読む・・・こういった住み着いてしまった書籍に、先回も記事にした『太公望』とか『平家物語』とかがあります。

「観てから読むか、読んでから観るか」
御宿(おんやど)かわせみ』は、テレビドラマを観てから読みはじめた作品です。

読み始めて・・・いつものクセで第一巻から・・・すぐに気付いた印象は今でも覚えています。

「この設定なら長く書き続けられる・・・・・」

この作品は、「人情捕物帖」というジャンルにはいるそうですが、半七とか平治、右門といった歴代の捕物帖とは違って、主人公は宿の女将だし、バイプレイヤーも部屋住みの次男坊。その兄とその友人が八丁堀で、捕物帖として直接活躍するのはちょっと離れたワンクッション置いた人物たちになっている・・・このことが、「人情」を豊潤に醸し出す要因になっています【まいった❕】

また、文体も表現も安心して読み進めていけます。
短編といっても中編ともいえるくらい少々長め?【シランケド】
コテンと眠るために、次の話にまたがることもしばしばあります。
そんな折、「うん~」とうなってしまうのが、「書き出し」オープニング・・・この絶妙さ・・・

江戸は雪(ゆき)
1
夜明け前から降り出した雪が、大川端に漸く積る気配をみせはじめた朝四ツ近く、発とうか発つまいかと迷っていたような萩の間の客が、急にさわぎ出した。

師走の客
1
神林東吾が一日、代々木野の秋を訪ねたのは、夜に入って急に冷え込む日が続いたあげくの快晴で、青山にある梅窓院観音から原宿町を抜け、流れを渡って松平美濃守の下屋敷を過ぎるあたりから、輝くばかりの紅葉が道を染めていた。

御宿 かわせみ

そして、いつもの添えもの。
「鬼平」でもお馴染みの「うまいもの」・・・・・

膳の上にも、夏の味が並んでいた。茄子の焼いたのに、胡麻味噌をたっぷりかけたのだの、冷や奴には鰹節とおろした生姜が風味を添えている。

御宿 かわせみ

こう言う一文に、ホッコリくるんでしょうか・・・・・
もう、「コテンと眠る」には最適の表現です。

そして、「コテンと眠る」最高の条件は・・・
登場人物の人間関係です【シランケド】

「ばれたら、るいは困るのか」
うつむいたるいが、不意にいった。
「蛍・・・」
暗くなった庭のあたりに、蛍が光っている。
「るい・・・」
「あら、そこにも・・・」

御宿 かわせみ

この辺で「コテン」【うん、ほんまやで】

蛇足
シャイロックの子供たち』が、コテンと眠るための読書に合わなかった・・・最大の原因は、人間関係でした。
ちょっと意気が詰まるような人間関係は、「コテンと眠る」には毒が強すぎました。


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