エネルギー効率の良いガスタービン・エンジンが非常用電源に使用されない理由

ガスタービン・エンジンを緊急用の発電機として用いている施設数は、ディーゼル・エンジンと比較すると9対1で、圧倒的にディーゼル・エンジンの発電機の方が多い。

抵抗損失50%前後のガスタービンの方が、発電能力は圧倒的に高い。

なのに、ディーゼル・エンジンが多く使用される理由が市場には存在する。

定期メンテナンスにおいて、ディーゼル・エンジン(レシプロ機関)は汎用性が高く、パーツの流用や製造数が多い為、メカニックの数も多く、整備費用の安い業者にメンテナンスの依頼が可能な部分が、非常時にしか使用されない緊急用の発電機にディーゼル・エンジンが使われる理由になっている。

タービン・エンジンでも外燃式の加熱水蒸気を使用するタービンであれば、メンテナンスも楽なのだろうけどね。

現在、大型船舶で使用されるディーゼル・エンジンの殆んどは、2ストロークを使用する。

エンジンの回転数が、100回転/min 前後で使用されるので、自動車のアイドリングよりも圧倒的に低い回転数で、ゆっくりと回り続ける。

エネルギー効率も殆んどタービン・エンジンと同じで、外燃機関のタービンよりも物を動かす力には、2ストローク型のディーゼル・エンジンが使用されている。

これは、海上輸送専用だから言える事なんだけど、最近の自動車においてもPHV(プラグイン・ハイブリッド)の自動車が増えているので、2ストローク型の小排気量ディーゼルを発電機として搭載しても良い気がする。

特にタクシーなど、2ストローク2気筒エンジンでも事が足りそう。

日産ノートに使用されるパラレル式ハイブリッド・エンジンの場合、発電した電力で自動車を動かすので、熱効率のより小型のディーゼル・エンジンを停止せずに回し続けた方が、都度ガソリン・エンジンで発電するよりも圧倒的に効率が良くなる。

あくまでも小型自動車に関しては、信号待ちや停止条件が加わるので、ディーゼル・エンジンであっても燃費が悪くなる。

その為、発電機として活用した方が、圧倒的に燃費が良いという訳です。

燃料もガソリンではなく、灯油や軽油を使用できるので、税の安い灯油で走らせれば、燃料コストも安くなる。

軽油の方が、精製コストの面では圧倒的に安い。

日本で軽油が高い理由は、自動車用の用途に使用される為であり、税金を取れる所から3重の税を課して税を取りまくっている。

海外へ行けば、質の悪いガソリン(オクタン価90未満)などは、30-40円/ℓ 程度なので、ガソリンが安く売られている。

南米のガソリンの多くは、大体 40円/ℓ 程度で売られている。

日本のように、ガソリン価格が一気に急上昇しても 80円/ℓ くらいなので、安定すると安く取引される。

日本でガスタービン・エンジンを普及させたいのなら、小型発電機用のガスタービン(30万回転)を使用する事で、エンジンは手のひらサイズで小型だけど、発電量は自動車用の発電機並みに高性能なモノが作れる。

ガスタービンよりも加熱水蒸気タービンの方が、圧倒的にコストパフォーマンスに優れる。

加熱水蒸気は、蒸気機関などと同じで、ピストンを動かすのか、羽根車を動かすのか違いだけであり、現在のツインスクロール型のタービン形状などを参考にすると、低回転から高回転まで、回転のロスをなくして使用できる。

特に、水蒸気を摂氏500℃以上の熱量でくだを炙って水蒸気を気化させる加熱水蒸気は、最大で1700倍まで熱膨張する事で力を得るので、ガソリン・エンジンの非ではない高出量を生む。

通常の加熱水蒸気で回転させたツインスクロールタービンの裏に、多層板式のテスラタービンを取り付ければ、階層多板式タービンの空気の粘性を利用する事で、7万から10万回転前後の回転数を得られる。

テスラタービンには弱点も多く、階層板の間に発生する空気の変動圧により、ディスが割れてしまうというデメリットがあり、水の汲み上げなどの用途に限定して使用されている。

階層板式タービンを使うと、加熱水蒸気を使って、特殊な羽根の形状を作らずに出力を大きく取り出せる。

現在、IHI などのタービンでは、10万 - 30万回転でもベアリングの摩耗が昔ほど顕著に現れない為、実用レベルに達している。

テスラタービンを使う上で重要なのは、カーボンファイバーのように軽くて強度が高く、圧による変形を極力抑える事が可能な素材をつくること。

現在のニューセラミックスを焼く前に、ファイバー状のシートを中に入れて焼き上げた素材を開発するだけで、一枚数百円程度の円盤は簡単に作れる。

2-3ヵ月に一度の多層タービンブレードの交換を必須とする場合、現在のサブスクリプションと同じように、月額の使用料を支払って、リース式のメンテンナンス付きサービスにすれば、タービンによる発電装置でも普及は見込める。

現在は、そうしたアイデアを模索してる訳だけど、非常用の緊急発電においては、2ストロークのディーゼル・エンジンの方が、コスパ的にも楽なのかもね。

燃料もA重油で動くしね。
※ A重油とは、重油を90%ほどの軽油で割った燃料のこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?