SF作品の根本に見え隠れする原始的攻撃手段の洗脳
現代の漫画や映画など、戦闘シーンの多くで何故か人々は剣で戦うアクション・シーンを好む傾向がある。
その起源にあるのは、黒沢映画であり、黒沢映画の影響を受けたハリウッドが、剣劇を広めた張本人だろう。
スター・ウォーズという作品によるフォースと人の反射神経により、銃弾を剣で斬り落とすルパン三世の石川五右衛門のような発想が、ハリウッド映画に取り入れられた漫画的要素が、今の剣を使って敵を倒すというアイデアに繋がってるのだろう。
第一次大戦で言えば、毒ガスを使った兵器が使用され、ドイツ軍の塩素ガスよる攻撃を化学を学んでいた兵士が見抜き、次亜塩素酸を浸み込ませたマスクで防毒対策されてる。
フランス軍では更に強力なホスゲンを使用することで、ドイツ兵の多くが死にドイツ軍もイペリットと呼ばれるマスタード・ガスを開発して、近代戦であるイラン・イラク戦争にまで使用さている。
キノコであるカワラタケにより、イペリットは分解する事が判明してるが、毒ガス兵器の恐ろしさをワールドトリガーのエネドラ戦では表現してる。
液体や気体に変化する内容に関しては、ハリウッド作品のターミネーター2が元になってるのだろう。
日本の場合、ブリーチの死神が使う武器が刀なのも剣道などよりも実戦の斬り合いであるチャンバラ劇の方がウケるという理由で、西欧人にサムライのイメージの残る日本刀の剣劇が人気の理由なのだろう。
合戦の主流は槍であり、3m近い槍や竹や杭で作られた馬防柵や落とし穴など、合戦では陣地を守る戦いを丘に階段状の縄張りをつくり、連郭式や梯郭式や輪郭式の陣を布いたのが城の始まり。
縄張りというのは、元々は戦国時代の陣地の事を意味してる。
柵を立てたり、落とし穴や石垣を積み上げて堀を設け城に渡るのに橋を架けるなど、籠城の際に畳や襖を食料として食べられるよう、味噌などを浸み込ませた作りになっていた。
実際の戦いで槍がどういう風に使用されたのかといえば、バネのように撓らせた槍の穂先を地面に叩き付けるようにし、相手(敵)の腕や足元を攻撃して、武器を払い除けるような戦い方をしたことが分かっている。
意外と刺突用に使ったのは、騎馬を相手にする時くらいのものだろう。
御手杵のように、刃渡り138㎝もあるような薙刀のような刀と槍が一つになったような長柄武器を用いてる。
ワールドトリガーなどで面白いのは、弾丸を撃つ為の銃は物質として表現され、弾丸やブレードとなる直接の火力武器と盾となるシールドを含めて3つ以上のトリガーを同時に使用できない構成になってる。
盾を使ってる時に、他のサブ・トリガーを同時に使えない設定。
その上で、ワイヤーなどは持ち主が倒された後も物質化して残される。
設定上の矛盾が存在する。
例えば、槍や刀であっても物質化してしまえば、トリガー兵器であれば、物として飛ばす事ができるのに、弾丸だけ物質として扱われない。
弾丸の場合であってもメテオラのように、置き弾として爆弾の代わりに使用できるものは、使用者本人がベイルアウトしても使用できる。
結構、作者だけに都合が良いルールが沢山あり、設定も矛盾してる内容のものが多い。
トリオンにしても一日に使用できる上限はあっても黒トリガーのように特別なトリオン兵器も存在する。
普通に、銃剣を使った方が合理的で刀にもなるし銃としても使える。
撃てる回数に制限を設ければ、弾は20発までとか銃剣のブレードにオプションの旋空の機能や幻踊の機能も追加できるだろう。
トリオン物質なので、物質化した盾の代わりにも使用できるので、ブレードを受け太刀する事も可能だろう。
現在の実戦では、戦闘員でも防弾ベストを着るのが一般的なので、本来なら強化されたトリオン体の上に、防刃・防弾ベストを着るだけで、三雲修のような弱キャラを落しづらくできる。
頭と心臓を撃たれたり斬り落とされない限り、ベイルアウトも難しくなる。
シールドを貫通する鉛弾のような非殺傷兵器の有用性が増す。
そういう意味では、ワイヤーもそうだし原始的な武器として刀があるのであれば、武器として鞭があっても良いよね。
硬鞭の中でも竹の節を使ったものなど、柔らかい軟鞭のように、形を自由に変える鞭もある。
剣を使うよりもインディージョーンズのように、鞭の方が実戦では打撃系の効果が望める。
鞭打においても竹の鞭のように鉄のコブの節を付けた鞭など、兜を割る殴打専用の武器も存在する。
鉄製の硬鞭は、刺したり硬いものを破壊する為の武器として使用されていたもの。
意外とスタン・グレネードや通常のグレネードなど、煙幕用グレネードに催涙ガス用のグレネードなど、ワールドトリガーのトリオン体でも埃を吸って咳をしてるので、有効な武器の筈なんだけどね。
音響と光で相手の動きを一瞬だけ鈍らせるスタン・グレネード。
こちらは、催涙用のペッパー・グレネード。
通常の兵士は、用途別のグレネード(手りゅう弾)6個を携帯してる。
6パックと呼ばれる20発ないし30発の弾倉6個と合わせて装備する。
次世代のアサルトライフルは、現行の 5.56mmNATO弾から 6.8mmSPC弾を使用するので20連発式になる。
こちらは発煙グレネード、煙幕で視界を見づらくして暴動を鎮圧する際に使用される。
これは、日本の自衛隊でも使用してるM67手りゅう弾をCan Canonと呼ばれる空砲用のボールなどを飛ばす銃で射出した映像。
銃は、通常のアサルトライフルのAR-15に Can Canon と空砲用の弾薬のない火薬だけを発砲してガス圧で物を飛ばすという銃のオプション機能。
例えば、ワールドトリガーでは、アステロイドを置き弾にして使用する場面があるのですが、置き弾の場合、こういう仕掛けも作れる。
ダメージを負わせる仕掛けとして、置き弾にメテオラを仕掛ける爆弾があるのに、置き弾を自動で発射できるワイヤー戦術がない。
アステロイドの良い部分は、弾を細かく分割して撃つ事が可能なので、散弾も作れる。
作中では、大ダメージを与える戦術がメインになっていて、威力重視の戦術が目立つようになってる。
実際には、地雷やワイヤーを張ったトラップなど、実戦の中で地味に仕掛けを使った戦術を使う。
戦闘員の離脱がメインなので、死亡させる必要性がない。
対人地雷なども同じであり、3人居て3人全員が死亡すれば、単純に死亡した戦士の屍の山を戦車などが潜り抜けるだけの戦術になる。
負傷兵が居る場合、敵の負傷者を内地へ送り返したり、野戦病院の施設がある場所まで後退させ、重傷度により、戦線離脱させることを目的にする場合が殆んど。
理由は、手足が無くなって帰ってくるのか、死亡して返ってくるのかで受け取り方が変わるから。
仲間が死亡した場合、復讐心などが優先する。
大勢の仲間が毎日のように怪我をして手足が無くなるという重傷を負うと、自分の手足が無くなるかも知れないという恐怖の方が人の心理に働く。
つまり心理戦というのは、殺す事よりも負傷した重傷者の怪我の状態を見て自身も怪我をする恐れを抱いて戦意を喪失させる事が、地雷や仕掛け罠の戦術の意図がある。
ランク戦でいうと、トリオン切れによるベイルアウト狙いの戦術。
ワールドトリガーのランク戦では、負傷の具合や損耗率を計算に入れない戦術が取られている。
ベイルアウトすれば戦線離脱になるので、長時間戦闘訓練では、怪我が戦線離脱と復帰の要になる。
トリオン量の少ない人の方がトリオンが復活するのが早いのに対し、トリオン量の多い人ほど、トリオンの消費量も多いのでトリオンが貯まるまでの時間を要する。
エネドラ戦のガス・ブレードのように、ガス化したトリガーで内臓を損傷させるという武器が敵の攻撃にあるので、ヒュースのランビリスのような磁力のように自由に動かせるトリガー操作が可能であれば、ガス化したトリオン攻撃が可能になる。
銃弾には限りがあるので、第一次大戦では毒ガス兵器が使用された。
敵の致死率を高めるのが狙いであれば、毒ガス兵器が最強であり、シアン化合物などの視野狭窄が起きる兵器は、戦場では有効な戦術兵器として機能する。
大きな爆発力を誇る炸裂弾を撃てない三雲修などが、不利な戦いしかできないのが、今のワールドトリガーの設定のおかしな部分。
三雲修の力でも体力的にはゴリラ並みのパワーを得てる訳だから、鞭や長柄武器を持たせた方が攻撃の際に短いブレードよりも攻撃の速度が上がる。
意外と竿先のような長い物の先端速度が物凄い速さになる事は余り知ってる人が少ない。
知ってるなら刀を武器として持たせる描写も少なくなる。
カーボンロッドの釣り竿の先端の動きを目で追えるか見れば分かるけど、殆んど音速領域まで加速するので、人間の反応速度では躱せないスピードになる。
秒速でいうと 200m/secくらいは誰でも出せる。
飛距離も200mほどまで27gの鉛の重りを飛ばせる。
つまり早く加速した先端速度を出したのなら、3mくらいの竿を振った方が槍の先端の動きを見極められないということ。
攻撃も撓った先端が反発で戻る速度も加わるので、撓り具合が目で追えない。
意外と武器の性質とか物理的な条件などが、全く考えられていない。
現在でも空気銃で弓矢の矢を発射する狩猟用の武器が存在するのは、そういった理由からだろう。
トリオン体の換装でも毒が有効作用するのであれば、毒物兵器を開発した方が圧倒的に有利だろう。
チーム戦術でもトラップを仕掛ける特殊工作員や相手(敵)を陽動する作戦など、動きを止めたり一瞬だけ相手の注意力を奪う戦術により狙撃を当てやすくする作戦を実行できる。
基本的に戦闘員は、小銃や手りゅう弾や銃剣術を使えて、特殊工作として爆弾を仕掛けたり、長距離狙撃ができるのが理想だろう。
100%ベイルアウト戦しか認めない戦い方は、 0‐1のTrue or False(有・無)の戦術となっていて、勧善懲悪の正義の味方などのヒーロー作品を観て育った世代の固定観念になりつつあるよね。
負傷や戦闘への参加と離脱という考えに重点が置かれてないのが、日本の漫画に見られるアホの典型としか言えないシチュエーションだったりする。
スポーツではオフェンスのヴァンガード(前衛)とディフェンスのリアガード(後衛)のポジションにおいて物事を考えるように、戦争でも同じポジション名なので、勘違いするのでしょうね。