映画「ゆるキャン△」を見て思ったこと
夢の中にいた少女たちが大人になり、それぞれを取り巻く環境が変化し、社会の波にも飲まれるようになった。学園生活とは程遠く、それぞれのやるべきことに精一杯チャレンジしている今の彼女たちを再び結びつけたのはやはりキャンプ。
TVアニメ1期2期で描かれた幻想世界のゆるキャン△を期待している人にはおススメしないし、そういう人たちは劇場に足を運ばないだろう。
大人になるとどれだけ隠したとしても少なからず現実が垣間見えるものだ。
チクワが年を取って疲れやすくなった。
アカネちゃんが少しギャルっぽくなった。
ただただ天使だったなでしこは天使のようなお姉さんになっていた。
諸行無常はゆるキャン△の世界にも当てはまっていた。
つまり時が流れたことがゆるキャン△流に描かれていた。
みんな社会人として生きるようになり、学生の頃のように思うようにはいかないという現実を突きつけられるストーリー展開はTVシリーズでは見られないものだったが、それを乗り越えていくヒロインたちを通して成長したゆるキャン△を見ることができたような気もする。
ゆるキャン△の世界線で時が流れるとまさしくこんな感じになるだろうなという彼女たちの数年後が等身大に描かれていた。
リンちゃんのモノローグは少なめだったが、まつぼっくりは「コンニチワ」してくれたし、2ストビーノも登場したし、富士山も含めてゆるキャン△の世界観はそのままだった。
特徴的だったと思える点はと言うと、男性主要キャラの登場だろう。
メインの5人以外で最も重要なポジションにいたのがリンの職場の先輩であるところの「刈谷さん」。
ゆるキャン△で身内以外の男性がそこそこ重要な役割を担うのは珍しい。
違和感と言えば違和感かもしれないが、現実を描くには必要な通過儀礼とでもいうのだろうか。個人的にはアリだと思った。
本編のゆるキャン△をこっちのレンジで描いていたらここまでヒットしなかっただろうと思えるが、ある意味ご褒美としてとらえていいストーリーではあると思う。
作家先生は将来の彼女たちを描きたかったんだろうな、というのがなんとなく伝わってくる感じでとても愛情のこもった作品だったと思う。