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Alois Johandlの長編Orthodox(1)
少し前に、Johandl・Wenda・Chlubnaという3人による作品集『DREIKLANG』を小林敏樹さんからお借りした。今回の連載では3人の中からAlois Johandlにスポットを当て、彼の長編Orthodoxの世界を見ていただくことにする。
長編Orthodoxを得意とする作家は何人かいるが、例えばHans Peter Rehmの場合は論理の厚みが凄くてボリューミーな作品が多い。それと比べると、Johandlの長編は流れがスムーズで肩が凝らない。詰将棋作家と親和性が非常に高い作家だと思う。そんな彼の世界を楽しんでいただければ幸いである。
まずは4手メイトを見ていただこう。
J25
1.Preis, Neue Osnabrucker Zeitung 1993-94
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#4
1.Bb4 (2.Bd2#) c3 2.Bd6
2...Qb8,c7 3.Qxd4+ Kxd4 4.Bc5#
2...g2 3.Qxe4+ Kxe4 4.Re5#
黒の2手目でd4あるいはe4への利きが無くなり、Q捨てが成立する。
続いてラインの遮断がテーマの5手メイトを。
J36
1.Preis, Schweizerische Arbeiter-Schachzeitung 1966
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89355976/picture_pc_1893a1504468df58f5069496bd0c4550.png?width=1200)
#5
1.Sc3!(2.Sd5+
2...Qxd5 3.Se6+ Qxe6 4.Rxe4#
2...Bxd5 3.Rxe4+ Bxe4 4.Se6#)
1...Bg8,f7
2.Reg1(3.R1g4#) Qc8 3.Se6+
3...Qxe6 4.Sd5+ Qxd5 5.R1g4#
3...Bxe6 4.R1g4+ Bxg4 5.Sd5#
いきなり1.Reg1はQc8と受けられて、2.Se6+も同Qで意味がない。
keyの1.Sc3は続く2.Sd5+!のPlachuttaを狙った手。異種の線駒の利きを遮断するNovotnyと似ているが、Plachuttaは同種の利きの遮断であるため、2...Qxd5と取り返す手に対して3.Se6+!ともう一発捨駒が入るのがミソである。
さて、このPlachuttaを防ぐには、Bをcritical square(d5)の反対側に運んでおく1...Bf7しかない。
この下準備を入れてから2.Reg1 Qc8と進めると、新たなcritical square(e6)が生まれているではないか!これで先程は無効だった3.Se6+!がPlachuttaに昇華し、どちらで取ってももう1発捨ててやればメイトだ。
異なる場所での2回のPlachuttaが楽しめる佳作。
今回の2作はまだまだ小手調べであり、彼の本領はこれからなのでお楽しみに。