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ひょうたん事件

私の通っていた小学校は田舎にある小さな小学校で、全校生徒が12人しかいないという小さな小学校だった。
生徒の半分は親戚と言う身内で固められたような小学校。

同じ学年が1人しか居ない学年もあり、別の学年の子と同じクラス。
入学した時は同級生が3人居た私だけど、1年生の時に
親の仕事の都合で2人とも引っ越していき、結局1人になってしまった。

その為、2つ学年下の子と同じクラスだった。(その子も親戚)
仮にA子とする。

さて、そんな私のクラスの担任は、N先生。
この先生は、何かってゆーと感想文・作文を書かせる先生で
月曜日に学校に行けば、日曜日の思い出を作文に。
節分・クリスマス・七夕・遠足などの行事があれば作文を。
読書をして感想文を、月曜日には日曜日の思い出を作文に
季節が変わったら、その季節で楽しかったことを作文に
と、言う具合にとにかく作文を書きまくった印象がある。
そのおかげで国語が得意で文章力がついたのは事実なので、感謝している。
ちなみに、そうやって書きまくった作文を1年が終わった時に
文集として製本してくれた。

私の小学校では、卒業生の記念品としてひょうたんを乾燥させて
中をくりぬいてとっくりのようにして、それに卒業生の名前を入れた
ひょうたんを記念品として渡すという事をしていた。
N先生は、そのひょうたんを作る担当だったのか、教室の後ろには乾燥中のひょうたんがズラリとテーブルに並べられていた。

そして、ある日の中休み。
事件は起こるのであった。

15分と言う短い時間でも、小学生は全力で遊ぶ。
全クラスを使った鬼ごっこのような遊びをしていたと思う。
そして楽しかった15分も終わり、それぞれが教室に戻った。

私たちは席に座り、N先生を待っていた。
すると、教室に入るなり激高しているN先生。
何事かと、そちらをみると、傷ついているひょうたんを手にしている。

誰かが落としたんだなぁと思って見ていると
「誰がやったんだ!」傷ついたひょうたんを片手に
顔を真っ赤にして怒っている。
私も、A子も全く身に覚えが無いのでわかりませんと言うしかなかった。
多分、鬼ごっこ中に誰かがテーブルにぶつかり床に落としてしまったんだろう。

N先生は、私か、A子か決めつけているようで
どれだけ知らないと言っても、全然話を聞かなかった。
話を聞いてくれないので黙るしかなかった。
教室に気まずい沈黙が走る。
無駄に過ぎていく時間。
今思えば、ここで鬼ごっこのようなことをしていたので誰かが
ぶつかって落としたのかもしれないと言えば良かったのだろうけど
私もA子も火に油を注ぐようで、ひたすら黙っていたのである。

N先生は、『もう知らん!犯人がわかるまで授業はしない!』
と言い、教室から出て行ってしまう。

2人になった教室で、A子に話しかけた。
「なんか知ってる?」
「知らない」
「だよね・・・誰かがぶつかったんだろうね」
「誰だろ?」
「それは、わからないけど・・・めっちゃキレてたね」
「赤鬼みたいだったね」
と、二人でクスクス笑っていた。
この時点で授業開始して30分ほど経っていた。
「このまま待ってても、どうにもならないよねぇ」
「そうだよね・・・」
ただただ時間が経過していくばかり。
B型特有の面倒くさいことが大嫌いな私は、無駄な時間が過ぎていくことに
ただただストレスだった。

「もう面倒だから私がやったって言うわ」
「え?それはアレじゃない?」
「だって犯人なんか一生わからないし、このままずっとこの状態ってのも嫌じゃない」
「そうだけど・・・」
「やったって言ったら、ちょっと怒られて終わるじゃん、そうしよう」
「でもさぁ・・・」

結局、特に良い解決方法も無いので私がやりましたという事にすることにして、職員室へ向かった。
「N先生、すいませんでした」
と、2人で謝りに行った。

教室に着いて、「私がやりました」と話した。
その瞬間、平手打ちされた私。
「お前も見てたのか?」と問われるA子。
「はい」

えーーーーーー、なんで、はいって言うのー!?
知らないって言えばいいのにと思いながら見ていると
A子も平手打ちされる。
その後、授業が終わる鐘が鳴るまで説教される私たち。

N先生にしたら、私たちは怒られると思って咄嗟に嘘をついた2人
なので、怒るのは仕方ない。
多分、最初の時点で、私がやりましたって言えば
平手打ちは無かったんでしょうけど。

A子とよく笑いながら話す思い出の事件です。

結局、犯人はわからずじまいのこの事件。
迷宮入りです。



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