詰パラ712号
7月号なので看寿賞発表の記事があった。しかし、受賞しなかった候補作については図面・手順が載っておらず「○○作、パラ○月号、◯手」という情報があるだけ。バックナンバーを出してこないと選考委員の話についていけない。最近の看寿賞の記事はもう少し読みやすかった気がするので、ここ数年で改善されたのだろう。
さて、今回は中編と長編を1作ずつ選んでみた。
若島正
65飛、同玉、74歩、75飛合、同飛、64玉、65飛、同玉、66飛、74玉、76飛、75飛合、同飛、64玉、65飛打、53玉、44馬、同玉、74飛、同桂、64飛、同香、54金、35玉、34銀引成、同銀、36歩、同と、24銀、45玉、55金まで31手。
【飛のラインは飛では遮断できない】というアイデアの表現。こういう「当たり前」を掬い上げて作品に仕上げるのが構想作家なのか。このアイデアから考えると飛の不利合+2枚飛を消す収束は必然的だが、邪魔な歩を飛の小回りで消してもう1回不利合を出す表現力には感嘆するばかりである。
本作については参考動画を貼っておこう(48分から)。この対談のあと1週間もせずに完成したらしいから不思議だ。詰将棋創作で行き詰まったらテーマを羽生さんに話してみる、というのも一手かもしれない(笑)。
青木裕一
42香成、同玉、44香、43香合、同香成、51玉、63桂生、同歩、42成香、同玉、44香、43香合、同香生、32玉、35龍、同飛、42香成、同玉、44香、43香合、同香成、51玉、95角、同飛、42成香、同玉、44香、43香合、同香生、32玉、48角、38と、42香成、同玉、44香、43香合、同香成、51玉、84角、73香合、同角成、同歩、42成香、同玉、44香、43香合、同香生、32玉、22銀成、同玉、24香、12玉、13香まで53手。
「攻方着手が玉方着手の決定権を持つ」というフレーム自体は見られるものだ。しかし、成生での切り分けは珍しいのではないか。また鍵の設定が上手く、成生選択の回数を6回まで増やすことに成功。収束もスムーズに決まって秀作だ。
最後に妖精賞発表から1作。
上谷直希作
打歩ばか詰7手
18角、27歩合、同龍、45玉、67龍、55玉、56歩まで7手。
意外性がテーマという、ある意味伝統的な作。左右対称の初形も作者のちょっとしたこだわりだろう。
この号では余詰が4作もあった。PC検討時代では相当珍しいのではなかろうか。