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「Fairy World」を読む(19)
今回はALBUMに収録されたH#2が2作です。
161番
Chess in Australia 1st Prize 1979 (FIDE ALBUM 1977-79収録作)
H#2 b)Qe8→S
a) 1.Bxc4 Sf5 2.Bd3 Bg7#
b) 1.Rxd4 Se5 2.Re4 Sg6#
黒が白の駒を取ってSwitchBack。ツインの設定がちょっと面白い。
162番
Guanabara J.T. 2nd Prize 1979 (FIDE ALBUM 1977-79収録作)
H#2 2solutions
白の駒が少なく単純に見えるが、結構高度なことをやっている作品。2解なので、c2を塞いでSb1と、e2を塞いでSf1の2手順になることは推察できる。
まずはc2を塞いでみよう。最も簡単なのはself-blockだ。1.Rc7 ?? 2.Rc2 Sb1# さて、いつも通り白の初手で手待ちを要求されているのだが、そういう手は簡単に発見できる。1.Rc7 Kxh2 2.Rc2 Sb1#
あれ、簡単に詰んでしまった。まあ良いやと言うことで次はe2をself-blockで塞いでみる。1.Re7 ?? 2.Re2 Sf1# しかし、こちらには白の初手が存在しないのだ。なぜなら、Kxh2はRに取られてしまう!よって黒がe2をself-blockするのは無理だと分かった。となると白でguardするしかない。そのための駒はwRで、現状はa8Bによってpinされている。よって手順は1.Rb7 Re3 2.?? Sf1# となる。白が2手使うようになった代わりに今度は黒が1手余り、2手目に手待ちが要求されているのだ!逆王手をかけないように注意すると、tempo moveが1つだけあることが分かるはず。1.Rb7 Re3 2.Sc4 Sf1#
これで解答は分かったわけだが、c2を白でguardしていたらどうなっていたかも見ておこう。1.Rb7 Rc3 2.?? Sb1# ここで先程と同じように2.Sc4とtempo moveすると……Sb1をRに取られてしまう!
ということで、本作も多分Krikheli themeに該当するはずだ。これだけの舞台装置で実現できているのが素晴らしい。Krikheli themeについては連載(14)の120番をお読みいただきたい。
最後に図面と作意を並べておこう。
162番(再掲)
H#2 2solutions
Tries
1.Re7 ?? 2.Re2 Sf1#
1.Rb7 Rc3 2.?? Sb1#
Sols
1.Rb7 Re3 2.Sc4! Sf1#
1.Rc7 Kxh2! 2.Rc2 Sb1#