「観察力の教育と診断」を読んで
VTSのファシリテーター仲間である、ミルキク氏の医事新報への寄稿がオンラインにアップされていたので、拝読させていただいた。
観察力の教育と診断─ウィリアム・オスラーと絵画鑑賞[プライマリ・ケアの理論と実践
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14823&fbclid=IwAR3Vf92fkUYmqAcd6AG3J3DUcEnjNDgkV15SBncyCBzIHyTEPG_pp71iTWo
ミルキク氏は医療従事者向けに観察力をつけるためのVTSを日々行われている。是非とも彼のnoteをチェックしていただきたい。
医療従事者が芸術鑑賞?とピンと来ない方もいるかもしれないが、診断には観察力が必要だといえば異論がある方は少ないだろう。
適切な診断を下すには、あたりまえだが幅広く深い専門知識が必要になるが、目の前の事象に対しどの知識が必要なのかを判断するには、やはり観察力が必要なのだ。
しかし、これまでは医療教育現場では「知識伝授型授業」ばかりで観察による診断力を鍛えるような授業がおろそかになっていたと氏は警鐘を鳴らす。
医療の現場では、一人一人の症例に合わせた診断および治療が必要なため、正しい答えがない場合も多々あるが、知識伝授型授業では正しい答えのない問題を教えることは難しい。
学習を行う場合,医学的な題材を使用すると“知識(という正解)”がある意味呪いのようにつきまとってくるが,“答えは質問の不幸である”という言葉もある。
(上記Webページより引用)
正解を教えることは考える力を阻害することにもつながりかねない。
氏は「教えない授業」である対話型美術鑑賞をとおして、正確な観察力とそこから生まれる洞察力のアップをはかり、さらにはただ見るだけではなく対話による傾聴力をつけることは診断に有意義だと論じる。
VTSは「芸術鑑賞」という日本語のために、単なる一つの趣味のように受け取られることも多いが、ミルキク氏をはじめとするファシリテーターの活躍によって、根源的な力を伸ばす基礎教育方法だということがもっと認知されていくと良いな。