無人航空機の概念と航空戦術の新しい形

ジェット戦闘機が万能という考えが、速度が速い事が強いという風潮になりっつあった1970年代のジェット戦闘機の理論だと思う。

そこからミサイル万能論へと移り変わり、1990年代の湾岸戦争、イラク戦争と続き、ミサイル性能の向上が戦術兵器として確立したのが2003年以降。

米軍が空軍と海軍で、それぞれが主張する戦闘機の考え方に、米空軍が主張してきた航空機の性能による攻撃力よりも、ミサイル攻撃の方が有効だと証明されたのは 1991年の湾岸戦争だろう。

要は、Mach2という音速の二倍の速度で全速で逃げるという飛行は不可能であり、通常の戦闘機が音速巡行で飛行できないのは周知の事実。

敵地攻撃を行う際に低空飛行で敵地へ侵入し、主要なレーダーや滑走路や発電所などの施設を攻撃して、一撃離脱する作戦で Mach2という超音速による飛行が必要になると考えられた。

現在は AWACKS (Airborne early Warning And Control)AEW&C という早期警戒管制システムの略称で知られる、長距離航空探索および情報管制による警戒態勢が敷かれてる。

海に囲まれた日本では、特に有効なレーダー警戒態勢が主な戦術として有効に働く。

障害物のない海上を低空飛行する敵の航空機を発見したら警戒態勢からのスクランブル発進で対応するというもの。

今後は、戦闘機の温存も兼ねて、長時間の滞空飛行が可能な戦術機による警戒態勢を築き、輸送機からの攻撃を含む戦闘機同士の戦いではなく、物量による戦いがメインになるという考え。

トルコのバイラクタル・アキンジュという UAV(無人航空機)

巡航速度 280㎞/h、最高速度 360㎞/h、巡航作戦高度 9100m、最大高度 13,716m、最大滞空時間 25時間、航続距離 7,500㎞、最大で 950kgの兵器搭載が可能。

爆弾やミサイルを含む兵器搭載が 950kgを搭載できる。

米国のジェネラル・アトミックス社製 MQ-9 B シーガディアン。

主な用途は、海上のレーダー警戒管制。

オプションで、兵器搭載も可能。

バイラクタル・アキンジュは、全長12m、翼幅20m、高さ4.1mと航空機ではコンパクトなサイズ。

MQ-9 B シーガーディアンは、全長11m、翼幅20mと少し長さが短い程度で重量はシーガディアンの方が重い。

航続距離も 5,926㎞と 1,600㎞以上も開きがある。

逆にペイロードの武器搭載の場合、1,700kgの兵器を搭載できる。

エンジン出力が大きく耐久性に優れるのは、MQ-9 Bの方です。

レーダーの短知能力も、320海里(約 592㎞)と索敵範囲が広く海上での活動では、MQ-9 B シーガーディアンに分がある。

ただ、使い捨て感で言えば、バイラクタル・アキンジュの方が安価な分、国内で生産するのであれば、アキンジュを参考に1機あたり、15億~20億円の調達予算で導入できる。

MQ-9 B シーガーディアンが、現在の調達コストとしては数が少ない為、65億円と割高になってる。

日本は JNAAM(ミーティア・ミサイルの日本版)の導入が今年度から行われている。

https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/nishiyama_kobayashi.pdf

最大旋回 G(重力)が 65Gという前方へ発射して、後方へ転回できる能力を持っている。

最大で 300㎞の射程を謳っていたけど、200㎞の射程までは攻撃できる事は分かっている。

AIM-120 AMRAAM D型を目標性能にしてるので、それ以上の性能で開発が行われている。

米海軍が、F/A-18 D/E 型戦闘機を主力として、最大速度を落として航続距離を伸ばした背景に、ミサイル性能の向上が存在する。

最大で 180㎞先の敵を攻撃できる能力を持つので、高速飛行性能を捨てて空母運用に適した亜音速以下の領域の性能が強化され、失速速度を低く設定することで、航空母艦への着艦性能を安全なものに変えてる。

要は、航空機はレーダーで発見されれば、SM-6 のようなミサイルで上空から追尾されると逃げられない事が分かっている。

航空戦術機は、ほぼ 100%撃墜されます。

そうした意味でステルス機の開発やレーダー電波を透過するカーボンファイバー製の素材、フェライト塗料などの電波吸収素材が使用されてる。

逆に、MQ-9 B や AKINCI のように、低速でもレーダーに捕捉され難く長時間の滞空警戒任務をこなせる航空戦術機の方が、パイロットの育成も短期間で教育でき死人も出ない。

肉体的なカリキュラムが減る分、パイロットを養成する手間が省け監視体制による航空戦術が可能となり、スクランブルの待機時に G-Suit を着る手間も省け、トイレにも待機要員と交代で行ける。

空を実際の飛行機で飛ばなくて済む分、精神鑑定を行う必要性もなくなるし、メガネを掛けていても機器の発達により、電波や温度とカメラの性能とAI による物体の有無など、錯視を含む視覚情報の処理能力が格段に上がってる。

肉眼による眼の限界能力、航空機の G(重力)による識失調などからの解放が挙げられる。

事故してもパイロットが死なない体制が作れ、訓練による迎撃訓練を重視すれば良いので、作戦や戦闘訓練も違ったものが反映できるので効率化が進む。

ミサイルの性能が人間の技術の進歩で制御しやすい環境が整ったことで、速度に頼る必要性がなくなった事や長距離を攻撃できる攻撃範囲が広がった事が、航空戦術の基本的な考え方を見直す転換期に来てる。

F-15 戦闘機に搭乗して騒いでる阿呆な政治家を見てると、バカとしか言いようがない。

世界の兵器開発の流れを見れば、明らかに高性能な無人戦術機が戦場で安価なコストで大きなコストを必要とする兵器を駆逐する事で、戦果を変えてる現状がある。

F-15戦闘機が、安価な競技用プロペラ機や無人標的機でも撃墜できる体制ができつつあるということ。


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