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私の好きなAbdurahmanovic作品⑧
彼の近年の発表作から2つ紹介しよう。いずれも、FIDE ALBUM 2016-2018に収録されているものだ。
SuperProblem 2017 1st Prize
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H#2 4solutions
1.Sxa1 Qg6 2.Kd4 Qd6#
1.Sxc1 Qg7 2.Kc4 Qd4#
1.Sd4 Rc6 2.Ke5 Qg5#
1.Sbc5 Be5 2.Kc6 Qxe4#
前半の2解は初手で線駒を取ってしまい、元々利きのあったマスに黒Kが移動してメイトになる。後半の2解は線駒の利きにSが飛び込んでselfpinの形を作りpin-mate。2解+2解構成のHOTFだ。
初手が1つの黒Sによる着手である点、白Qの移動6回にダブりが一切ない点を、Christopher Jonesも絶賛している。
The Problemist 2016 1st Prize
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H#2 4solutions
1.Bxe4 Sc4+ 2.Kxc6 Bxe4#
1.Sxf3 Sxd6 2.Kd4 Sxf3#
1.Bxe5 Bxe2 2.Kxe4 Rxe5#
1.Rxg5 Sg6 2.Kxe6 Sxg5#
ただならぬ形相の作品で、手順もものすごい。
白には2つのバッテリーがあるが、これはバッテリーというよりも、チェーン状に結ばれた4つのピースと捉えるべきなのだ。e5Sはf3Bに、f3Bはe4Sに、e4Sはg5Rに、g5Rはe5Sにそれぞれ利いていることをご確認いただきたい。
黒は初手で白のチェーンのうちから1つ取ってしまう。そして、白はそれを最終手で取り返す。チェーン状になっているので、当然fourfold cyclic Zilahiになる!
黒の2手目がKの4パターンになっている点も見逃せない。意欲的なアイデアと優れたテクニックが見事にマッチした傑作だ。