エンジンの進化の過程は、重量を重くすること

最もシンプルなエンジンは、ピストン・バルブ型のエンジン。

昔の2ストローク・エンジンに用いられた最もシンプルで分かりやすい構造のエンジン。

ピストンの上下運動を利用して吸気と掃気(排気)を行なうので、燃料だけ機械式の噴射装置を設ければ、今でも普通に超コスパに優れたエンジンとして利用できる。

右は典型的なピストン・バルブ型の2サイクル・エンジン。

シリンダの側面に掃気と呼ばれる別の溝のような空間が設けられていて、吸気ガスと排気ガスの双方を循環する機能を持っている。

燃料を強制的に送り込むロータリーバルブ式のキャブレターを持つ物が多い。

個人的には、燃料噴射装置を注射器のピストン運動の上下運動で上死点のマイナス進角の15°あたりで噴射する仕組みにすれば、混合気が排ガスと一緒に抜ける事もないと思うんだけど…

低回転では可能な事も、高回転の領域では機能しなくなる。

実際に、航空機のプロペラの速さにたとえると、2,800回転以上の回転軸の速さは航空機には不要なので、航空機では2ストローク・エンジンは成り立つ。

同じように、超ロング・ストローク型の船舶用のディーゼルエンジンなどでも2ストローク型の低回転エンジンが使用される。

燃料噴射装置を設けて吸気側の取り入れ口から空気を取り入れ、排気バルブを閉じてから燃料を噴射するので、低回転のディーゼル・エンジンでは、熱効率50%以上の内燃機関が作られている。

実際にタービン・エンジンよりも熱効率が良い。

外燃式のロケット炉で、蒸気タービンを加熱水蒸気で回すタービンと同じくらいの熱効率です。

51~52%くらいの熱効率なので、内燃機関の発電装置としては2ストローク・ディーゼル・エンジンよりも燃費の良いエンジンは存在しない。

機械のエネルギーの抵抗損失が、それだけ少ないということ。

船舶用には、プッシュロッドという棒をクランクケースから棒を押し上げてバルブを押し下げるロッカーアームが足されるので、エンジン上部に排気バルブが設けられる

映像は、吸気側もあるので通常のオーバー・ヘッド・バルブ(OHV)エンジンのロッカー・アームの動きを見る参考用の映像です。

掃気型の吸気・排気構造にバルブを足した形が、大型タンカーやディーゼル発電に用いられる仕組みになっている。

個人的には、ロング・ストロークのディーゼル・エンジンを発電用に小型化して発電装置で発電して電気で走る車を作った方が熱効率では最高だと思うんだけど、トラックのような10,000㏄(10ℓ)クラスのエンジンにならないと意味がないらしい。

トラックでは、燃料にLPGを使用するデュアル・フューエル型のエンジンがトレンドになりつつある。

軽油とLPGの両方が使える特性を持っている。

最近、僕が良く言うグロープラグを点火に使用するディーゼルのスパーク・プラグを搭載したエンジンを作れば、面白いエンジンは幾らでも作れるんだよね。

僕は、燃料噴射装置だけあれば、部品点数を減らせるという利点だけを見れば、2ストロークのピストンバルブ式のディーゼル・エンジンの方が面白いと思ってる。

排ガスは石灰水を使って、一酸化炭素と二酸化炭素を分けて、一酸化炭素と排ガスが分かれる仕組みを作れば、排気と吸気循環で必要な分の吸気で済むので、燃料を完全燃焼させて窒素酸化物と二酸化炭素を濾過して振り分ける装置を設ければ、普通にクリーンなディーゼル・エンジンを小型でも作れると思う。

低速回転なので、ルーツ式のスーパー・チャージャーの過給でも充分な吸気を送り込むことができる。

排気側からの循環する吸気ガスも掃気ポートを使って呼び戻せるので、クランク室内からの吸気ガスには、一酸化炭素も含まれるようになる。

ピストン・バルブ式のエンジンは、部品点数の少ない究極のエンジンなので、シンプルで構造が単純な作りのエンジンを目指すのであれば、極めるのに一番面白い構造のエンジンだったりする。

エンジンの作りで言えば、大きな外枠に沢山の溝を付けて、真ん中にピストン・シリンダーケース用のスリーブを入れたら出来上がる構造なので、製造工程も部品を分割して作れる。

排気ガスが浄化水槽のような部位の下に排気ガスが送られる仕組みを作り、スポンジ状の耐熱性のパーツで、石灰水が上下左右の激しい動きでも偏らないよう仕切り板で抑制すれば、上がって来た気体の一部がクランク・ケースの吸引で戻るようにするだけで良い。

余った排気は外に逃がす仕組みにすれば、不完全燃焼の一酸化炭素を燃やす事ができる。

チャンバーのようにスワール(渦)を作って、排気流速と排圧をコントロールする事で、排気を上手に逃がす仕組みが、エンジンの排気ポートの近くに必要になる。

完全に排気される排気ガスを水の中に潜らせて、二酸化炭素と窒素酸化物や一酸化炭素を分ける事で、排気循環の仕組みを作れる。

二酸化炭素は石灰水で吸収されるので、一酸化炭素を容易に取り出せる。

窒素酸化物はスラッジの煤なので、水に吸着される。

意外と単純な作りのフィルターで、一酸化炭素と酸素だけが取り出せる。

フィルターを通り抜けた排ガスが、クランクケース内を一度通り抜ける仕組みをクランクケース内の圧力で調整して、吸気と掃気と排気の三つの機能が働くように、排気用のバイパスに穴を開けてクランクケース内を通るようにすれば、ピストン下降時の圧力で掃気が起きることで気体の流れが発生する。

ピストン上昇時の掃気の時に排ガスと吸気用の空気が流入するので、爆発してピストンが下降する時に、不要な排ガスが排出されるようになる。

掃気が始まる短い時間に不要な排気ガスが排出される。

燃料はオイルと混ぜる必要があるので、直噴にすることで、クランクケース内はドライサンプ式でオイルを循環できる。

この作りだとオイルの消費量は、ポルシェの空冷エンジン並みになるよね。

燃料にもオイルが必要なので、少し手間が掛かる。

最終的にガソリンの2ストローク・エンジンで容易に使えるのは、刈払機くらいしか使い道がない。

単純なピストン・バルブの2ストローク・エンジンであれば、モペット用などの構造がシンプルで、30ccくらいの特定小型原動機付自転車くらいしか用途がないと思う。

逆に、時速20km/h未満であれば、運転免許を必要としない特定小型原動機付自転車でも使用できるので、今後は、別の用途が見出せるかも。

構造がシンプルで部品点数が少なく、速度も時速15km/h程度に抑えれば、無免許でも乗れる動力付きの自転車が無免許でも認められるので、用途はありそうですよね。

※ 追記、小型の2ストローク・エンジンは、バッテリーがなくてもエンジンは掛かります。

理由は、マグネトー点火式でクランクの回転で発電した電気を増幅して、点火プラグをスパークしてるからです。

航空機では、今でもマグネトー点火が利用されています。

理由は、バッテリーで制御するプラグ点火だと失火よるノッキングが起こる為で、一定の回転数で飛行する飛行機では、常に失火の心配のないマグネトーの方が安心できる為です。

バッテリーというのは、気温の変化、特に高所を飛ぶ際に電圧が低くなるデメリットがあり、バッテリーが上がり墜落する事故が多発した経緯があります。

そうした理由から航空機はマグネトー点火式が、今でも使われています。

今は、スターターを回すのにバッテリーを使うので、マグネトー点火式でもバッテリーを搭載してる刈払機でも多い。

チェーンソーやロープ式のスターターを使う船外機などの他は、バッテリーを使用する物が多い。

横浜のフキプランニングというバイクレースなどに出場してるお店が作ってるモペッド。

バッテリーは搭載してないけど、エンジンと燃料だけで自転車のクランクを利用してエンジンをスタートできる面白い原付です。

時速20km/h以下なので、ナンバー不要だと思うんだけど、まだ原動機付自転車の扱いのようですね。

特定小型原動機付自転車として扱って欲しい。

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