カンボジア人に色を教えるための最初に知っておくこと
まず、前提として一般的なカンボジア人は、
・公立では小学校から大学まで、美術の授業はない
・ので、今までの人生の中で色を塗ったことがない
・水彩どころか、クレヨンも触ったことがない
カンボジア人がどれくらい、色のことを知らないかというと、美術大学の新入生なのに、赤と白を混ぜてピンクになることを知らない。
そして重要なのが「デザイナーになりたいからといって、絵やデザインが好きなわけではない」ということ。
日本だとこういった職業は「好き」の延長上にあることが多いのだが、カンボジアではあくまで職業の一つとして考えているだけなのである。
たんに会計士を目指すのと同じ感覚なのである。(もちろん、悪いといっているわけではない、日本と感覚が違うということである)
なので、まずは色彩感覚を養うなどよりもまず、色を使うことになれるのが先決になる。
(ちなみにこれよりは、自分が主導的に色彩教育を行うときにしていることだが、 Yamada School of Artでの教育方法とは若干違うので、混同されないようにお願いしたい)
自分のクラスで色を使うときの原則は、下記の3点で全ての生徒に守ってもらっている。
・使用できる絵の具は、赤・青・黄・白のみ
・原色は使用せずに、すべての色を自分で作成する。
(たとえ赤でも少し他の色を混ぜる)
・黒を使わない
上記の絵は、カンボジア人・20代が生まれてはじめて描いた絵になる。
課題は「クレヨンで3つの円、3本の直線・3本の曲線で画面を分割し、分割された箇所をポスターカラーで塗る」というシンプルな内容だ。
見て分かる通り、まずクレヨンの線を少しでも綺麗に引こうという気がまるでない、そして、ポスターカラーも綺麗に塗ろうということを考えたこともないのがよく分かる。
しかし、この絵はかなりマシな方なのだ。
ちなみに、下記がYamada School of Artで6歳の子が描いた絵になる。
あまり変わらない。。というか、子供の絵の方がもっと色で遊んでおり、楽しげに見える。
カンボジア人にデザインを教えるということは、まずはここから始めなければならないのだ。
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あと、20代だろうが 30代だろうが、クレヨンは描き終わったら箱にしまう、絵の具を使ったら筆やパレットをきちんと洗う、ということもきちんと指導しないとできない。これも口を酸っぱくしてようやくできるようになる。
本当に知らないということはこういうことなのだ。