
人が創る祭りーわたしとにいがた総おどり
忘れられない半年間がある。
にいがた総おどり祭と生きた日々のこと。
わたしは、にいがた総おどり祭が大好きだ。
踊り子ではないから、主に心を踊らせることでお祭りに参加している。
最高の踊りを魅せてくれる踊り子のみんなに、手拍子足拍子心拍子を贈る。
踊らないわたしでも受け入れてくれるこのお祭りが大好きだ。
そして、お祭りとお祭りに関わる全ての人たちに、心から感謝している。
総おどりとの出会い
出会いは2010年。大学3年の春。
インターンシップ先に選んだのが、お祭りの実行委員会だった。
当時のわたしは、何も知らないできないのに、想いらしき何かだけはいっちょまえに持ってるつもりでいる、典型的なめんどくさい学生だった。
当時はまだ、地方の大学だとインターンシップは当たり前じゃなかった頃。
大学生活がヒマだったわけでは決してない。書道科はむしろ忙しい。
でも、書道だけの4年間で社会に出ることに焦りを感じて、別の世界を見てみたかった。
メインの業務は、総おどりのさまざまなプロジェクトのひとつである「レインボーチルドレンプロジェクト」の運営資金(個人協賛)を集めること。
そのチャレンジの結果だけを言えば、目標金額には遠く遠く及ばなかった。
先輩からの引継ぎと自分で開拓したほんのわずかな分。
革命を起こせるわけでもなく、社会人になる前に営業っぽいことを経験したかもしれない、くらいの成果だった。
金額的な意味で貢献できなかったことは、もちろん反省すべきこと。
でもそれより何より、”半年間いろいろ経験させてもらったのに、きちんとした形で貢献できなかった”という、悔しさや申し訳なさが大きかった。
それくらい、総おどりを愛するたくさんの人たちに助けられ、心躍らせてもらった半年間だった。
人が創る祭り
"次の世代のために感動ある世の中をつくる"
にいがた総おどりを愛し創る人たちの心には、この想いが強くある。
始まりの2001年から、ずっと変わらない想い。
インターン中に出会った総おどりに関わる人たちは、みんなみんなかっこよかった。
協賛の営業をしながら、踊りの練習、レインボーチルドレンの活動、街のゴミ拾いなどのエコ活動、お祭りの準備・・・さまざまな場へ顔を出させてもらい、たくさんの人と会った。
わたしが実行委員会のインターン生だと知って応援してくれる人
一緒にお祭りを創ろう!と笑ってくれる人
インターンおつかれさまだね〜と心を寄せてくれる人・・・
みんなみんなエネルギッシュでかっこよくて、とにかく優しかった。
インターン中、何度こころを救ってもらったことか・・・
その人たちが、踊り子として踊りに必死で向き合っていた姿も見てきた。
みんな真剣で、踊りが大好きで、その先に続く未来を見ていた。
お祭当日。
ほんの一言でも言葉を交わした人が、最高の表情で踊っているのを見ただけで、泣けて泣けて仕方なかった。
わたしも一緒に踊っている気になって、泣いた。
表現することに全てをかける楽しさ苦しさ喜び。
この想いを表現できれば、わたしはいまよりもっと強くなれる。
全身全霊で表現に向き合う気持ちは、わたしにもわかるから。
半年間で頂いたもの・・・見た景色、感じた想いのすべてを忘れない。
社会に出たら、いろいろうまく行かないことやしんどいこと、理不尽なこともきっとたくさんある。
でも、想いや願いを原動力に、一生懸命生きるかっこいい人たちがいる。
そんな人たちと出会えたことは、
社会へ出ていく直前だったわたしにとって、
何よりの希望だった。
繋ぐ
総おどりと出会って、今年で10年。
わたしは変わらず新潟にいて、微力ながら毎年お祭りに関わってきた。
いつもなら、春から夏へと季節の移ろいを感じつつインターン時代を思い出して胸がクッと鳴って、あぁ今年も総おどりがやってくるなぁ・・・と、
思うはずだったのに。
本祭へと向かういろんな気持ちを知っているから、とてもつらい。
でも、人が創って、人のチカラで続いてきたお祭りだから。
このまま終わるはずがないし、終わらせない。
人のチカラを、このお祭りのチカラを、信じている。
絶対に絶対に、繋げたい。
繋ぐ!