和製jamiroquai、もうグッナイ
「Stay Tune」でお馴染みSuchmosの新アルバム、「The Anymal」が今日から発売される。
今回の新譜を聴いて率直に思った感想は、「やりたい音楽はもともとこうだったんだな」である。
以前Suchmosのデビューに関する記事を読んだときに、「自分らがやりたい音楽は、売れるためではなく、追及するため」みたいなことをメンバーが言っていた。かつてレーベルに所属していたが、ビジネスの話しかされないことにうんざりして上手くいかなかったらしく、単作契約などでCDを発売していた。
「和製jamiroquai」としてヒットした彼らの音楽は、80年代Acid Jazzの要素をふんだんに盛り込みながら、それでいて現代らしい、まさに「オシャレ」な音楽が魅力だった。流行り始めた際も、デモ版をレーベル会社ではなくファッション業界や美容師など、耳の早いリスナーに配り口コミで情報を拡散させたほどだ。
The Anymal
今回発売された新アルバムであるが、誰が聴いても今までとは違うと分かるだろう。正直なところ今までのSuchmosを好きだったリスナーからすれば、”なんか違う”感があるのは否めない。あのオシャレな音楽を期待していた分、新作には胸を躍らせていたはずだ。今回のアルバムは完全にRock、ブルースみが強い。元々ボーカルのYonceはローリングストーンズなどが好きで、ルーツはロックやブルースにある。「自分らが追及したい音楽」を体現した作品なのであろう。
「The Anymal」収録曲 In The Zoo
音楽が好きな人や、耳がいい人は前作の「The Ashtray」からこのような兆候を感じていただろう。ワールドカップの曲に採用され話題となったVOL-TAGEも、ロック要素が強い。まだFUNNY GOLDやFRUITSがあったのでオシャレな音楽はキープされていると思ったが・・・
和製jamiroquai、もうグッナイ
もう和製jamiroquaiと呼ばれるようなバンドではなくなったように思える。果たしてそれが正解なのかそうじゃないのかは分からないが、ある程度のリスナーは離れてしまうのではないか・・・
そもそも僕は疑問だ。デビュー当時から「やりたい音楽をやる」と公言していた彼らが、今回ロックやブルース寄りの作品を出すということは、今まで作品は何だったのだろう?おそらく世間が求めていたSuchmosをなんだかんだで提供していたんじゃないか、と思う。もちろんそれは必要なことだが、公言している以上、それがバレてしまうのはいかがなものか、もしくは作品の主権が、音大のジャズ専攻だったベースのHSUからYonceへ移ったのだろうか・・・
この前の横浜アリーナでのライブも少し満足感は低かった。自分らのやりたいようにやりすぎだ。アレンジしまくって何の曲なのか分からないし、自分らの好きな曲を長くやりすぎだし・・・(Pacificという曲の尺が、15分もあったらしい)
今回のアルバムのIndigo Bluesという曲も、11分半ある。長すぎやしないか。
もちろん今のSuchmosにも需要はあるし、この転換によって新たなファンが付くことは間違いない。しかし個人的な意見としては、かつてのAcid JazzやR&B要素ふんだんな彼らが聴きたいところである・・・