Dr.STONEの船の燃料…ガソリンは不要

通常、船のエンジンは、ガスタービンやディーゼルエンジンを使用する。

どちらでも使えるのは、オクタン価の低い軽油と重油が使用される。

特に、船舶用の燃料は、重油が使われる。

日本の重油は質が悪く、色が黒い。

重油にもA重油とC重油(B重油は近年製造されていない)の違いがある。

日本の燃料は、A重油の質がB重油に近い。

海外のA重油は、殆んど軽油と変わらないくらい残渣油の成分が低く額面通りの軽油90%対残渣油10%で作られているものが多い。

特に、オーストラリアで製油された重油は質が高い。

30年前の話なので、日本でもA重油の質が上がってると思いたい。

船舶用のエンジンで使用するなら発電機はガスタービンエンジン、主機はディーゼルエンジンが効率的に良い。

主機と補機の両方が、ディーゼルエンジンの船が一般的。

質の劣るB重油でもタービンエンジンは動く。

特にタービンエンジンでは、内燃機関だけでなく外燃機関として、水を沸騰させて、お湯を更に排気熱で加圧して、加熱水蒸気でタービンを回せば発電装置を回せる。

さすがに残渣油90%のC重油だと、燃焼炉のスラッジの掃除が大変なので、A重油を使う方が無難。

むしろ、ガソリンを生成したのなら、オイル類を生成して2ストロークエンジンを作った方が良いだろう。

スターリング・エンジンとして利用する場合、ガソリンは不要。

むしろ、スターリング・エンジンにガソリンを使うと、金属の冷却が必要になる。

水を使う場合でも、摂氏550℃以上の温度で熱膨張するので、本来は重油でも十分な性能を発揮する。

ガソリンよりも軽油の方が向いてる。

船舶用の動力に使用するのであれば、ピストンを使うのであれば、蒸気機関の方が無難だと思う。

界面活性剤の石鹸を千空は最初に作っているので、蒸留水50対A重油50の比率で界面活性剤を超音波(高周波)を利用して攪拌する装置を作った方が効率が良い。

スピーカーを作ってるのに、超音波攪拌を思い付かない辺りが面白い。

エマルジョン燃料は、2~%の石鹸(界面活性剤)と49%の水49%のA重油でも作れる。

燃料を予め攪拌する必要性はない。

現在の加湿器などで使われる超音波攪拌装置の霧と同じで、燃料を大雑把に攪拌して霧状に泡立てれば、後は、主機や補機の回転を活用して、燃料を攪拌する工程を省ける。

主機をタービンエンジンとして活用するのであれば、テスラタービンと同じ過流ポンプ式の動力が作れる。

スクリューを作るのは、精度の低い工作機しかない時代では逆に難しい。

ジェット水流であれば、ホース(配管)の形状やポンプの機能だけで推力を得られる。

現在、自衛隊の船舶でもジェット推進の船舶が当たり前になっている。

ガスタービンの方が、ディーゼルよりも熱効率が良い。

一般的には、ディーゼル発電機の方が普及してるけど、複雑で細かい精度を求められるディーゼルよりも、メッキ技術を持ってるのなら、タービンエンジンの方が効率が高く、小型のモノならディーゼルエンジンよりも耐久性に優れる。

スターリング・エンジンとして作るのであれば、蒸気機関の方が圧倒的に優れるけどね。

船では、水に困らないので、塩分が固まらない程度に水を満たせば、常にお湯をキープできる。

蒸気機関の場合、加熱水蒸気を利用するので、ピストンでもタービンでもどちらでも利用できる。

浦賀で使われた最初のピストンハンマーも蒸気機関を活用した物だったので、蒸気機関式のピストンを作った方が無難だろう。

現代の自動車のような気密性の高いピストン・シリンダーも必要ない。

原作者は、船が重油や軽油を燃料として使用することを知らなかったのだろう。

また、エンジンとしての効率や製作工程などを考えると、蒸気機関しか作れない。

蒸気機関もスターリングエンジンであり、空気を熱するよりも1㎝³ 辺り1700㎝³ と、1700倍に膨らむ水の性質を活かした方が、エネルギー密度が蒸気機関の方が圧倒的に高い。


まとめ、Dr.STONEの原作者と技術協力者の二人は、船舶の動力用の燃料の使い方や効率を考えずに、最も非効率なガソリンを使用するという選択に至ってる。

また、ガソリンは、長期保存に向かず品質が劣化する。

気化性も高く、船では危険。

モーターボート用のエンジンであれば、2ストロークのガソリン・エンジンを開発したのであれば、逆に芝刈り機のエンジンなどを作って、バイクやモーター・パラグライダーを作れる。

モーター・パラグライダーなら、船上からでも飛行させる事が可能なので、空からの偵察が可能になる。

また、ニッケルやカドミウムは、日本に多く眠っている鉱物資源であり、二次バッテリーの開発において、亜鉛バッテリーを担ぐよりも効率的。

磁鉄鉱を持っているのに、インカム式の小型トランシーバーを作ってない。

ガラスを精工に加工する職人が居るのに、トランジスタを作るまでに、わざわざアメリカに渡ってから登場する。

関東のアルミニウムの使用料をみれば分かるけど、既に、日本の窓の多くがアルミニウムで作られている事を忘れてないか?

ボーキサイトよりも塩化したアルミナとして取り放題の筈。

意外と盲点となってる物が多い。

相良油田(静岡)を掘るよりも、香取油田(千葉)の方が、圧倒的に関東では石油の埋蔵量が多い。

日本でも原油の3%ほどが、国産で産出されてる。

意外と、地味に多くの資源が眠っているのが、日本の魅力だったりする。

何故か、鉄鉱石やボーキサイトの鉱山が無いのは、まだ、日本の地質調査が進んでいないからだろうか?

Dr.STONE は、極端すぎる発想と、かなりマイナーなイメージでモノ作りを行なっている。

同じスターリング・エンジンを作るのであれば、重油だけで石炭の代わりの役割を果たすので、ガソリンを精製するよりも時短で済む。

更に、ボーキサイトの原石をオーストラリアまで採掘しに行くなら、東京の近辺を探した方が、アルミナという塩化したアルミニウムの塊が、山ほどあると思うよ。

ルビーやサファイヤにエメラレルドというのは、アルミニウムの混ざった鉱物なので、宝石からもアルミニウムは採取する事ができる。

色々な方法があるので、これ以上は言及しないけど、極端すぎるDr.STONEのシナリオ展開は、余りにも幼稚すぎて実社会では参考にならない。

もっと優れた技術者達を生き返らせた方が、100億%真面なものが作れる。

つまり、マンガは漫画というオチで終わるお話。


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