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黎明期のOrthodox傑作選 02
第1回に引き続きLoyd作品を見ていこう。
Samuel Loyd
V Boston Gazette 1859
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#2
1.Qa5 waiting
1...Bd7, Bd6 2.Qd5# (d8Rのラインの遮断)
1...Be7, Be6 2.Qe5# (e8Rのラインの遮断)
1...Rd6, Re7 2.Qxb4# (f8Bのラインの遮断)
1...Rd7, Re6 2.Sf5# (c8Bのラインの遮断)
1...Bc5 2.Qa1#
threatを持たないkey move。黒は線駒を動かすしか手がないが、どう動かしても他の線駒の利きを遮断してしまう。
1859年の時点で、Organ Pipesと呼ばれ現在でも用いられるRB4枚の配置に辿り着いていたLoydの先進性には驚かされるばかりだ(Loydは、自身がOrgan Pipesのcopyrightを持っていると考えていた)。
なおa6Pは1.Qb5を防ぐために絶対の配置だが、それによって初手のwaiting moveが1...a5を防ぐという積極的な意味を持ってしまう欠点が生じている。
Samuel Loyd
London Era January 13, 1861
(Second Prize Set, Paris Tourney, 1867)
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#5
1.b4 (2.Rf5 Rc5 3.bxc5 any 4.Rf1#)
1...Rc5 2.bxc5 a2 3.c6 Bc7 4.cxb7 any 5.bxa8=Q#
(1...Rxc2 2.Sxc2 a2 3.Rf5 a1=Q 4.Sxa1 any 5.Rf1#)
パッと見える手は1.Rf5(2.Rf1#)。しかし、黒には1...Rc5で白Rをpinしてしまう強い受けがある。keyはその受けを牽制しておく1.b4だ。ここで最長手数になるディフェンスは2つあるが、テーマに関わるのは1...Rc5の方である。以下2.bxc5(3.Rb1#) a2 3.c6までは絶対。この手にはRf5〜Rf1のthreatが付いているためBc7と受ける(Rf5にBf4を用意)。そこで4.cxb7とするのが決め手で、黒はQ成を受けることが出来ない。
二段目にいるPが八段目で昇格して詰むことを、この初形から誰が想像できるだろうか!Excelsiorと呼ばれる、彼自身が考案したテーマを実現した秀作。