infuse new breath × 楽曲解説 (後編)
前編に引き続き、ボーカル 兼 監督目線でinfuse new breathの楽曲解説をしていきます。
歌唱の話
●使ったマイク(NEUMANN U87Ai)
・CDのままの声になる!とメジャーどころでは大定番のマイクです。
・「小室さんのトラックで歌えることになった」と友人に相談したところ、この素晴らしいマイクをぽーんと貸してくれました。
・「答えは伸ばした手と~」あたりの低音部をばっちり拾ってくれて初めてマイクテストをした時に自分の声なのにめちゃくちゃ感動 してしまいました。
●めちゃくちゃ重ねまくるちよ
・他の現場(PAXさんなど)でもよくやってもらっているのですが、 同じメロディを3本ぐらい重ねてもらうことが多いのです。
・さらにハモも2~4本足します。
・なので、ちよパートは常にちよが3人以上います!
●めちゃくちゃ歌いまくるちよ
・メロディや歌詞が上がってくるたびに、実際に歌ってみないと 良い悪いの判断がつかず、限られた時間の中で(30分とか1時間とか)仮歌をたくさん歌いまくらせてもらいました。
年間100~200曲 仮歌を歌いまくっていた頃の経験が役に立ってよかったです。
・本番では結局ハモやコーラス合わせて約1500本歌いました。
みんなが考えてくれたメロディや歌詞やラフ絵に目や耳を傾けて、 「きみはどんな風に歌ったらいいのかな?」とずっと語り合って 試しに歌って...の繰り返しです。
他の歌唱現場でもカバーの時も、 スケジュールが許す限り、そういう時間を大切にしています。
●コーラスアレンジ
・珠季さんにはトップライン制作後ピアノRecに回ってもらったので、 ハモやコーラスはちよ(2コーラス目はタイガーさん)が考えました。
・アウトロの前半部分は珠季さんが考えてくれたトップラインの別案を 基に、後半部分はたまたくコーラス隊に大活躍してもらいつつ、 登場人物の男女がどうか幸せになりますように...と思いながらRei ちゃんのナレーションから少し言葉をもらって歌ってみたのです。
・最後の方は「ハイトーンのボーカルが好き」と言っていた小室さんの言葉を思い出して、作戦を「ガンガンいこうぜ」に変更して、結局B(シ)まで飛び立ちました!!
●ラップの話
・まだ小室さんのトラックが納品される前から「ラップセクションを入れたい」という提案だけはずっとしていました。
・男性ボーカルのタイガーさんが最高に仕上げてくれてよかった!というか2コーラス目が永遠にかっこいい!
でもわたしが歌う1番も聞いてくださいね…!!!
・ちよもラップしたかったな...という呟きに応じるように、ブリッジ部分で珠季さんがわたしに空間を作ってくれました。
wherever you are, Sure in time for Your love
ラップというよりは囁きですが、わたしが今回唯一言葉を紡いだ箇所です。
意味はご想像にお任せします…。
ミックスのこと (Mike Butler)
あめPへ「さすがにミックスを自前でやるのは無理… 」と相談した ところ、カリフォルニアのMike Butlerが担当してくれることになりました。
Mikeはわたしが「一番好きな曲」として挙げる globeのDON’T LOOK BACK (outernet ver.)を手掛けたエンジニア さんです。
それ以外にもKiss DesitinationのMA・BA・TA・KIは 夏のたびに聞くと冒頭から泣いてしまうし、奈美恵さんのRESPECT the POWER OF LOVEなどなど、わたしの多感な時期に寄り添って くれた曲はほとんどがmixed by Mike Butlerなのです。
ミックスの立ち合い経験自体が乏しいわたしが、さらに英語でオーダー を出す...というなかなか痺れる展開でしたが、悩んでいること、心配していること、抽象的でも「こうしたい」という希望をとにかく正直に伝えるようにしました。
わたしたちがどんな曲にしたいと思っているのかを目と耳でしっかり 受け止めてくれて、時差と海を越えて、トーキョーが朝を迎える頃にいつも新しいミックスを届けてくれました。
(もちろん裏であめPがフォローアップしてくださっていたと思います😄 )
全体的なリファレンスは「今までの小室さんも2020年代の小室さんのサウンドも大好きだよ」という思いを込めて、TM NETWORKのHow Crash?からとある曲を提示して、そこに近年のEDM感を Mikeの思うままに足してもらうようにお願いしました。
女性ボーカルのエフェクトのかかり具合や、キック感などはその辺りが色濃く出ていると思います。
それ以外にも、女性パートの「答えは伸ばした手と〜」というところで オクターブ上下で分かれるのを「Alicia Keysみたいにして!」といったムチャブリにも快く応じていただきました。
素晴らしいセンスだけでなく、人間性やスピーディーな対応、本当にリスペクトがやみません。
わたしは今から天才にはなれないけれど、 少しでもMikeのように「ちよちゃんに任せておけば絶対に大丈夫」と 信頼してもらえるようなミュージシャンになれるよう、真摯に努力して いきたいです。
ちなみにラフミックスが届くたびにチームあめなー全員で確認したの ですが、みんなそれぞれの場所で震えたり泣いたり立ち尽くしたり... そして東へと自然に向いて祈って号泣するちよがトーキョーのどこかにいたとかいないとか…。
おわりに
ということでこのTK × Amena NFT Projectでは、世界中のクリエイターさんが小室さんのトラックをリメイクして新しい曲に生まれ変わらせる…という試みをなんと毎週(!)公開していく予定だそうです。
皆さんもよかったら推し活の一環として、また傍観者としてだけでなく、2020年代の新しい試みの参加者として、ぜひちょくちょくご覧になってみてください。
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